
価値観や立場が違えば、物事の見え方は変わるもの。それでも、否定に反論を重ねるほど、ネガティブは増幅し、自分の時間とエネルギーが奪われてしまいます。争わず、揺れず、品格美を保つためにできることはあるのでしょうか。
本記事では、モナコのパレスエリアで暮らす唯一の日本人女性起業家で、専業主婦から年商7億円企業を築き、TEDx登壇や国際舞台でも活躍するエミチカ氏の著書から、価値観が違う相手に揺さぶられない「品格美」のある振る舞いと、「美しい野心」に集中するコツをご紹介します。
※本記事は書籍『美しい野心があなたを変える モナコ流 夢を叶えるOne&Onlyな生き方』(エミチカ:著/日本実業出版社)から一部抜粋・編集したものです
価値観の違いで無駄に争わない
立場や役割が違うと、価値観は違ってきます。立場や役割によって物事を見る角度が違うので、判断基準に違いが出てくるからなのですが、価値観が違う者同士が議論したり、いい争ったとしても決着はつきにくく、お互いにネガティブな感情が生まれるだけです。
そもそも、価値観は自分の判断基準です。その価値観が培われる背景には、育ってきた環境や教育、経験や人間関係があり、そこに時代背景も加わります。
逆にいえば、自分と全く同じ価値観の人を探すほうが難しいのです。品格美のある人は、価値観の相違があっても「どちらも正しい。お互いの見ている場所が違うだけ」と理解していて、割り切って相手と接します。
自分の意見を押し付けたり、議論で相手を叩きのめしたり、自分の正当性を主張しようとする振る舞いは、品格美がない人の振る舞いです。
また、品格美のある人は、世の中に品格美がない人がいることも知っていますので、無駄ないい争いはせず、「自分とは違う」という価値観には深入りせずに、そっと距離を置き、自分の美しい野心に集中します。
それは、価値観の違いから生まれるネガティブな感情に気持ちが引っ張られて、ワクワク楽しいはずの美しい野心を叶える行動に水を差すのを避けるためなのです。
ボランティア活動とあるドクターからの否定的な意見
フィリピンでのボランティア活動の話を、知り合いの内科ドクターに話したときのことです。
「そんなのね、自己満足だと思うし、医療っていうのは継続的に見ていかないと意味がなくて、突然ポンと行ったからといって迷惑なんだよね」と、色々否定的にいわれてしまいました。
私が「このボランティア活動は20年以上続いているんですよ」と反論すれば、「いや、いや、一人の人を継続的に見ていくのが医療なんです」と、反論に反論が返ってくる始末で、私はこのやりとりにうんざりしました。
フィリピンでのボランティア活動で私が仲間に加わったのは、20年以上続いているフィリピン・日本・韓国にある医療ボランティアチームで、決まった地区を20何年間ずっと見守っています。
中には20年前に生まれた人が20歳になってボランティアチームに加わったりなど、現地に密着して活動しているボランティアチームです。
日本人のドクターがフィリピン女性と結婚していたり、仕事を休んで日本から現地入りしているドクターもいました。ボランティアチームの韓国医師団も、とても優秀なドクターたちで、「素晴らしいメンバーが真摯に取り組んでいる」と私は感じていました。
知り合いの内科のドクターは、そういうことも知らず、また聞こうともせず、勝手な思い込みと偏見で私に反論していたのです。
このすれ違いは「どこに価値基準を見出しているか」という相違から起こるもので、また立場の違いから、私の活動を受け入れにくい複雑な感情があったのかもしれません。
しかし、現地では、劣悪な環境の中で暮らしている人たちが大勢います。現地から遠く離れた場所で、評論家のように批判を繰り返したところで何の解決にもならないのです。それよりも求められていることは、世界基準のドネーション(寄付)活動なのだと私は思います。
私は「やらなきゃわからない。行かなきゃわからない」ということを改めて実感し、「現地に赴いたからこそ、次に自分がどうしたいのか、何ができるのかを考えるキッカケになった」と思いました。
▶「これは、そうそうできることではない」現地で感じたこと
フィリピンでのボランティア活動を通じて思ったこと
私は今回のボランティアで現地に赴いてみて、思うことがたくさんありました。ノブレス・オブリージュ※の考え方に沿って、慈善活動や社会貢献などの豊かさの循環の重要性を感じて行動した結果、ボランティア活動の大変さも、難しさも、人からのネガティブな感情を受けることも体験しました。
一方で、フィリピンでのボランティア活動のことを色々な人にお話しすると、「私も、そういうのをやってみたい!」「どうやったら参加できるのですか?」「どういうキッカケで行ったのですか?」と尋ねてくださる人がたくさんいました。
私の活動を伝えることで、新しい情報となってドネーションが広がり、豊かさの循環が加速するのなら、それも私の役割なのだと実感したのです。
日本からフィリピンにボランティアで行ってみると、距離としては遠くありませんでしたが、ボランティア活動で現地に向かえば5日間ほど時間を費やします。現地から日本に帰ってくれば、やはり心身共に疲れていますので、自分が回復するまでの時間も要します。おおよそ1週間ぐらい、自分の時間が必要になります。
「これは、そうそうできることではないな」と私は感じ、このことを20年以上継続させている、仲間の医療ボランティアチームに尊敬の念を覚えました。
ボランティア活動について、「自己満足」だといわれることがありますが、これも立場の違いからの価値観の相違だと思います。どの行為が自己満足だと感じるのかは、人によって違います。ただ、そう思う人がいるのは事実です。
ですので、ボランティアとして自分の時間や労力を使い、自己満足といわれてもなお、ドネーションとして社会貢献をおこなうには、品格美のある人の振る舞いとして無駄ないい争いはしないこと、「自分とは違う」という価値観には深入りせずにそっと距離を置きながら、自分の美しい野心に集中することが大切になるのです。
(編集部注釈)
※ノブレス・オブリージュ:フランス語で「noblesse(高貴さ)」、「oblige(義務を強制する)」。直訳すると「高い地位には義務が伴う」という意味。身分が高い者は社会的責任と義務があるという、欧米社会における基本的な道徳観。
■著者略歴:エミチカ
一般財団法人 KELLY CLUB JAPON 代表理事/EMICHIKACo.Ltd 代表取締役。モナコのパレスエリア(王宮前)に暮らす唯一の日本人。50歳で夫を亡くし、多額の負債を抱えながらも専業主婦から経営の世界へ。経験ゼロから始めた美容事業をわずか5年で年商7億円へ成長させる。その後の大病を機に、「手ぶらで生きる」人生へと大きく舵を切り、2018年、語学力も人脈もないままモナコへ渡る。2022年、海外TEDxスピーチが世界月間再生回数1位(日本人女性初)を記録。2023年、未来を切り拓く女性のためのエグゼクティブ・ソサエティ「KELLY CLUB JAPON」を創設し、女性経営者のさらなる飛躍とジェンダー平等実現を推進。国境を越えた交流と社会貢献活動にも注力し、貧困地域の子どもたちへの医療支援や、2024年国連総会連携サミット登壇など国際舞台で活躍中。著書に『結局、「手ぶらで生きる女」がうまくいく』(PHP研究所)、『「逢いたくなる」オーラをはぐくむモナコからの言葉77』(幻冬舎)など。
◆関連記事◆
■その「妬み」、放置すると人生が曇る原因に。女性起業家・エミチカ氏が教える「美しい野心」への乗り換え方




