こんにちは。神奈川県在住、フリーライターの小林真由美です。ここ数年のマイテーマは「介護」。取材でも高齢者にまつわること(介護のほか、終活や相続・遺言など)に関わる機会が増えてきましたが、どこか他人事でした。それがしっかり「自分事」になった途端、驚くほど冷静さを失ってしまったのです。
【アラフィフライターの介護体験記 住まい探し編】17
◀◀前回の記事◀「高齢者の住まい探し」って実際どうなの?86歳になる義母の物件について不動産屋に聞いた現実に、思わず顔をしかめた【アラフィフライターの介護体験記 住まい探し編】#16▶まずぶつかった問題点は
苦戦する86歳義母の物件探し。そこで出会った「サ高住」とは?
3年ほど前、脳神経外科にて「認知症」(軽度~中等度)という診断を受けたお義母さん。現在は、我が家の近くにある<サービス付き高齢者向け住宅>(サ高住/食堂付き)で暮らしています。
田舎で1人暮らしをしていた数年前から、お義母さんには「もしかして認知症?」と思う言動がありました。きっかけは、台所で抱いたあらゆる違和感。冷蔵庫は食材で満杯になっており、缶詰や煎餅など常温で保存する食品だらけ。異臭がすると思ったら、腐敗した食材が入っていたこともありました。
その後、時に感情が高ぶったり、常に探し物をしていたり、何度も同じ話を繰り返したり……。会うたびに気になりながらも、もともとの性格(やや頑固でプライド高め)や老化現象ともとれる物忘れや怒りっぽさを、すぐに認知症と結びつけるのは難しかった。
しばらくすると、これらの言動は徐々にエスカレート! そのため、夫と私は「田舎の義母宅を訪れ『時間とお金がかかるうえ、何らかの不安を感じて帰宅する』を繰り返すなら、我が家の近くで暮らしてもらったほうがいいのでは?」との結論に至り、ひとまず住まいに関する情報収集から始めることにしました。
まず考えたのは、「我が家の近くで賃貸マンションを借り、必要に応じて訪問介護サービスを利用する」というパターン。さっそく気になる物件があったため不動産会社に問い合わせてみると、「86歳ですか……。正直なところ、入居審査をクリアするのは難しいかもしれません」という回答。少しエリアを広げてみても同じ状況で、「やっぱり賃貸物件を借りるのは、かなりハードルが高かった……」と改めて現実の厳しさを思い知るのです。
そこで地元の「地域包括支援センター」に相談へ。現状を伝えたところ、「安否確認などのサービスを利用できるほうがよいのでは?」と紹介されたのが、「サービス付き高齢者向け住宅」(サ高住)(※)でした。
(※)高齢者に配慮したバリアフリー構造の住宅。生活相談サービスと安否確認が必須で、食堂付きのところもある。入居条件は、「60歳以上の方」もしくは「要介護、要支援認定を受けている60歳未満の方」。認知症や感染症に関する独自の入居条件を追加している施設もある。提供されるサービスの内容は各住宅によって異なるため、必要に応じて訪問介護サービスなどを利用する(自立の方向けと要介護の方向けの住宅で、設備も大きく異なる)。
▶いざサ高住の見学へ!
いざ、サ高住の見学へ! 介護現場を知る叔母に「ココは見るべき」と言われたポイント
このとき、お義母さんは医療機関(脳神経外科、もの忘れ外来など)の受診を拒み、認知症が「グレーゾーン」だった時期。あくまでも自分は自立しているとし、1人暮らしを強く希望しています。
そんな中、地域包括支援センターで教えてもらったサ高住は、バリアフリー構造の個室で自由度の高い生活を送りながら、生活相談や安否確認をしてもらえる。さらに食堂が付いているところであれば、入居者と交流が深められるかもしれない。
「サ高住では生活支援サービス(食事の提供や掃除・洗濯など)が受けられる所もあるので、イメージを掴むためにも直接見に行ったほうがいいですよ」とのことで、さっそく見学することになりました。
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