「頭が悪いわりにここまでよく頑張ってきたじゃないか」。この年齢になってはじめて根深い呪い「母から認められたい」に向き合い、上書きを始めた | NewsCafe

「頭が悪いわりにここまでよく頑張ってきたじゃないか」。この年齢になってはじめて根深い呪い「母から認められたい」に向き合い、上書きを始めた

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「頭が悪いわりにここまでよく頑張ってきたじゃないか」。この年齢になってはじめて根深い呪い「母から認められたい」に向き合い、上書きを始めた

こんにちは、スタイリストの大日方です。普段はただひたすらに「服が好き!」という目線でトレンドやおすすめをリコメンドしています。今回は心の奥に隠してあったもやもやと再会した話。

【RICOリコメンズ/働く女性のコーデ】

先日、総裁選の話から話題が転がって、NETFLIXドラマ『ザ・クラウン』が面白いよとおすすめしてもらいました。シーズン2の奔放な写真家がマーガレット女王との結婚を決めたところを観ています。奔放な写真家はなぜ堅苦しいロイヤルファミリーとの結婚を決めたのか、それは「母を喜ばせたい」「母から認められたい」からでした。写真家として成功し、世間から認められていても「母から褒められたい」という願望を持ち続けていたのです。彼の奔放な生活には共感できませんが、「母から褒められたい願望」は私にもよくわかります。

母もまた祖父から呪われていた、そして私を呪った。「頭のいい人と結婚しなさい」

私の母は父親から「頭のいい人と結婚しなさい」と言われたのがそのまま呪いになってしまったような人で、頭の良い人が大好きです。私には優秀な兄がいて「お兄ちゃんは受験対策なしで中学に合格した」というのが母の自慢でした。「あなたは頭が悪いから中学受験させなかった」というのも母の自慢だったように思います。私は自分よりも兄のほうが愛されていると感じていて、頭が悪いという劣等感を抱いたまま大人になりました。何とか大学を卒業し、あとは好きにさせてくれと思っていたので、会社には就職せず、フリーランスのスタイリストになりました。

45歳になった頃、ふと思ったことがありました。私がいつかスタイリストとして書籍を出版したら、母は喜んでくれるだろうか。とっくの昔に鎮火したと思っていた「母から認められたい」「母から褒められたい」という感情を、心の奥に灯し続けていたのです。もういい大人なのに。

人は愛されたい生き物です。そして、多くの人が(少し、あるいはおおいに)愛に飢えていて、心のどこかで「認められたい」「褒められたい」と思いながら暮らしているように感じます。ではどうするか?人から認めてもらえるように努力するのはもちろん素敵だけど、「自分で自分を愛することから始める」のはどうですか?

自分を愛するためにやめたこと・始めたこと

では「自分を愛する」をどこから始めるかですが、私は頭の悪い自分を許すことから始めました。自分で自分を傷付けるのを辞めて、「頭が悪いわりにここまでよく頑張ってきたじゃないか」と考えることにしました。えらいよ、よく頑張っているよ、欠けてないよ、そう自分に言うことにしました。

自分を許すと決めてから、生きやすくなったし、世界が優しくなったように感じます。それは世界が変わった訳ではなくて、私が優しい目線で世界を見るようになったのだと思います。自分の見方が変わったら世界が変わって見えたのです。

自分が心から好きなことは何なのか、真剣に考えてみる。「自立とは依存先を増やすこと」だから

子供の頃、私が新しい服を着て「どう?」と尋ねると、母はいつも「可愛い」と褒めてくれました。だから私はおしゃれが好きになったのだと思います。おしゃれは点数や順位で上下を決められることがないのも都合が良かったのでしょう。

私は自信のなさを隠すように、おしゃれに依存してきました。「自立とは依存先を増やすこと」とは小児科医の熊谷晋一郎さんの言葉だそうです※。それなら服への依存をやめるのではなく、もっと好きを増やしていけばいい。ヘアケアでも肌育でもネイルでも推し活でも読書でも、どんどん手を出したらいいのです。そして楽しむ。自分の心に従って「自分にはできる!」を育てていきましょう。

※脳性まひの後遺症により車椅子生活を送る熊谷先生が「世の中のほとんどのものが健常者向けにデザインされており、依存先がたくさんある健常者は何にも依存していないかのように生活ができる」という文脈で語った言葉

《OTONA SALONE》

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