西川は2025年9月3日、「秋の睡眠の日」にあわせて「nishikawa 睡眠白書 2025」を公開した。これは1万人の睡眠実態を調査し、子供から高齢者までのライフステージごとに分析したものである。特に注目されるのは、10~20代の若年層における「ソーシャルジェットラグ(社会的時差ボケ)」の深刻化である。高校生では2時間のズレが確認され、学年が上がるにつれてリスクが増大する傾向がある。 調査結果によると、厚生労働省の推奨睡眠時間と実態を比較した際、小~高校生の8割以上が平日に適正な睡眠時間を確保できておらず、休日でも高い割合で睡眠不足が続いている。この状況は、成長期にある子供たちの身体的・精神的発達に長期的な悪影響を与える可能性が懸念される。 また、ビジネスパーソンの睡眠不足は、記憶力の低下、ミスの増加、生産性の低下を引き起こし、経済損失という形で社会全体に波及している。これは個人の健康問題だけでなく経済社会への影響として捉える必要がある。 一方で、オーダーメイド枕やリカバリーパジャマなど、睡眠の質向上に対する関心の高まりも確認されており、問題解決への意識と期待が存在することも明らかになった。 nishikawaの研究機関「日本睡眠科学研究所」は、1984年に設立され、人間の睡眠生理の解明やより良い睡眠環境の開発を目指している。企業・大学・研究機関とも協力してさまざまな研究活動を推進し、その結果はnishikawaの数々の画期的な寝具や寝環境の開発に生かされている。 「ソーシャルジェットラグ」は、2006年にドイツの時間生物学者Roennebergらが提唱した概念で、平日の社会的な時間と、休日や自由な時間に体が求める生物学的な時間との間に生じるズレを指す。若年層においては、体内時計の乱れが発覚し、特に10代の平均は2時間半、20代でも2時間のズレがみられた。睡眠満足度が低い人ほど「ソーシャルジェットラグ」が大きくなり、平日の睡眠不足を休日の寝だめで解消しようとすることが、体内時計の乱れに繋がっていると推察される。 子供の「ソーシャルジェットラグ」は、学年が上がるにつれて顕著に増大する傾向があり、小学校低学年の30分から、中学生で約1時間半、高校生では2時間へと急増している。思春期特有の体内時計の夜型化、朝の部活動や夜間の塾などの社会的なスケジュールの影響もあり、リズムの乱れが深刻化していることを示唆する。 都道府県別の睡眠時間ランキングでは、平日のトップは「岩手県」7時間40分、最下位は「福井県」6時間35分。休日のトップは「熊本県」8時間11分、最下位は「高知県」7時間9分であった。休日と平日の睡眠時間のギャップは全国平均およそ30分程度で、ギャップがもっとも大きかったのは「秋田県」で44.6分差であった。 睡眠の質向上のためのアイテムとして、実際に取り入れて改善効果があったアイテムのトップは「枕」で、機能性ドリンクも上位にあがった。今後購入・取り入れたいアイテムのトップは「オーダーメイド枕」で、「リカバリーパジャマ」への期待も高まっている。 ビジネスパーソンの睡眠不足による経済損失は年間約20兆円と言われており、経済活動に影響を与える深刻な課題となっている。勤務形態別の比較では、「フレックスタイム制」の人の睡眠の質満足度が最下位で、生活リズムの乱れに繋がっていると推察される。「ソーシャルジェットラグ」の調査においても、「フレックスタイム制」が一番大きい2時間のズレがみられた。 睡眠不足で仕事のミスをしたことがある人は4割以上で、企業の生産性低下のリスクがある。睡眠の質の向上は業務上のミスを減らし、企業の健康経営にも貢献する重要な要素であるといえる。