「風の時代」という言葉が2020年に旋風を起こしましたが、同時に「土の時代」の価値観も広く知られるようになりましたね。
今回は土の時代についてビックブルー先生に詳しく説明していただきました!
土の時代とは
組織の中での共存
土の時代には「属する」という考え方が大きな鍵となってきます。
会社、地域、様々なコミュニティ。そこに属せばある程度の補償、そして安心と安定を得られました。
日本では終身雇用という考え方が一般的となり、レールから脱しないでさえいれば、先々安泰という時代でした。
まさに「地に足をつけた生活」が求められたのです。
土の時代には、田畑のようにまず枠を作ってその中で土を耕し、水をやり、育てていく、という地道な作業、この考えを大事にします。
稲や種はその枠外では大きく育つことは出来ても、少しの米や実にしかならないのです。
努力で変えられる
土の時代の前の火の時代は、生まれた時の身分で、生き方のおおよそは決まっていた時代でした。
ですが土の時代には例え貧しい家庭に生まれついても、努力があれば上を目指せる時代へと変容しました。
だから人々は、学び、研鑽し、地道にコツコツと積み重ねていきました。
松下幸之助さんが、小学校すら卒業することなくパナソニックを創設したことはとても有名ですが、まさに土のエレメントの体現者と感じます。
世界的に見ても、この土の時代のサクセスストーリーはたくさんありますね。
ゴールドラッシュを夢見るように、誰もがその切符を手にする時代でした。
能力での戦い
そのような大きな夢ではなくても、組織の中で上へ上へと登り詰めることで立身出世は可能です。
むしろ土の時代ではそれを求めます。
努力は必ず報われると信じることによって、人々は自分の能力を組織のために捧げました。
他のエレメントと比べても、その団結力は類をみません。
地盤を踏み固めていく強さがここにあります。
ですが風の時代への移行と共に、会社という組織はとても脆いのではないか、と疑問を持ち始めました。
派遣制度がどんどん適用され、終身雇用が崩壊していったのは皆さんもご存知の通りです。
個人の能力は組織のためではなく自分のために使う、という方にシフトしていきました。
習慣、常識、秩序で動く
土の時代は、規律を守ることで組織を作り上げてきました。
毎日のルーティンを行うことにより、生産性を重視して高めていったのです。
一人一人が自分の持ち場で責任を持って動くこと。歯車の一つとなって、次に繋げていくこと。
大きく引いて見ると、その点描が一枚の美しい絵となっていくのです。
そのためには秩序を持って動くことが求められますし、その秩序を守るためには常識を持つことも必要です。
常識は、その組織の中で作られるものでした。
組織それぞれのカラーを持つこと。人々はその団結力をもって動きました。
日本の高度成長期は、土の時代の産物だったのかもしれません。
土の時代の歴史
前回の土の時代
前回の土の時代は、およそ1800年頃、火の時代からの移行が始まり、そして2000年ぐらいまで続きました。
土の時代に本格的に突入したのが1840年頃。
日本では戊辰戦争が起こり、明治政府が誕生したのが1868年です。
この間、ペリーが来航し外国の文化と価値観が持ち込まれたのですが、すでに日本では藩という組織の中で、改革の構想が着々と進められていました。
武士の中での縦社会と共に、それまでは全くの別文化として捉えられていた藩同士が手を組む、という動きが出てきたのです。
何かを変えるためには人数が必要になってくる。
個よりも集団、それは人数が多ければ多いほど良いという考えは、それまでいがみ合ってさえいた者とも目的を共にすることで、幕府すら倒したのです。
それはまるで、桜の花の花びらが1本の木になると圧巻な、そんなイメージすら起こさせます。
次の土の時代はいつ?
