更年期症状を「その程度のこと、我慢すればいいのよ」と言わせない。ベラルーシ出身の女性研究者が「更年期専門オンライン診療」を作り上げるまで | NewsCafe

更年期症状を「その程度のこと、我慢すればいいのよ」と言わせない。ベラルーシ出身の女性研究者が「更年期専門オンライン診療」を作り上げるまで

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更年期症状を「その程度のこと、我慢すればいいのよ」と言わせない。ベラルーシ出身の女性研究者が「更年期専門オンライン診療」を作り上げるまで

閉経の前後5年、つまり50歳前後の女性の多くが過ごす更年期には、女性ホルモンの減少によりさまざまな不調が引き起こされます。一般に6割前後の女性は何かしらの更年期症状を感じ、編集部アンケートでは2割から3割がかなり重篤な症状を経験するのですが、受診に繋がるのは有症者の1割程度とされます。

受診しない理由として「平日の昼間に通院する時間が捻出できない」「通える範囲に受診できる産婦人科がない」など環境因のほか、「以前に嫌な思いをしたので足が向かない」「ホルモン剤での治療に抵抗がある」「あちこち検査に行くことになりそうで最初の一歩が億劫」など心理因も挙がります。

更年期症状は「丁寧なカウンセリングで9割治る」とまで言われるほどメンタルの状態が重要とされるので、編集部はぜひ成人病と同様に保険制度上の『管理料』をつけてほしいと願っています。

こうした状況を前に、各地の医師・研究者・医療従事者が事実上の手弁当でさまざまなサービスを立ち上げています。オンライン診療「ビバエル」もそのひとつ。更年期専門の医療従事者によるカウンセリングと、産婦人科医を組み合わせたサービスで、予約から診察までがオンラインで完結し、処方された薬は自宅まで発送してもらえます。

「ビバエル」を立ち上げたのはHerLifeLab株式会社代表取締役CEO、OIST(沖縄科学技術大学院大学)客員研究員のオリガ・エリセーバ博士。沖縄発のスタートアップとしてオリガさんが更年期カウンセリングを始めた経緯と併せて、提携クリニックとして神戸・東京の2院で女性医療を強力に推し進める沢岻美奈子先生、お二人の「更年期への寄り添い方」を伺いました。

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「2013年ごろは、更年期の医療にたどり着くこと自体が数年がかりだった」オリガさんの体験とは

オリガさんは1971年生まれ、ベラルーシ出身。同国国立医科大学卒業後、国立血液研究所で医師として働いていましたが、チェルノブイリ事故以降キャリアを再考し、日本人医師との縁で1996年に来日します。大阪大学研究所を経て、2男1女の子育てをしつつ、2012年にはOISTでの癌免疫研究のため沖縄へ移住。しかし、42歳ごろに強い更年期症状に見舞われてしまいます。

「ホットフラッシュをきっかけに本当にさまざまなな強い症状が出ました。しかし病院に行っても『うちではわかりません、リウマチ内科へ行ってください』『その症状は精神科へ』とたらい回しにされます。甲状腺の症状があると更年期の治療ができないというわけではないのですが、そういった説明もないばかりか、『そんなものですよ』『その程度のこと、我慢すればいいのよ』と言われてしまって」

研究者・医療関係者でもあるオリガさんは、自分の症状に向けた治療法もあることを医学的な見地からは知っていますが、そうした説明は出てきません。オリガさんの訴えを聞き、適切な対応をしてくれる医師に巡り合うまで数年がかりだったといいます。

「44歳になって、やっと更年期も診察するクリニックにたどり着きました。インターネットで『どんな悩みにも寄り添います』と書いたオープンしたてのクリニックを見つけ、今度こそとの思いで受診すると、なんと初診で1時間くらい話を聞いてもらえて」

ここで初めてドクターに、自分の不調の悩みだけでなく、何年もの間どうしてこんな扱いを受けるのかが理解できず悲しかった気持ちを吐き出すことができました。そして、はじめて明確にこれらの理由を説明してもらえたといいます。

「そのうえで、『ここからここまでの症状は、こういう治療ですぐ元気になります。でも、この部分はどうすればいいかいまは私にもわからない。だから一緒にいろいろ試しましょう』と言ってもらえたのです。これこそが私が求めていた、私の人生を救う言葉でした。解決方法を『一緒に』探してあげる、この言葉を聞いた瞬間、それこそ鳥肌が立ちました」

当時オリガさんはあまりにも強い症状で仕事もできなくなってしまい、将来も見えず、医療の専門家のはずなのに何もできない状態に陥っていたそうです。自信も失い、本当にひどい状態だったと振り返ります。

「そんな自分の状態を理解してくれる人と、たった1回話すだけで、人生は大きく変わるんです」

たった1回のカウンセリングで人生が変わった。必要なのは「一緒に寄り添う」と言葉で示すこと

こうしたご自身の体験をもとに、同じように苦しむ女性たちを助けたいと起業する決心を固めてからは、いろいろな女性にインタビューしたというオリガさん。

「更年期症状に悩む女性たちはみんな孤独なんです。抱え込んで助けを求められない人もいるし、私のように医師や周囲に辛いと伝えたつもりなのに、必要な助けが目の前にない人もいる。いまでは『更年期です』と発言しても『大変ですね、何かお手伝いできますか』と応じてもらえますが、私の頃は『そんな言葉は日本では口にしてはいけません』とたしなめられました。場所によってはまだそういう空気感もあるでしょうし、『どうせ相談したところで』と我慢を重ねている人もいるはずです」

インタビューではこれまで語られてこなかった女性の内心の矛盾や葛藤も明らかになりました。おそらく、こうしたタブー感が矛盾を生んだのでしょう。

「自分が更年期かどうかを知りたいと同時に、先生に更年期と断言されたくない、タブーな状態になるなんて認めたくないという矛盾も起きるのです。私は昔からカウンセリングも学んでいたので、上から正解を指導するのではなく、ただあなたの話をいろいろ聞きたいのよというスタンスからスタートします。すると、みんな2時間3時間、ずっと心にたまった気持ちを吐き出し始めるのです」

こうしたアクティブリスニングには治療法としてのエビデンスもありますが、長く時間をかけないと根本的な解決に結びつかないため、日本で実現するには医師だけではなくカウンセラーの存在が必要です。

「私は医師のカウンセリングを通じて、自分が無理をしていることに気づきました。それ以降は自分の健康状態を崩さないためどのような優先順位をつけて行動すべきかと考えられるようになりましたが、更年期世代はこの自分の『無理』を自覚してない人がほとんどなので、それを助けたいと思うようになったのです。ビバエルでは看護師など国家資格を持つカウンセラーによる血の通った事前カウンセリングをしっかり行い、その内容を余さずドクターの診察に繋げて診察時間も短くてすむ仕組みをネット上で構築したのです」

ここまでの記事ではオリガ博士が更年期治療に携わった経緯を伺いました。続く後編では沢岻美奈子医師の経緯を伺います。

つづき>>>女性同士が支え合うことで更年期の苦しさはぐんと軽くなる。医療サイドが新たに構築する「語り合う」更年期診療とは

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