更年期症状のひとつとして、多くの方が気になる「耳鳴り」。
「耳の中で『キーン』という音が聞こえる」という症状はありませんか?
今回は、更年期の耳鳴りのメカニズムを始め、更年期以外の原因やチェックポイント、対処法についてもご紹介します。
Q. 更年期になると耳鳴りが起きやすいのはなぜですか?

イラスト/lely
閉経を挟む前後約10年間を「更年期」と呼びます。
この時期には、女性ホルモンの「エストロゲン」の分泌が急減し、心身にさまざまな不調があらわれ始めます。
そのひとつが、自律神経への影響です。
自律神経は、生命維持に関わる働きを担っており、エストロゲンとも深く関係しています。
通常、自律神経は交感神経と副交感神経がバランスよく切り替わることで、からだの調子を整えています。
しかし、更年期のエストロゲンの分泌低下により自律神経が乱れると、内耳の血流に影響が。
三半規管や蝸牛(かぎゅう)という耳にある器官の働きが低下し、耳鳴りが起きやすくなります。
さらに、睡眠不足やストレスなどの生活習慣や環境の影響、加齢による感覚機能の衰えも、耳鳴りの一因になる場合があります。
Q. 耳鳴りの原因は更年期以外にもありますか?
耳鳴りには、更年期以外のさまざまな原因も考えられます。
なかには注意が必要な「危険な病気」が潜んでいる場合もあります。
たとえば、突発性難聴やメニエール病などの耳の疾患です。
また、脳腫瘍・脳血管障害といった脳の疾患が原因となるケースでは、命に関わることもあります。
そのほかにも、高血圧や動脈硬化など、生活習慣病に関係する場合も。
食事や運動習慣、喫煙、飲酒などの生活習慣によって引き起こされ、耳鳴りを伴うことがあります。
いずれの場合も、「加齢や更年期のせい」と自己判断して放置すると、症状が悪化してしまうことがあるため注意が必要です。
Q. 耳鳴りの原因を見極めるにはどうしたらいいですか?

Photo:O-DAN
「ピー」「キーン」といった高い音が聞こえる場合は、内耳の障害の可能性があります。
更年期や加齢による難聴などが原因として考えられるでしょう。
一方で、「ブーン」「ゴー」といった低い音の場合は、中耳の異常が疑われます。
メニエール病や、耳管狭窄症などの可能性があります。
また、「ドクドク」と脈打つような音がする場合は、高血圧や動脈硬化などの血管性の原因、「ガサガサ」とした音が聞こえる場合は、異物や外耳炎が原因の可能性が。
耳鳴りが一時的なものなのか、慢性的なものかを確認し、それに応じた治療を行うことが大切です。
まずは耳鼻咽喉科で診てもらい、原因をしっかり特定してから対処していきましょう。
本編では、「耳鳴りがひどい…」そんなときに気をつけたい“更年期の耳鳴り”の原因や、放置してはいけない症状の見分け方についてご紹介しました。
▶▶「耳鳴りが気になるけど、治療はちょっと…」更年期女性のための“やさしいセルフケア”
では、自律神経を整える生活習慣や、自然に体を整える方法についてお伝えします。