パーソルキャリアが運営する転職サービス「doda」は2025年5月12日、「2024年度版 決定年収レポート」を公表した。前年度(2023年度)比で平均決定年収の上昇幅がもっともアップしたのは「IT・通信」で17万円増。転職者の約6割は転職後に年収アップを実現していた。 このレポートは、2019年4月から2024年3月の期間に「doda」のエージェントサービスを利用して転職した個人のデータをもとに、年度別で決定年収の推移や転職前後の年収変動を分析したもの。雇用形態は正社員。 調査によると、2019年度から2024年度の6年間で、決定年収は約40万円上昇。転職で年収アップを実現した個人の割合は2019年度の51.9%から2024年度は59.3%へと増え、過去6年間で最高を記録した。 業種別の決定年収上昇幅(2023年度・2024年度比較)をランキングすると、1位は「IT・通信」(前年度比17万円増)、2位は「旅行・宿泊・レジャー」(同15万円増)、3位は「エネルギー(電力・ガス・石油・新エネルギー)」(同14万円増)となった。 職種別の決定年収上昇幅(2023年度・2024年度比較)ランキングでは、1位は「技術職(組み込みソフトウェア)」(前年度比15万円増)、2位は「クリエイター・クリエイティブ職」(同14万円増)、3位は「企画・管理」(同13万円増)が続いた。 決定年収の増加は、深刻な人材不足を背景に「賃上げに動く業界の拡大」と「業態変革による異業種採用の増加」などが影響していると推測される。個人側で見ると、大手企業を中心にベースアップの動きが加速したことにより、市場全体の平均年収が上昇。現職での年収アップが叶いやすくなったことにより、転職時にはさらなる年収アップを求める個人が増加する傾向となった。 一方、企業側ではDXや事業の多角化などの業態変革を背景に、異業種からの管理職経験者やエンジニアなどの専門職採用が増加。これらの高度な経験やスキルをもつ人は希少であり、多くの企業が求めている。採用競争に勝つために高年収を提示する企業が増加した結果、多くの業種・職種で平均決定年収が上昇したと考えられる。 2025年度も労働力不足が一層深刻化する中、即戦力人材への需要はさらに高まり、採用競争が激化すると予想される。こうしたトレンドを受け、決定年収の上昇は今後も継続する見通しだという。