
昨今の都心のマンション価格に、「これはもう自分たちには無理だ」と感じてしまう人は少なくありません。年収や住宅ローンの借入枠を考えると、物件探しのスタートラインに立つ前から諦めてしまうケースも多いでしょう。
TBSキャスターとしてキャリアを重ね、現在はビジネス映像メディア「PIVOT」でマネー番組のナビゲーターも務める国山ハセン氏も、かつては同じように資産形成の壁に向き合ってきました。そのなかでたどり着いたのが、不動産投資を「個人の戦い」ではなく「家族というチーム戦」として捉える発想。
本記事では、国山氏の著書から、ペアローンや親子ローン、さらには家族の資産を活かした不動産購入の考え方を紹介します。
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※本記事は書籍『投資初心者の僕がプロたちから学んだ、正しいお金の増やし方』(国山ハセン :著/徳間書店)から一部抜粋・編集したものです
家族という「チーム戦」で不動産投資に挑む
不動産購入は早いほうがいい。「でも、最近の都心マンションは高すぎて、年収500万円や600万円で組める住宅ローンではとても手が出ない」その声はよくわかります。僕も物件情報を見るたびに「高っ!」「こんな物件、誰が買うんだ⁉」」と声が出ますから。
しかし、もし結婚していて、パートナーも働いている「共働き世帯」なら、諦めるのはまだ早い。「ペアローン」という選択肢があります。ペアローンとは、夫婦やパートナーがそれぞれ住宅ローン契約を結び、それぞれが債務者となって、一緒に1つの物件を購入する方法です。
1馬力(1人の収入)でローンを組むのではなく、“ 2馬力”( 2人の収入)で組む。2人の収入を合算して借り入れができるため、借入可能額は単純計算で倍になる。世帯年収にもよりますが、1馬力では「絶対に無理」と思っていた東京都港区の物件でさえ、ペアローンを使えば手が届く可能性も出てきます。
「チーム家族」で借入枠を拡げる
「いや、夫婦2馬力でも都心は無理だよ……」わかります。ペアローンを組んだとしても、今の都心の物件価格は異常です。そこで、さらに一歩進んだ、大胆な考え方を紹介します。
それが「親子」という軸で“チーム戦”に持ち込む方法です。たとえば、子世代(自分たち)の信用力や年収だけだと5000万円のローンが限界かもしれない。しかし、親世代と組んで、3馬力や4馬力になることで、1億円の物件に手が届く可能性は高まります。
具体的な方法は2つあります。
1つは「親子リレーローン」です。その名の通り、ローンの返済を親子でリレーする方式で、最初は親が返済し、将来的に子がその返済を引き継ぎます。
もう1つは「収入合算」です。親子の収入を文字通り合算して、金融機関の審査を受ける方法です。世帯としての年収が上がるため、借入可能額も大きくなります。
不動産投資を「個人の戦い」や「夫婦でのタッグ戦」だと思うと選択肢が狭くなってしまう。しかし「家族」でチームを組めば、それだけ大きな「借入枠(レバレッジ)」を使える可能性があるわけです。
3世代の信用力を合わせれば、2億円規模の住宅ローンを組むことも夢ではないかもしれません。
親からの援助でスタートダッシュを切る
とはいえ、親世代が働いていない場合、ローンが組めないこともある。その際は「親から頭金を援助してもらう」という方法もあります。
現在は頭金なしや、かなり少ない頭金で組める住宅ローンも増えていますが、それは茨いばらの道です。たとえば5000万円の物件に対して頭金が500万円以下(物件価格の1割以下)といった場合、銀行からの評価が厳しくなり、金利が高くなるなど条件が不利になりがちです。
逆に、頭金がしっかりあるだけでローンの条件は良くなり、その後の返済計画も有利に進められます。
