1人の女性が一生涯に産む子供の数に相当する合計特殊出生率が、過去最低を大幅に更新する見通しであることが2025年5月15日、日本総研の調査から明らかとなった。手厚さを増す少子化対策にもかかわらず、2024年は前年比0.05ポイント減の1.15と見込まれる。 日本総研は、厚生労働省「人口動態統計」および総務省「人口推計」「国勢調査」をもとに、2024年の少子化について分析。人口動態統計の年間推計の計算式を用い、2024年11月までの概数などのデータから試算した。 調査によると、1人の女性が一生涯に産む子供の数に相当する合計特殊出生率は、過去最低だった2023年の1.20を大幅に下回る1.15となる見通しで、出生数(日本人)も過去最低を更新。出生数は前年比5.6%減の68.6万人と、2015年以降の平均減少率4.2%/年から減勢が強まると予想され、出生率・出生数ともに反転上昇に至らないとみられる。 婚姻数は前年対比2.1%増の48.5万組となる見込み。コロナ禍による大幅減のリバウンド的な動きと考えられるが、結婚期にある若者の人口が安定期に入っている影響もあるため、若い世代の結婚意欲が高まっているとは言い切れないという。 出生数の変化を要因分解すると、2024年の特徴は、有配偶率と有配偶出生率の2要因が、2020年よりも強く出生数を下押ししたこと。コロナ禍で婚姻数が大幅減少した余波で有配偶率要因の下押しが強まることは当然だが、有配偶出生率要因も下押しの影響を強めている点は要注意だという。たとえ婚姻数の減少を止めても、夫婦がもつ子供の数の減少(有配偶出生率の低下)を改善できなければ、今後も出生率・出生数の低下に歯止めはかからないとみている。 なお、出生数および各要因の値は、1年あたりの変化量に換算。通常有配偶率や有配偶者数は国勢調査のデータを用いているが、次回の調査は2025年であるため、2024年の分析には、人口動態統計の婚姻数、離婚数から概算している。