災害救助隊の設立を~雪で混乱した大動脈 | NewsCafe

災害救助隊の設立を~雪で混乱した大動脈

社会 ニュース
先週末、東日本は記録的な積雪を記録しました。そのため、除雪車が間に合わず、あるいは故障していたことにより、主要な道路、線路の除雪が間に合わず、あちこちで通行止めがあったり、電車・汽車の運休が相次ぎました。

私は、大雪が降り始めたころ、岩手県釜石市にいました。震災から3年目になる被災地の取材のためです。しかし、週末に帰ろうとしていたために、釜石の人たちに「今日は行かないほうがいい。何日か泊まっていきな」と助言を頂きました。

たしかに、その前の週も大雪でした。そのとき、私は東京を出発したために、混乱ぶりは想像できました。9日に東京を出発したのです。通常ですと8時間かかる石巻までの道のりですが、このときは12時間かかりました。そして、釜石市に向かうときにも市街地まで数キロというところまで来て渋滞。2時間半かかりました。

そうした経験があったために、大雪になって道路が凍ったら余計に混乱するだろうと思ったのです。そして、降っている最中であれば、凍結はしないし、夜であれば、交通量も少ないだろうと思ったのです。そのため、釜石の人たちのアドバイスに反して、出発したのです。

遠野市を抜け、東北道から東京へ向かおうとしたとき、遠野の積雪量は釜石よりも多かったので、走行しにくいのですが、花巻ICまで到着すると、雪がほとんどありませんでした。よくこの周辺の人たちは「遠野は寒い」と言っていますが、積雪量にも現れていました。ただ、東北道に乗れても仙台・泉ICまでしか行けません。そこから一般道・国道4号になるのですが、そこで大渋滞となったのです。

「これはなかなか進まない」と直感で思った私は、いったん引き返し、コンビニの駐車場で寝ました。再び起きたときにTwitterで確認すると、大渋滞のままです。そうしているうちに、いろいろな人が情報をくれました。そして国道4号を諦めて、6号へと進み、南相馬市から八木沢峠を越えて二本松に抜けるルートを考えたのです。しかし、八木沢峠だけでなく、そのほかの6号から山越えをするルートはすべて雪で通行止めでした。

南相馬市や相馬市ではスーパーから雪かき道具が消えていました。不足しているというのと、物流もストップしたためです。南相馬市のスーパーではカップ麺が棚かから消えました。それを見た高校生は「震災を思い出すね」と話していました。東日本大震災のとき、南相馬市は避難指示が出された地域と屋内待避となった地域があり、物流がストップしました。市内のマクドナルドは今でも閉まったままです。物流のストップはそんなことを思い出させたのです。

「南相馬は孤立した」。そう思った女性がいました。もちろん、原発事故のときほど危機感はなかったのですが、避難生活で疲れているためか、この状況を雪遊びで楽しむしかなかったようでした。翌日になって、東北道の通行止めが解除され、東京に戻ることができました。山梨県や長野県、群馬県などでも孤立し、物流がストップしたり、ライフラインが途絶えたところもありました。

こうしてみると、除雪のための予算をどこまでつくるのかという問題になります。「除雪の予算が少ないんですよね」という話はよく聞きました。たしかにいつあるのか分からない大雪のために予算付けをするのは難しいでしょう。しかし除雪の予算だけが大混乱を引き起こした原因なのでしょうか?除雪のための人員、自衛隊の緊急出動の体制はどうだったのかというのも検証する必要があるでしょう。この際、災害救助隊のようなものを設立したほうがいいと思いました。

[ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材 有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中]
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