介護で悩まされる「排泄介助」問題に直面。プライドの高い性格でも「紙パンツ」を履いてもらえるのか | NewsCafe

介護で悩まされる「排泄介助」問題に直面。プライドの高い性格でも「紙パンツ」を履いてもらえるのか

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介護で悩まされる「排泄介助」問題に直面。プライドの高い性格でも「紙パンツ」を履いてもらえるのか

こんにちは。神奈川県在住、フリーライターの小林真由美です。ここ数年のマイテーマは「介護」。取材でも高齢者にまつわること(介護のほか、終活や相続・遺言など)に関わる機会が増えてきましたが、どこか他人事でした。それがしっかり「自分事」になった途端、驚くほど冷静さを失ってしまったのです。

【アラフィフライターの介護体験記】#28

◀前回の記事◀◀「私の下着に勝手に触らないで!」激しく怒り、私の手からパンツを奪い取った。認知症の義母が、機嫌を損ねた理由とは

▶紙パンツを履いてもらうまでの長い道のり

急に増えた「尿漏れ」「便漏れ」。「紙パンツ」を試してもらうには?

3年ほど前、脳神経外科にて「認知症」(軽度~中等度)という診断を受けたお義母さん。現在は、我が家の近くにある<サービス付き高齢者向け住宅>(サ高住/食堂付き)で暮らしています。

認知症は緩やかに進行中ですが、今のところ食事と歯磨きや洗面、排せつは(一応)1人で行うことができ、入浴や着替え、服薬は訪問介護サービスにて一部介助をお願いしている状態です。

そんなお義母さんの目下の“お困りごと”は「下着問題」。ここ最近、お義母さんは尿漏れや便漏れで下着を汚す回数が増え、本人も「気持ち悪い」という自覚はあるようで、バンバン下着を交換。そして訪問看護サービスの責任者からは「ちょっと洗濯が追い付かなくて……」と連絡が来る始末(涙)。

「そろそろ『大人用紙おむつ』を試してみては?」とも言われましたが、プライドの高いお義母さんがスムーズに応じてくれるとは思えません。そこでケアマネさんとも相談し、「旅行や災害時などに使う紙パンツの『お試しモニター』になってほしい」という提案をすることに!

ポイントは、「若い方も使う」「はき心地を教えてほしい」。お義母さんが高齢者扱いされるのを嫌い、人の役に立ちたいという性格的な特徴も利用。いよいよ数週間後、“モニター作戦”の決行となりました。

ケアマネさんとの面談の日、「最近調子はどうですか?」と聞かれ、「はい、問題ありません。元気ですよ」と答えるお義母さん。このあとゆっくり話に耳を傾け始めると、「元気だから、そろそろ田舎に帰りたいんです」となるのがお決まりのパターン。今回は、そうなる前に紙パンツの話題に移りたいので、私が早々に切り込みます。

▶「紙パンツ」を洗う!?

思わず耳を疑った。紙パンツを「もったいない、洗って使う」と言い出して……

私:「ケアマネさんが、お義母さんにお願いしたいことがあるみたいですよ~」

 

ケアマネさん:「前に『商品モニター』をお願いしたのを覚えていますか? シャンプーをお試しで使ってもらって感想を教えていただいたんですが、その節はありがとうございました」

(以前、髪の毛を洗わないお義母さんに同じ作戦を実行し、成功した実績アリ)

義母:「あぁ、シャンプー! あれは、すごく良かったわ」(おそらく記憶は曖昧だけど、話を合わせるお義母さん)

ケアマネさん:「今回は、コレです(紙パンツを見せる)。長時間お手洗いに行けないときにも便利な『使い捨てのパンツ』なんですが、試していただいて、また感想を聞かせてもらえませんか~?」

義母:「パンツ?」

私:「今、若い人も利用しているとか?」

ケアマネさん:「そうそう、旅行や山登り、キャンプのときとか。野外で遊ぶときにも使うみたいですよ~」

義母:「それは便利ねぇ。あっ! 私も山登りが趣味だから、ちょうどいいわ」(もちろん、若い頃の趣味)

ケアマネさんに勧められ、紙パンツを手にするお義母さん。「このままスポッとはけていいわね」「けっこう、ゆったりしてるのね」とパンツを上下左右に伸ばしながら、なんだか楽しそうにしています。

ケアマネさんの帰宅後、実際にはき心地を試してもらいましたが「思ったより軽い!」となかなかの好感触。ところが、過剰に心配しすぎたかも、と安堵したのも束の間、お義母さんの口から耳を疑う言葉が飛び出したのです。

「このパンツ、少し大きいから洗うのが大変そうだわ」

 

私:「あの……お義母さん、これは使い捨てのパンツなので、洗わないですよ」

 

義母:「知ってるわよ。でもね、私はマスクだって洗ってるし、こういうのは、洗えば何度も使えるの。1回で捨てちゃうなんて、もったいないでしょ」

私:「……」

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《OTONA SALONE》

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