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9日。ロンドン近郊のウィンブルドンでの全英オープン男子決勝。地元のアンディ・マレーと3年ぶりの優勝を目指すロジャー・フェデラーの1戦。3-1でフェデラーが7回目の優勝を手にした。優勝7回はサンプラス、レンショーと並ぶ。メジャータイトルの記録も17と伸ばした。スタンドでは、ミルカ夫人と双子の娘シャリーン・リバとミラ・ローズも手を振り、父親は笑顔に崩れた。

初めての晴れ舞台に立つマレー。スタンドの応援を背に第1セットから快調な滑り出しだった。強打炸裂、サービスエースと第1セットはマレーが取る。第2セットもマレーの進撃は続いた。このままでは3-0でマレーの優勝かと思えるほどだった。5ゲームスオールでの第11ゲーム。フェデラーは何とかキープ。続く第12ゲーム。フェデラーはブレークポイントを握り、打ち合いのすえバックのドロップボレーでブレーク。ワンチャンスを生かしセットアールにした。これでフェデラーは生き返った。第3セット。豪雨で中断し、コートの屋根が閉まる。均衡できた第6ゲーム。マレーのサーブはジュースに。フェデラーはブレークポイントを握るが、ここぞの時にマレーのサービスエースが決まる。10回目のジュース。フェデラーはブレークポイントを握り、フォアハンドショットが炸裂し、ついにこのゲームをブレークした。この試合はここで決まったとも言える。6-3、6-4と連取し、ウインブルドンの王者が復活。テニスの神様は、まだまだ現役だった。

ウインブルドンのチャンピオン復活までは、長い道のりだった。10年全豪でマレーを破り優勝してからは、4大大会優勝は遠い存在になってしまった。ナダルとジョコビッチが力をつけ、それ以降のメジャー大会の優勝は2人が独占した。フェデラーが決勝に進出したのは11年全仏だけ。それ以外は準決勝、準々決勝で姿を消した。30歳に近づきフェデラーの時代は終わったとさえ囁かれた。、今季は全豪、全仏ではナダル、ジョコビッチに敗れたが久々に好調だった。自分の庭とも言われるウインブルドン。最後のチャンスとも思われた。しかし3回戦で思わぬ苦戦。ベネトウに2セット先行され、マッチポイントも取られたが勝ちきった。フェデラーのパワーアップしたのは準決勝ジョコビッチ戦。世界1位を相手に、完璧な試合で3-0で葬った。これほど強いフェデラーを見たのは久々だった。決勝は地元マレー相手と言え完勝だろうと思われた。しかしマレーのパワーとディフェンスは想像以上。緊張したのはフェデラーだった。しかし第1セットを失ってからのフェデラーは試合展開ががらりと変わった。強打の連続の中にもサイドスピンの効いたスライスを織り込み、ショートクロス、ドロップショット、スマッシュなどあらゆるショットを織り交ぜマレーを翻弄した。

「娘たちに自身の優勝の姿を見せたい」がフェデラーの夢。09年7月に誕生した双子は10年全豪優勝は記憶に残すことは難しかった。そこからは苦難が続き、夢は実現しなかった。今回はベストなタイミングでの勇姿となった。「この特別な瞬間を家族全員で分かち合うことがどんなに素晴らしいことかよく分かっていた」と言うフェデラーは目に涙を浮かべていた。世界1位在位週もサンプラスを抜き、残る野望はロンドン五輪での優勝だろうか。

[ビハインド・ザ・ゲーム/スポーツライター・鳴門怜央]
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