「あ~よく眠れた!」と、気持ちよく起きられていますか? 睡眠の質を上げるには、どうしたらよいのでしょう。
「食べるものによって、就寝時間に睡眠ホルモンが分泌されるようにできる」と著書で語るのは、ダヴィニア・テイラー氏。
ごはん、卵、バナナといった、身近な食材が睡眠の助けになるほか、食べる「タイミング」にもポイントがあるそうです。
今回は、代表的な睡眠ホルモン「セロトニン」を合成するために欠かせないものについて、テイラー氏の著書からご紹介します。
※この記事は『いつでも調子がいいカラダになる!ホルモンをととのえる本』(
眠りのホルモンを増やす「トリプトファン」とは? また、それを摂れる「夜に食べるべき」食材とは?
トリプトファンとは、やがてセロトニンになるアミノ酸です(それがさらにメラトニンになります)。人間はこのアミノ酸を自力でつくれないため、トリプトファンが豊富な食べ物を摂る必要があります。理想としては夜、就寝の数時間前に食べるといいでしょう。
【トリプトファンを摂るのにぴったりな食べ物】
白米
白肉(鶏肉や七面鳥―オーガニックのもので、もも肉よりも安くて栄養価が高い胸肉などを選びましょう)
牧草飼育された赤肉
卵
ナッツ類
レンズ豆(調理する前に一晩水に浸けたものがベター)
ごま
ひまわりの種
白身魚
サクランボ(特にモンモランシー種)
アボカド(熟しすぎていないもの)
バナナ(同上)
アミノ酸の量を増やすちょっとしたハックとして、私はご飯を炊く際、牛などの骨から取ったダシ汁(骨スープ、ボーンブロス)を使うか、コラーゲンペプチド(10g)を加えています。
「食後のデザート」のかわりにコレ! 睡眠に導く「トリプトファンスムージー」の作り方
また、食事のあとにまだ少し口寂しいときには、次の食材を使って、トリプトファンを増やすスムージーをつくります。
【トリプトファンを増やすスムージー】
バナナ…1本
生乳…グラス1杯(腸内細菌のためになる善玉菌が豊富)〔生乳は無殺菌の牛乳で、日本では限られた場所のみで購入可能〕
牧草飼育された動物の骨を使ったボーンブロスパウダー…15g
カカオパウダー…大さじ1杯弱(カカオには微量のカフェインが含まれるため、カフェインに敏感な人は入れないでください)
バニラエッセンス…数滴
ステビア甘味料…1、2滴(お好みで)
海塩…ひとつまみ
これらをすべてブレンダーに放り込んで、寝る2時間くらい前に飲みます。これを飲めば、チョコレートバーに手を出すのも防げます。
また、トリプトファンはサプリメントで摂取することもでき、炭水化物と一緒に摂ると効果的です。でも正直に言うと、私はサプリメントよりも食べ物の方がいいと常に思っています。なぜなら、健康になる食べ物を腸にも与えているわけですから(それに食べ物の方が必ず、結果として安上がりになります)。
とはいえ、ジャンクっぽい食べ物しか食べられる状況にないのなら、サプリメントを活用するのがよいでしょう。
「低脂肪食品」は、睡眠の敵! 「脂肪」は恐れるべきではない、という事実
また、低脂肪食品は選んではいけません。1980年代、90年代に世間で流行していましたが、低脂肪は健康によくありません。そして睡眠に関して言えば、低脂肪食品は非常に大切なセロトニン生成を阻害してしまう可能性があります。
良質な脂肪は、オメガ3のような必須脂肪酸などのように細胞をつくる基本的な要素となるため、食習慣に必要なのです。ということで、食事にはできるだけ下記のようなオメガ3脂肪酸が豊富に含まれる食べ物を取り入れましょう。
【オメガ3脂肪酸が豊富な食品】
サバ
イワシ
鮭
アンチョビ(カタクチイワシ)
クルミ
チアシード
牡蠣やキャビア(ちょっと豪華な気分のときに♪)
きちんとした食事で注意すべきはカロリーではなく化学物質であり、そして脂肪を恐れるべきではありません。ここでは、脂肪がなければ人は死んでしまう、とだけ覚えておいてください。そのくらいシンプルな話なのです。
★【関連記事】では、「睡眠ホルモン」を増やすために食べるといいもの、避けるべきものを紹介しています。
>>>【関連記事】眠れない人に「甘党」「お菓子好き」が多い理由。食生活を変えれば「睡眠」も変わる!「眠りのホルモン」セロトニンを増やす食べ物とは?
■BOOK:『いつでも調子がいいカラダになる!ホルモンをととのえる本』ダヴィニア・テイラー著 監松村圭子・監修 松丸さとみ・訳
【profile】
■著者 ダヴィニア・テイラー
サプリメント会社ウィルパウダーズ創設者。起業家、バイオハックのパイオニア、減量のエキスパート、4人の子どもの母親であり、人気テレビドラマの俳優としてキャリアをスタート。「90年代の悪名高きパーティガール」として知られたが、バイオハックにより人生を大転換。生活習慣をハックすることでカラダにどのような影響が起こるかを熱心に調べ、最適な健康状態を手に入れ、20近く体重を落とした。これまで調べてわかったことや学んだことは、イベントやインスタグラム(@daviniataylor)でシェアしている。
■監修者 松村圭子
日本産科婦人科学会専門医。成城松村クリニック院長。若い世代の月経トラブルから更年期障害まで、女性の一生をサポートする診療を心がけ、アンチエイジングにも精通している。西洋医学のほか、漢方薬やサプリメント、各種点滴療法なども積極的に治療に取り入れている。生理日管理を中心としたアプリ・ルナルナの顧問医。著書に『これってホルモンのしわざだったのね』(池田書店)など。
■翻訳者 松丸さとみ
翻訳者・ライター。学生や日系企業駐在員としてイギリスで6年強を過ごす。主な訳書に『LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる』『FRIENDSHIP 友情のためにすることは体にも心にもいい』(ともに日経BP)、『THE FOREVER DOG 愛犬が元気に長生きするための最新科学』(ユーキャン)、『「人生が充実する」時間のつかい方』(翔泳社)、『脳の外で考える』(ダイヤモンド社)、『FULL POWER』(サンマーク出版)、『限界を乗り超える最強の心身』(CCCメディアハウス)がある。