慶(吉岡里帆)の隠し事が明らかに。憎しみが交差する乱世、小一郎(仲野太賀)の歩み寄りから生まれた幸福とは【NHK大河『豊臣兄弟!』19話】 | NewsCafe

慶(吉岡里帆)の隠し事が明らかに。憎しみが交差する乱世、小一郎(仲野太賀)の歩み寄りから生まれた幸福とは【NHK大河『豊臣兄弟!』19話】

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慶(吉岡里帆)の隠し事が明らかに。憎しみが交差する乱世、小一郎(仲野太賀)の歩み寄りから生まれた幸福とは【NHK大河『豊臣兄弟!』19話】

*TOP画像/慶(吉岡里帆) 小一郎(仲野太賀) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』19話(5月17日放送)より(C)NHK

戦国時代のど真ん中を舞台にした『豊臣兄弟!』(NHK総合ほか)の主人公は仲野太賀が演じる豊臣秀長。兄弟の絆で“天下統一”という偉業を成し遂げた豊臣兄弟の奇跡を描いた大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK総合ほか)の第19話が5月17日に放送されました。40代50代働く女性の目線で毎話、作品の内容や時代背景を深掘り解説していきます。

正しさと協調の狭間で……。高虎が本放送のラストで見せた成長

本放送回は“自分の信念”と“相手への歩み寄り”について考えさせられる内容でした。加えて、自分の思いや考えを相手に根気強く説明しなければ理解されないということも、改めて感じました。

第19話は、織田信長(小栗旬)が嫡男・信忠(小関裕太)に家督を譲り、自身は安土に移ることを家臣たちに伝える場面で幕を開けます。

ちなみに、史実において、織田信長が嫡男・信忠に家督を譲ったのは、42歳の頃でした。一方、信忠は19歳。現代人の感覚では、40代前半といえば企業の中核を担う働き盛り。しかし、当時の平均寿命は40歳前後であり、武士の主な仕事が戦である以上、体力の衰えや走れなくなる前に引退を考えるのはごく自然なことです。1873年の徴兵令でも徴兵の対象上限は40歳だったことを考えれば、信長は十分すぎるほど長く、家を立派に守ってきました。

話を本作に戻しますが、安土城を築く工事に小一郎(仲野太賀)の家臣・藤堂高虎(佳久創)も携わりました。しかし、間もなくして、トラブルが勃発。高虎はみんなが積み上げた石を勝手に崩そうとしたのです。高虎は“隙間を最後に埋める”と考えていたのに対し、他の者は“隙間だらけでは敵が登るし、崩れる”と考えており、お互いの考えに食い違いが……。

さらに、高虎は頑丈な城の作り方を提案するも、「ここからやり方を変えるのは無理じゃ」と一蹴されていました。現場を追い出された高虎は城に戻り、小一郎に一部始終を話していました。「わしは間違ったことは言うておらん」と憤る高虎に対し、小一郎は「だとしても 一人では城は造れぬ」「戦も同じじゃ 一人では勝つことなどできぬ」と諭します。

小一郎は高虎の短所を長所として認め、周囲に理解されない高虎の心情に共感していました。それでも、小一郎は高虎に常に同調するわけではなく、主君として、年長者として助言を送ります。優れた能力と鋭い視点を持つ者にとっては、複数人で作業するよりも、独力で進めた方が早い場合もあります。それでも、城のような大事業は一人では成し得ず、戦もまた然り。

また、この世は卑怯や嘘が蔓延っており、高虎のように純朴で、正しいことを常に行おうとする者にとっては、“なぜ?” “それっておかしくない?”と疑問が尽きません。それでも、高虎が周囲とうまくいかずに勤め先を辞めてもなお、新たな主君に仕えてきたように、生きていくには人とつながっている必要があります。周囲との協調や相手への譲歩はある程度必要です。