ただ、いくら有利だとはいえ、頭金は数百万円単位になり、この額を私たち世代が自力で貯めるのは、非常に時間がかかります。僕もTBS 社員時代、貯金しているつもりでもなかなか貯まりませんでした。給料日直後は「今月は貯めるぞ」と意気込むのですが、翌月末には「今月もだめだったか」と反省する。その繰り返しでした。
しかし親世代(あるいは祖父母世代)は、ある程度の資産を持っているケースが多い。そこで、たとえば頭金相当の500万円を「将来相続するものを、先に援助という形で渡す」ということで、託してもらえたらどうでしょう。子世代は、貯金に何年も費やす時間をショートカットして、早いタイミングで有利に不動産を購入できます。
何を隠そう、我が家がこのパターンでした。僕が初めてタワマンを購入したとき、父に一部を援助してもらったのです。その援助があったからこそ、僕は若くして「都心に不動産を持つ」というスタートダッシュが切れました。逆に、もしあのとき自力で頭金を貯めようとしていたら、今の都心の価格高騰に巻き込まれて買えなかったかもしれません。そう思うと、父には頭が上がりません。
※親から無利子でお金をもらうと、原則として「贈与」とみなされ、贈与税の対象となります。年間110万円までは「基礎控除」により非課税ですが、それを超える場合は課税対象。なお、住宅取得資金については特例制度があり、一定額(例:令和6年時点で一般住宅500万円、省エネ等住宅1000万円)まで贈与税が非課税となります。ただし、適用要件や上限額は年度ごとに変動するため、実際に利用する際は国税庁の最新情報または専門家への確認が必要。
▶国山氏が「買い時の不動産」をゲットした方法を紹介
「親をエンジェル投資家にする」という発想
家族というチーム戦で不動産投資に挑むという考え方をさらに一歩進めた方法を紹介させてください。「親をエンジェル投資家にする」という発想です。
そもそもエンジェル投資家とは、スタートアップ企業の将来性に賭けて、初期段階で出資する投資家のことです。僕がやったのは、このエンジェル投資家のような役割を、親にお願いしたということです。「私たち夫婦の未来の資産形成に投資してください」と協力を仰いだのです。
きっかけは、結婚を機に引っ越すことになったときでした。「今、このエリアは絶対に買いだ」「この条件でこの価格は、今後出てこないかもしれない」そう確信できる物件と運命的に巡り合いました。しかし、当時の僕ら夫婦の力だけでは、ペアローンを組んだとしても、どうしても手が届かない。
そこで思いついたのが、親に物件のオーナー(所有者)になってもらい、私たちはそこに「借り手」として住むという方法でした。
具体的には、こういうスキームです。
・親が物件を購入し、オーナー(所有者)になる
・私たち夫婦はその物件に「借り手」として住む
・私たちは親に「家賃」を支払う
つまり、子世代に資金力がなくても、親の資金力を活用して「買いたい物件」に住めるということです。そこで僕はすぐに父に相談を持ちかけました。もちろん、ただ「買ってよ」とお願いするわけにはいきません。僕なりにロジックを組み立てて、プレゼンしました。
「父さん、今、銀行にお金を預けても金利はほぼゼロだよね」
「それはお金を眠らせているだけで、もったいない」
「絶対に買い時の不動産がある。そこのオーナー(所有者)になってくれないか」
そうやって真正面から直談判したのです。ありがたいことに父は快諾してくれました。その後、オーナーである父に対して「家賃」として月々一定額を支払う形でお目当てのマンションで暮らしています。
これは、親からすると「銀行で眠らせていた預金」を「都心の不動産(資産)」に換えたうえ、さらに「私たちからの家賃」というインカムゲイン(運用益)を生み出す、立派な不動産投資になっています。
一方、僕らは普通に賃貸マンションを借りるのと同じように、「住む」という目的を果たせる。家族間ですから、相場の家賃より少し安くしてもらう交渉もしやすい。僕は毎月しっかり「家賃」を払うことになるわけですが、振込先は赤の他人である「知らない大家さん」の懐ではなく、「父の口座」です。
