新しい環境への違和感は「自分を理解できている証拠」公認心理師が教える心の守り方
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なぜ違和感が「自分を知る手がかり」になるのか、またその違和感をデータとして記録し、今後の選択に生かしていく方法について栗本氏の著書『10代のうちに知っておきたい心の守り方』(かんき出版)より紹介する。※本稿は、『10代のうちに知っておきたい心の守り方』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
その違和感は「自己理解の深さ」
あなたが今の学校に通うまでには、さまざまな理由やきっかけがあったはずです。たまたま家が学区内だったからかもしれないし、仲の良い友だちやきょうだいが通っていたから、その学校に決めたという人もいるかもしれません。受験をした結果、第一志望ではなかったという人もいるでしょう。
でも、たとえ第一志望の学校だったとしても、学校を決める段階ではその学校のすべてを知ることはできません。同じクラスになる人も、担任の先生も、成績が良かったからといって自分で選ぶことはできないですよね。どうがんばっても、「運」や「偶然」としかいいようのない要素があるのです。
ですから、授業のスピードが速すぎて理解が追いつかない、先生の教え方があわない、クラスの居心地が悪いなど、違和感を覚えてしまうのは仕方がないこと。むしろ、なんの違和感も不満もない状態でいられるほうが奇跡と言って良いと思います。
こういうとき、「努力不足なのでは?」「自分がわがままなのでは?」と考えてしまう人はとても多いです。でも、ちょっと考えてみてください。図書室のような静かな環境のほうが集中できるという人もいれば、友だちと一緒に勉強することで力を発揮する人もいます。競争がモチベーションになる人もいれば、1人で黙々とやりたいタイプもいるでしょう。すべての人にあう環境なんてないのです。
今の環境に違和感があるということは、自分で自分のことがわかっているということ。それは「わがまま」ではなく「自己理解の深さ」だと私は考えています。
違和感を記録する
日々の生活で「居心地が悪い」と感じた場面をノートに書き出してみましょう。あなたの違和感がデータとしてたまっていくと、自分の傾向が見えてきます。すると、次の選択の機会にこのデータを生かすことができるようになります。
〈例〉
メモ「放課後、大人数のグループでおしゃべりするのが疲れる」
➡ 自分は1対1で話すほうが落ち着くタイプかも。友だち付き合いは少人数で楽しもう。
〈例〉
メモ「先生に『早くやりなさい』と急かされて、頭が真っ白になった」
➡ 自分のペースを乱されるのが苦手だ。塾は自分のペースで進められる個別指導系が良さそうだな。
数か月後の自分が、次の選択をするときのヒントを残しておくイメージです。「自分はこういうときにストレスを感じるんだな」とわかっていると、大人になっても役に立ちます。
高校、バイト先、大学、就職先……と、選択は続いていきます。違和感を記録しておくことで、自分を苦しめない場所を賢く選べるようになるのです。
プラスの“引っかかり”に目を向ける
ネガティブな側面にだけ目を向け続けているとつらくなってしまうので、プラスの側面にも目を向けてみましょう。
たとえば、
勉強は難しいけど、国語の授業で先生のひと言が心に残った。
クラスの雰囲気はイマイチだけど、図書室に置いてある本が自分好みだった。
こんなふうに、「良いな」と思った出来事はないでしょうか。
些細なことと思うかもしれませんが、こうした小さな出来事は、ほかの学校に行っていたら出あえなかったことです。探し方のコツは、「大きな出来事」を探すのではなく、日常の中の“引っかかり”や“気づき”に目を向けることです。
制服のセンスが良いな
あの子の言い方は優しいな
この学校の図書室は居心地が良いな
有名なあの人も卒業しているんだよな
といった、「プラスの感覚」を探してみてください。
体育祭や修学旅行といった大きなイベントである必要はありません。「あなたの心が少しだけ動いた瞬間」を探すこと。この小さな発見を積み重ねることで、「ここにいる意味」が少しずつ自分の中にたまっていき、あなたを支える力となるでしょう。
<著者プロフィール>
栗本顕(くりもとあきら)
1991年千葉県生まれ。 公認心理師、いじめ撲滅委員会代表。いじめ不登校自殺防止コンサルタント会代表。メンタルヘルス総合サポート株式会社代表取締役。大学院在学中からいじめ支援活動を開始。小中学生~社会人までを対象に、これまで5万件以上のカウンセリングを行う。学校や企業へのカウンセラーの派遣、サポート、指導も行い、秀明大学や大竹栄養専門学校などで非常勤講師を務めるほか、教育現場での講演、SNS相談、コンサルテーション、執筆など多方面に活動。実践と理論を融合したアプローチで、多くの子どもや教育関係者を支援している。2026年度よりメンタルヘルス総合サポート株式会社を設立し、代表取締役として教育や産業の現場で心理支援を行っている。本書がはじめての著作となる。



