更年期の「終わりかた」を知りたいです。閉経するとどんなことが起きていきますか?閉経前後の大まかな変化は?【専門医に聞く更年期】 | NewsCafe

更年期の「終わりかた」を知りたいです。閉経するとどんなことが起きていきますか?閉経前後の大まかな変化は?【専門医に聞く更年期】

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更年期の「終わりかた」を知りたいです。閉経するとどんなことが起きていきますか?閉経前後の大まかな変化は?【専門医に聞く更年期】

「お会いするだけで更年期の沈んだ気持ちが前を向く」「楽しくお話して、気づいたら心にわだかまっていた重いものが消えていました」とファンも多数の産婦人科医・小川真里子先生。昨今は女性誌でもその丁寧な解説を目にする機会が増え、嬉しいばかり! 現在は福島県立医科大学での診察のほか、週に一度東京・JR五反田駅のアヴァンセレディースクリニックで更年期外来をお持ちです。

長年に渡って女性特有のトラブルに向き合ってきた小川先生に、更年期時期の女性へのメッセージをいただきます。今回は「更年期の終わり方」について。

【女性の身体、思春期から更年期までby小川真里子先生】

「私の更年期はいつからいつまでですか?」すぐに答えられるといいのですが…

「この更年期症状はいつ終わるのですか?」、とてもよくいただくご質問です。例えば、ホルモン補充療法(HRT)を始めてある程度症状が落ち着いてくると、「これっていつ終わるんですか?」「この薬はいつまで続けるんですか?」と、「この次」に意識が向きますよね。

本当に、その「いつ」というのがわかるといいのですが……。いつ閉経するのかという時期と同様に、症状の経過もとても個人差が大きいのです。そもそも更年期症状自体が個人差が大きく、全然出ない人からどっぷりとすべてが辛い人、ほてりがちょっと出た人、関節症状が出た人、メンタルだけがつらい人、これらが複合して出る人など、本当にさまざまです。

よく「何年で終わりますか?」とも聞かれます。これも個人差が大きく、何年で終わるかはわからないのです。日本人を対象としたホットフラッシュの研究では、徐々に終わっていく方も、残念ながら更年期を過ぎてずっと続く方も、どちらもいることがわかっています。ですので、更年期という時期が終わったらすべての症状がなくなるかどうかも何とも言えないところがあります。

個人差はあるけれど、一般的には5年以内で落ち着く人が多いのかな。でも、長い方では10年以上ずっとというケースもあります。そのくらい、さまざまなのです。

辛さの感じ方も個人で違います。たとえばホットフラッシュも、夏場の滝汗は辛いけれど冬は気にしない、大したことないわ、という方もいます。また、気にしないという方の1年の中でも、涼しい時期に落ち着いたのに暖かくなったらぶり返すケースもあります。

特に季節の変わり目は症状が出やすい傾向があり、これから梅雨の季節に「一度は止まった汗が」ということもあります。こうした症状の波を繰り返しながら、波が少しずつおだやかになってきたり、波全体の「ここまでなら耐えられる」線が少しずつが上がっていくのだと思います。

更年期の初期に知りたい!更年期症状が「出てくる」典型的順番。そんなのあるのでしょうか?

事前に「あなたは51歳でホットフラッシュ、52歳でイライラに見舞われます」とわかっていれば便利ですが、女は不便ですよね、そもそも初潮がいつくるかすらわかないですし。

教科書には更年期症状の典型例として「最初に月経不順が起き、次にホットフラッシュなど血管運動神経症状、イライラや不眠など精神症状に見舞われ、しばらくして膣の症状が現れる」とあります。

でも、やっぱりこの順番に出てくるわけではありませんし、かわりばんこに出ることも、一気に出ることもあります。

最終月経から1年たつと、遡って最終月経を閉経と判定します。でも、閉経と判定したあとから再び月経がくる人もざらにいます。この際、卵巣から分泌される女性ホルモン、エストラジオールを血中に認めるケースもありますから、排卵は起きていなくても一時的に卵胞は育っている、つまりいちどは閉経と判定したのに卵巣機能が復活することもあるのです。人体はわからないものです。

更年期世代の不正出血、「受診してほしい」理由は子宮体がん

ここで注意してほしいのが、閉経期以降の不正出血です。このような話を聞いた後では「私も卵巣機能が復活しただけかな」と捉えてしまいそうですよね。そもそも更年期症状で婦人科を受診する人も一握りに過ぎず、たとえば不正出血も数日で止まったら「いいや」と忘れてしまう人が多い。でも、不正出血はがんの症状かもしれません。閉経期以降は子宮体がんの発症が増えるのです。

子宮体がんは一般的な婦人科検診では見つかりません。子宮頸がん検査に比べて大がかりな検査であるうえ、痛みもあります。一般的な自治体の検診に入っておらず、多くの場合で起きる不正出血が発見の手がかりです。更年期の出血だと思って様子を見ていたら実は子宮体がんだったということはよくあります。いつもと違うことが起きたら必ず受診してください。

この記事では更年期障害が終わっていく前半について伺いました。このあとのことについても【関連】記事でご紹介しています。

>>>更年期、太りやすくなるけれど対策の正解は?閉経が近づくとどんなトラブルが起きますか?【専門医に聞く更年期】

お話/小川真里子先生

福島県立医科大学 ふくしま子ども・女性医療支援センター 医学部産科婦人科学講座 特任教授

1995年福島県立医科大学医学部卒業。慶應義塾大学病院での研修を経て、医学博士取得。2007年より東京歯科大学市川総合病院産婦人科勤務、2015年より同准教授。2022年より福島県立医科大学 特任教授。日本女性医学学会ヘルスケア専門医、指導医、幹事。日本女性心身医学会 認定医師・幹事長・評議員。日本心身医学会 心身医療専門医・代議員。2024年4月から福島県立医科大学 ふくしま子ども・女性医療支援センター 特任教授。東京・JR五反田駅のアヴァンセレディースクリニックで、毎週金曜午前に完全予約制の更年期・PMS外来もお持ちです。


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