本作終盤、高虎は築城の仲間に紙を渡しながら、何かを丁寧に伝えようとしていました。相手と真摯に向き合おうとするその姿は、高虎の成長を感じさせるものでした。

慶の背中の傷と不審な動きの理由が明らかに

小一郎は慶の不審な行動や、百姓風情の村川竹之助(足立英)との頻繁な接触が気になっていたものの、慶に問いただせずにいました。慶への遠慮と、織田軍との戦で夫を失った彼女への罪悪感もあったのでしょう。

そんな小一郎ですが、「いつも会(お)うている男は 何者じゃ」「どこの誰なのか 素性を話してもらいたい」と、慶に率直に尋ねました。慶は「もしや やきもちですか?」「もう会いませぬ」とだけ答え、真相を語りませんでした。

小一郎は竹之助の口から真相を知りました。竹之助は「慶様をお救いください」と訴え、慶の息子の存在を打ち明けました。小一郎は竹之助とともにある村を訪れ、慶の息子・与一郎(高木波瑠)と出会いました。

小一郎(仲野太賀) 与一郎(高木波瑠)  大河ドラマ『豊臣兄弟!』19話(5月17日放送)より(C)NHK

与一郎は慶の夫・頼広の両親である堀池頼昌(奥田瑛二)と絹(麻生祐未)に育てられていました。二人は慶の父・安藤守就(田中哲司)が信長に寝返った恨みから、慶を家から追い出し、我が息子の子でもある与一郎を預かっていたのです。

さらに、慶の背中の傷の真相もついに明らかに……。この傷は、慶が与一郎を抱きかかえて逃げようとした際、頼昌に刀で斬られてできたものです。頼昌は非情な男に思えるかもしれませんが、彼もまた乱世に翻弄された一人に過ぎません。貧しい身でありながら、息子の子を必死に育て上げました。また、彼にとって与一郎を慶から離すことは、裏切り者の家から孫を守るための正義でもありました。頼昌の生き方も判断もまっとうなものといえるでしょう。

慶は与一郎を義実家に預けることとなりましたが、愛する息子を一時も忘れることができず、遠くからそっと見守り続けていました。慶は我が息子を奪い、自分を斬った頼昌に対して、うらみつらみを一切口にせず、真摯に向き合っていました。それは、頼昌もまた自分と同じく深い苦しみを抱えていることを理解していたからです。慶も頼昌も乱世における犠牲者と言えるのかもしれません。

小一郎は慶と与一郎が一緒に暮らせるよう取り計らいましたが、慶が頼昌に求めたのは“与一郎に恨みを晴らさせるようなことをやめてほしい”ということだけでした。憎しみの苦しさを知る慶は愛する息子に同じ思いをさせたくなかったのです。

そして、慶は「もし それで お気持ちが済まぬというなら…私をお討ちくださりませ」と、頼昌に告げました。頼広の太刀が慶に再び振り下ろされそうになった瞬間、与一郎が「母上を 斬らないでください!」と叫びました。

堀池頼昌(奥田瑛二) 慶(吉岡里帆) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』19話(5月17日放送)より(C)NHK

堀池頼昌(奥田瑛二) 絹(麻生祐未) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』19話(5月17日放送)より(C)NHK

頼昌と絹は最愛の息子・頼広が優しかったことを思い出し、慶につらくあたっていたことを詫び、歩み寄りました。人は憎しみの中で生きることほどつらいことはありません。小一郎が与一郎に織田家の者を殺すためでなく、おいしい柿を採るつもりで弓を射るようにとアドバイスしたように、憎い相手を打ちのめすために鍛錬するのではなく、自分の幸せのために励みたいものです。

また、今回の放送回では、藤吉郎(池松壮亮)が柴田勝家(山口馬木也)に歯向かい、信長の命令に背いて兵を出しませんでした。それは、上杉謙信(工藤潤矢)との戦で勝てる見込みがなく、戦死者を出さないため、ひいては信長を守るためでした。藤吉郎の判断は正しいものですが、それは信長への謀反に他ならず、許されることではありません。藤吉郎の判断を信長は理解してくれるのだろうか……。

本記事では、第19話を振り返りながら、乱世で生まれる憎しみと歩み寄りについてお届けしました。

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《OTONA SALONE》

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