俳優として幅広い役柄に挑み、その確かな演技力で観る人を惹きつける市川由衣さん。
最新出演作のドラマ『すべての恋が終わるとしても』では、自由奔放で仕事熱心な女性・宮内郁子を演じました。
「自分とはまったく似ていない役だったので難しかったです」と語る市川さん。これまでにない役柄に挑戦し、監督と何度も話し合いながら丁寧に作り上げていったといいます。
さらにインタビューでは、幼少期を共に過ごした祖母の存在や、家族と過ごす日常、そして30代後半から意識している体調管理や“ご自愛”の習慣についても語っていただきました。
今までにない役柄、“働く女性の恋愛”を描いて
──今回のドラマのオファーを受けたときの気持ちや、撮影現場での印象を聞かせてください。
最初にお話をいただいたとき、今までやったことのないような役だったこともあり、挑戦してみたいと思いました。この年齢でこういう役をいただけるのは嬉しいですし、結婚や出産を経た今だからこそ、バリバリ働く女性の恋愛を描けるのは楽しそうだなって思ったんです。
撮影現場はすごく穏やかで、撮影があっという間に終わってしまった気がします。私は白洲迅さん演じる野北とのシーンが多く、楽しく撮影できました。
大事な人を大事にできなかった、その過去を丁寧に表現
──郁子は心の中に“忘れられない存在”を抱えた役ですが、演じるうえでどんなことを大切にされましたか?
役をいただいたとき、まず自分との共通点や似ているところを探すのですが、郁子に関してはまったく共通点がなく、演じるのがすごく難しかったです。
最初に脚本を読んだときは、野北くんが本当にかわいそうだなと思いました。郁子、すごいなぁって(笑)。それでも郁子を愛したいし、筋をちゃんと通したいという思いで臨みました。
郁子は、自分にも周りにも嘘がつけない正直な人。一生懸命で、仕事を大切にしているからこそ周りが見えなくなってしまう。人の気持ちを考えていないように見えるけれど、実は繊細な人だと思います。
監督から「郁子にとって、野北は二番目に好きな人なのでは」という話をされたこともあったけれど、私はそう思えなくて。郁子は野北の思いをちゃんと受け入れて、惹かれていた。だからこそ苦しくて、どうしたらいいかわからなかったんじゃないかと……。その根底には、“大事な人を大事にできなかった自分”にトラウマがあって、野北にちゃんと向き合えないのではないか、と考えました。そうした解釈も含めて、監督と何度も話し合いながら丁寧に作っていきました。
市川由衣さんにとっての「忘れられない存在」は…
祖母は自分の中にずっといる、忘れられない存在
──郁子には“忘れられない存在”がいますが、市川さんにとっての“忘れられない存在”は?
私にとっては祖母ですね。小学校低学年くらいのときに母が家を出てしまって、ほぼ祖父母の家で育ったので、私にとって親のような存在でした。思春期に一番強く当たってしまったのも祖母だし、働いたお金でご飯を食べさせたいと思ったのも祖母。昨年亡くなってしまったのですが、自分の中にずっと祖母がいる気がします。
子どもと夫のおかげで“前に進む力”がついた
──いま、出会っている人の中で“忘れられない存在”になりそうな人はいますか?
間違いなく、子どもです。子どものためなら何でもできます。でも、家では“鬼お母さん”(笑)。子どもが5歳と9歳なのですが、男の子2人だから騒がしくてケンカもすごいんです。私もおっとり、おしとやかにしていられないし、「うるさい!」みたいな感じ(笑)。でも、それが仕事とプライベートのいい切り替えになってます。
私はもともとすごくネガティブで、独身時代は仕事の失敗を家に持ち帰り、ずっと落ち込んだりしていたんです。でも家族ができたことで、いい意味で忘れる力がついた。前に進む力がついたなって思います。夫も明るい人なので、家族にすごく支えられていますね。
新たな役柄に挑み、役に寄り添いながら丁寧に作り上げた時間。そして家族と共に歩んできた日々。関連記事「“自分がどう感じるかを大事に”市川由衣さんが見つけた、30代後半からの心と体の整え方」では、日々を健やかに過ごすために大切にしている体調管理や“ご自愛の習慣”について語っていただきます。
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「すべての恋が終わるとしても」
出演:葵わかな 神尾楓珠
藤原丈一郎 本田望結 山下幸輝 大塚萌香/白洲迅 市川由衣/飯田基祐 西田尚美
原作:冬野夜空「すべての恋が終わるとしても」(スターツ出版)
STORY:高校の同級生で、卒業式の日に付き合い始めた由宇と真央。”運命の恋”だと信じられるほど想い合っていた二人だが、大学進学を機に遠距離になり、次第にすれ違っていき…。二人の主人公を中心に、真央の幼馴染の颯と真央の妹の莉津、由宇と真央の母校に通う高校生の蒼と沙知、仕事で忙しい日々を送る野北と郁子の人生が絡み合い、それぞれの運命の針が動き始める。
2025年10月12日スタート
毎週日曜よる10時15分~11時09分
ABCテレビ・テレビ朝日系列全国24局ネット
放送終了後、TVerで見逃し配信
U-NEXT、Prime Videoで全話配信
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撮影/土屋哲朗
取材・文/遠藤まゆみ