風の時代はまだまだ始まったばかり。
時代のエレメントは、風→水→火→土と変化していきます。
それぞれの時代は約200年。ですので次の土の時代は約800年後となります。
気の遠くなるほど先ですね。
前々回の土の時代には、煌びやかな平安時代が終わり、武士社会の基礎となった鎌倉幕府が誕生しています。
時代の特徴はやはり繰り返すと思うと、もしかしたら異星での組織作りなどというのもあるかもしれませんね。
土の時代の恋愛の特徴
安定と心の安らぎ
土の時代には、まずは安定、心の安らぎが重視されます。
ですので相手のステイタスや経済力という「条件」がとても重要な時代でした。
高所得、高学歴、高身長という「3高」という言葉が流行ったのも、土の時代ならではという感じがします。
ただ、その中には「相手をきちんと見る」という大切なポイントが含まれています。
フィーリングやノリを重視しない。
相手がどんなものを持っていて、どんな考え方をするのか?というのは、やはりそばで長く見続けないとわからないものです。
他の様々な事と同様、目に見える実績も大事ですし、一緒に経験を積み重ねることによって得たもの、というのもとても大事なのです。
信頼を積み重ねる
土の時代から風の時代への移行期間の2000年頃というのは、インターネットが急速に普及して、人との出会い方が激変しました。
顔も実体も知らない人と毎日文字のやり取りをする、それから会う、という流れが出来たのですね。
ですが土の時代は出会うにも人を介して、身元が安心出来る人というのは本当に大事でした。
電話番号を聞いて、毎日電話でたくさん話して、週末には会って…ということを地道に重ねる中で、親密さを築いていきます。
こういった土の時代には「当たり前」だったこと。
現在の既読・未読スルー、ブロックされた、会ってくれない……こういうお悩みを聞く度に、その当たり前を懐かしく、贅沢にすら思い出します。
土の時代の仕事の働き方の特徴
属することで身を守る
土の時代には、「属する」ということが大きな意味を持ちます。
それはより大きな組織、大企業であればあるほど良いという考えでした。
土の時代が始まってすぐの1820年には世界では産業革命がおこり、流れ作業で大量生産が出来るようになりました。
マニュアルという言葉が出てきたのも、土のエレメントならではではないでしょうか。
同じものを大量に作って売ること。
そこではブランドの元に人が集まり、個性は没せられます。
同じことをして規定通りのものを作り出すこと、同じ対処をすること。それが求められます。
効率的な仕組み化
労働力を提供する代わりに給与が発生し、福利厚生と生活的保障が得られるのも土の時代の特徴でした。
これは国の仕組みとも同じなのですが、同じ仕組みを企業に持ち込むことにより、戦後の日本の繁栄が始まりました。
一つのところに腰を据えて物事に取り組む性質は土のエレメントの特徴そのもの。
その中でテクノロジーが発展し、ITを生み出し、より良いものと研鑽していった結果、風の時代の基礎となるインターネットが爆発的に普及しました。
そのことは出来すぎたお伽噺のようにも感じますが、私たちは知らず知らずのうちに、大きな時代の転換期に立ち会っていたのですね。
土の時代のお金の特徴
物質主義
土の時代ではその名の通り、一番高価で価値を持つものが「土地」だったのではないでしょうか。
これを所有するために内戦、さらには世界戦争が起こったのです。
武力で制することが終わると、人々は金銭でそれを得ようとし、日本でもバブル期が到来しました。
土地を制するものが経済を制し、世の中を動かしていきました。
土の時代ではお金が目に見える物質に変わることを好みます。
日本では「三種の神器(冷蔵庫、洗濯機、テレビ)」を持つことが羨望の的であり、どの家庭もそれを持つことを励みに働きました。
ハイブランドが次々と生まれ、誰が何を持っているか、競い合うように消費していった時代でした。
蓄えることも大事
ですが消費だけが土の時代の特徴ではなく、貯蓄や倹約も盛んに行われた時代です。
この「蓄える」ことも、土のエレメントの大きな特徴ですね。
冬の寒さの中でも種を守るように、肥沃な土を作っておくこと。
自分の稼ぎの中で貯蓄に回す部分と、消費する部分。
賢く堅実にお金を回していた時代です。
そんな中、2008年にリーマンショックが起こります。ここもちょうど土の時代から風の時代への移行期。
土地を持って銀行にお金を預けることに疑問を持つ、それがようやく一般市民にも浸透し始めました。
こうして歴史と重ね合わせていくと、なんだか怖いぐらいですね。
まとめ
土の時代、いかがでしたか?
何かの参考になれば幸いです。