JA共済連は2025年12月19日、「α世代の農業体験と教育効果に関する調査」の結果を発表した。直近1年以内に56.2%の子供が農業体験をしており、親の75.7%が農業体験をさせたいと考えていることがわかった。 「α世代の農業体験と教育効果に関する調査」は2025年10月31日から11月7日にかけて、全国47都道府県のα世代の子供をもつ親1万人と小学5年生から中学3年生までの子供本人936人を対象に行った。 調査では、農業を体験した子供の農業に対するイメージとして「社会の役に立つ」が91.3%ともっとも高く、ついで「面白そう」68.3%、「楽しそう」61.1%、「やってみたい」55.6%といった肯定的な意見が多くあった。これに対し、農業体験をさせた親の92.1%が「体験させて良かった」と回答し、83.5%が「子供の成長を実感」、82.2%が「達成感を経験させられた」と述べている。 一方で、親の77.7%が「子供ができる農業体験の機会が少ない」と感じ、75.7%が「体験の機会をもっとほしい」と回答した。農業体験者の38.6%が「将来、農業をしてみたい」と答え、親の83.4%がその意思を応援したいと答えている。このことから、農業を社会に必要な産業と捉え、子供の選択を尊重する姿勢がみて取れる。 教育評論家の尾木直樹氏は、農業体験が人間性知能(HQ)を高める「原体験」の宝庫であり、徳育や食育にもつながると指摘する。自然体験の豊富な子供は自己肯定感が高く、自立的行動習慣や探究力が身に付いている傾向が示されている。農業体験では作物を育てることで命へのリスペクトや道徳心が育まれ、嫌いな野菜を食べられるようになるなど食育の効果もあるという。 JA共済連は農業振興活動の一環として、地域の食と農の活性化に向けて食育イベントや農業体験の開催支援を行っている。これらの活動は「一緒に地域を咲かせよう」という地域貢献活動の一部であり、全国で約5,000件の取組みが展開されている。活動はドローンなど先進機器の寄贈や農機具の提供、交通安全啓発など多岐にわたる。