赤の他人の大家さんに払う家賃は「消えてなくなるお金」です。しかし、親に払う家賃は違う。“国山家”という家族の中でお金が循環しているため、将来、相続などを通じて私たちに戻ってくる可能性のあるお金です。
「消えてなくなるお金」なのか、「家族の資産として貯まっていくお金」なのか。同じ「家賃を払う」という行為でも、その行き先が違うだけで、意味合いがまったく変わってくるのです。
不動産なら親世代を説得しやすいワケ
この家族というチーム戦は、不動産投資との相性が抜群に良いと思っています。もし僕が「父さん、いま有望な仮想通貨があるから、お金を出してくれないか」とか、「母さん、絶対に儲かる未公開株があるんだ」と言ったとしたら……。即勘当されてもおかしくありません(笑)。
しかし、不動産の話になると、親世代は聞く耳を持ってくれます。私たちの親世代や祖父母世代は、「土地の価値が爆発的に上がる」のをリアルタイムで体験してきました。彼らは日本の高度経済成長期を生きた世代です。
「あの土地、昔は安かったのに、気づけば何千万円になった」「何もない更地だったのに、いまや高層マンションが立ち並ぶ街になった」そういった体験を持っています。こうした経験があるため、「不動産を買う」という話にはリアリティを感じてくれます。
仮想通貨や未公開株は、彼らにとって「よくわからない怪しいもの」かもしれません。しかし不動産は、彼ら自身が「上がる」のを目撃してきた、信頼できる資産です。だからこそ「不動産を買う」という話には説得力があり、親世代も積極的に乗ってくれる土壌があるのです。
家族だからこそ信頼関係をしっかり育む
日本では一度実家を出ると、実家にいる家族と「財布」まで完全に分断してしまう文化が根強くあるように思います。「親に頼らないことこそが自立だ」と考える人も多いでしょう。しかし、それは資産形成の観点から見ると非常にもったいない。私たちは、家族とお金の関係を、もう少し“戦略的”に考えてもいいのではないでしょうか。
投資を「個人の戦い」と捉えるのではなく、「家族というチーム戦」として見れば、選択肢は大きく拡がります。もっと親に甘えたっていい。それは決して後ろめたいことではないはずです。
不動産価格が高騰し、それでいて現役世代の手取りが増えづらい。そんな今だからこそ、この「親をエンジェル投資家にする」という発想は有効だと思っています。
最後に、この方法を実行しやすくするために僕からどうしても伝えたいことがあります。それは、「親と仲良くしておけ」ということ(笑)。いくら親世代に説得力がある不動産といえども、お金の話はデリケートな話題。一歩間違えれば家族関係を壊しかねないトラブルの火種になってしまいます。
ですから、日ごろからコミュニケーションを取り、信頼関係を築いておくこと。少なくとも「この子は、ちゃんと考えているな」「無茶なことに手を出す人間じゃない」と思ってもらえるようにしたい。信頼できる関係性を築いておけば、いざというときに「チーム」として連携できます。
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■著者略歴: 国山ハセン(クニヤマハセン)
1991年生まれ、東京都出身。中央大学商学部卒業。2013年、TBSテレビに入社。数々の番組でメインMCなどを務め、2021年8月からは報道番組『news23』のキャスターも務める。2022年末に退社し、ビジネス映像メディア「PIVOT」に参画。動画コンテンツの企画・制作に携わり、なかでもMCを務める『MONEY SKILL SET(マネースキルセット)』『MONEY SKILL SET EXTRA(マネースキルセット・エクストラ)』は資産運用の学びの番組として大きな人気を博している。2025年、アメリカでFOX UNION Inc.を立ち上げ、日本発のグローバルメディア「UnKnown」を合わせてローンチ。著書に『アタマがよくなる「対話力」』(朝日新聞出版)がある。




