
「家賃は抑えたいけど、通勤はなるべくラクにしたい」──住む場所選びで、こんなふうに迷ったことはありませんか?コロナ禍やリモートワークの普及などで一時期は郊外志向が強まりましたが、現在は通勤回帰により“近さと安さの両立”を模索する人が増えています。
FP・金融コンサルタントとして30年間活躍してきた川口幸子氏は、住まい選びは将来の「資産形成」に大きく影響すると語ります。
本記事では川口氏の著書から、住む場所とお金の関係について、後悔しない選び方のポイントを紹介します。
※本記事は書籍『FP歴30年の母が20代の娘に伝えたい人生が変わるお金の話』(川口幸子:著/日本実業出版社)から一部抜粋・編集したものです
どこに住むかは資産形成に影響する
社会人にとって、「どこに住むか」は毎月の支出、そして将来のお金の余裕に大きく影響します。
「通勤時間」と「家賃」から最適な場所を
都心に会社があった場合、少し離れた郊外に住めば家賃を抑えられます。家賃が安いと、その分を貯金や投資に回せて、将来の資産形成に役立ちます。一方で、通勤時間が長くなることで、毎日の疲れがたまったり、自分の時間が取りにくくなるデメリットも。
逆に、会社の近くに住むと家賃は高めになりますが、通勤時間が短くなり、体力や時間にゆとりが持てるメリットがあります。朝に読書や資格の勉強をしたり、夜に副業や趣味に打ち込む時間を確保することもできます。
つまり、家賃と通勤時間はトレードオフの関係にあります。次ページ図を参考に、どこに住むかを検討してください。
また、将来マイホームを買うことを考えている人にとっては、今の賃貸生活も「住まい選びの経験」になります。
駅から遠い物件は安いけれど、将来売る時に買い手が見つからないことも。反対に、駅近や人気エリアの物件は資産価値が落ちにくく、売却や賃貸で有利です。
もし実家を出て一人暮らしを始めるなら、更新費用や引越しコストも含めて、総合的に考えることが大切です。
20代のうちはフットワークも軽く、生活コストの変化にも柔軟に対応できます。だからこそ「どこに住むか」は、ただの生活の話ではなく、自分の将来をつくる選択でもあるのです。
住まいとして不動産を買う場合の注意点
不動産購入は、人生で大きな買い物の1つです。将来の資産形成にもつながるため、慎重に考えましょう。
まず、前述した賃貸と同様に、「どこに住むか」がとても重要です。駅や職場からの距離、周辺環境、生活利便性を確認してください。
都心や人気のエリアは価格が高いですが、資産価値が下がりにくい傾向があります。逆に郊外や地方は安いですが、将来売りたい時に買い手がつきにくいこともあります。
住宅ローンを組む場合は、年収や勤続年数、信用情報が審査されます。目安は年収350万円以上、勤続年数3年以上が望ましいです。
借入可能額の目安は、一般的には年収の5〜7倍とされています。借入額は無理のない返済計画を立て、生活費を圧迫しない範囲にしましょう。
修理費などの支出、将来その家をどうするかまで考える
物件選びのポイントは、建物の状態や管理状況、将来の修繕費の見込みも忘れずに。中古物件の場合はとくに、築年数やリフォーム履歴をチェックしましょう。
マンションであれば管理組合の運営がしっかりしているかも重要な判断材料です。購入後も税金や固定資産税、管理費、修繕積立金など、毎月の支出が続きます。これらを含めた「総合的な支出」を把握しておくことが大切です。
将来的に売却や賃貸に出すことも視野に入れておくと安心です。資産価値が維持されやすいエリアかどうか、人口動態や再開発計画を調べましょう。
最後に、信頼できる不動産会社や専門家に相談しながら進めることが成功の鍵です。物件の良し悪しだけでなく、余裕のある資金計画をして、契約内容やローン条件も納得したうえで進めましょう。
ここまでの記事では、住む場所と資産の関係についてご紹介しました。つづく関連記事では、各種保険の特徴とメリット・デメリットについてお届けします。
つづき>>満期金つき vs 掛け捨て。結局どっちがいいの?自分が加入している保険のメリット・デメリット、答えられる?【FPが解説】
著者:川口幸子(かわぐちゆきこ)
金融コンサルタント、ファイナンシャルプランナー、宅地建物取引士、国際認定コーチ、マネーセミナー講師。家庭の事情から幼少期に祖父母の元で暮らし、米国や英ロンドン、日本の行き来を経験。資産家ユダヤ人や欧米人富裕層との出会いから”欧米式のお金の教育”を受けて育ち、8歳で長期積立分散投資をスタート、13歳で約400万円を貯める。銀行勤務を経てFP・金融コンサルタントの道へ。金融教育や講演にも力を入れ、現在約4500名の顧客を抱えている。著書に、『ユダヤ富裕層が13歳までに学ぶお金のルール』(秀和システム)、『定年5年前に読むお金の本』(PHP研究所)等がある。





