元国税職員さんきゅう倉田です。
知り合いが東大専門塾を営んでいたので入塾試験免除で入塾させてもらって、日本史、地理、数学、古文、漢文、フランス語の教科書を買うところから始めて、東京大学文科ニ類に合格した。
東大受験をしてみて、受験には情報処理の能力、論理的思考力、記憶力が必要だと感じる。自分にもっと鋭敏な記憶力があったらどんなに受験が楽だっただろうか。それまでの人生の中で、自分の記憶力が相対的に優れていると思うことは多かったけれど、東大に入ればそれは平均的な水準で、短期間で大量の文章を正確に覚えられる一部の天才たちを羨ましく感じる。
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▶日本語が分からないのに中学受験に合格!?
日本語が分からないのにMARCH付属中学に合格
東大の友人Aは、小学5年生のとき北京から日本にやってきた。のちに分かることだが、通っていた北京の小学校は国内でも有数の進学校で、4年生の時点でほぼ全員が英語を流暢に話した。
そのような環境でAは最も勉強ができず、自分が優秀であることに気づかなかった。単身赴任だった父と暮らすため、家族で日本に引っ越してくると、一般的な公立小学校に通った。しかし、日本語が全く分からなかったので、授業にはついていけない。なんの学びもなかったそうだ。
親の希望で中学受験をしたが、まだ日本語が完全には理解できないし、日本語での受験科目の学習も効率が悪く、よい結果を残せなかった。
それでも、MARCHの付属中学に入学した。
さて、中学受験界隈ではMARCHの付属中学は人気がある。大学受験を経ずにMARCHに進学できる点に強い魅力を感じるのだろう。しかし、数十年前と異なり、MARCHの受験難度は大幅に下がっている。付属中学に入れる能力があれば、大学受験で早慶にも入れるのではないだろうか。
Aは中学2年生の時に塾に通うことにし、地元の公立中学に転校した。このような選択はかなり珍しいように思う。いなくはないだろうが、東大の同級生の中では初めて聞く。
この頃には、Aの日本語能力は日本人と遜色なく、学校で一番勉強ができたので「日本人馬鹿だな」くらいに思っていたらしい。
高校受験で東大進学率上位の高校に進学した。そこでも勉強ができた。模試の成績が著しく良かったわけではない。高校3年の模試ではAからEまでを満遍なく取ったらしい。それでも現役で東大に合格した。
今思い返すと、通っていた中国の小学校は天才の集まりだった。みな自分より勉強ができた。しかし、それでも「中国最高峰の北京大学に進んだ友達はいないかもしれない」と言う。
北京大の1学年の学生数は東大とほぼ同じ3,000人程度である。しかし、中国の大学入試「高考」の受験者数は1,200万人を超える。日本の共通テストの受験者数は50万人前後なので1/24だ。この数字だけで、北京大に入学することがどれほど大変か分かる。
▶中国人向けに大バズりしそうな新規事業
東京大学のキャンパスにやってくる中国人旅行者
本郷キャンパスでは、写真を撮る中国人旅行者を毎日見かける。なぜ外国の大学で記念写真を撮るのか不思議だったが、地理的に近く世界大学ランキングもそこそこであるが相対的に難度の低い東京大学へ子供を進学させようとしているのかもしれない。少なくとも選択肢にはあるだろう。
近年、中国から本郷地区へ引っ越して、子供を本郷小学校へ通わせる中国人が増えているらしい。当該小学校の教員がテレビの取材に答えていた。
これからどんどん優秀な学生が日本にやってくるだろう。
中国人向けに日本の受験情報を発信するサービスがあると良いかもしれない。
■編集部より
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