ジャパンプレミアに先駆け、「スペシャルイベント」トークショーに登壇した高橋と渡辺監督。撮影が終わって約1年ぶりの岡山凱旋イベントとなり、高橋は「ただいま帰りました!この岡山で撮影できたことは未だにしっかりと記憶に残っています。素晴らしい景色の中で撮影ができました」と挨拶。
極寒だったという約1年前の撮影を振り返り、「雪景色がまるで一月ぐらい前のことのように感じられます。穴門山神社(あなとやまじんじゃ)というところで撮影をさせていただきましたが、まるでタイムスリップするような感覚の場所だったから、いまだにあそこの景色を思いうかべると、ちょっと気持ちがとらわれるという感覚はあります」と感慨深い表情を見せた。
高橋一生「子どもながらに、あまり実害のない妖怪だなと」
また、渡辺監督は、妖怪「すねこすり」をモチーフに本作を作った理由について「元々NHK岡山で仕事をしていたというご縁と、今回のプロデューサーの1人が岡山出身ということで、岡山で何か作品を作ってみようということになりました。そこで、妖怪や昔話のようなものをやりたいなとなり、いろいろ調べていた時に『すねこすり』に出会いました。それで、そういえば一生さんが、すねこすりを好きだとおっしゃっていたことを思い出しました」と明かす。
「だから、一生さんや、すねこすりありきと言うと失礼ですが、そこも何かご縁を感じて、お声がけさせていただきました」と高橋へのオファーの経緯を話した。
高橋は、もともと幼少期から妖怪好きだったそうで「昔から水木しげるさんや、妖怪が描かれている昔の絵画を見るのが子どもの頃から好きでした。妖怪はすごく怖かったけど、なぜかすねこすりだけは全然怖くなくて。見た目が可愛い丸っこい猫みたいなんです。大雨の降りしきる中で足元を取られる絵があるのですが、それもまるで猫を発見した人みたいに見えて。子どもながらに、あまり実害のない妖怪だなと思い、なぜこの妖怪が存在しているんだろうとずっと心に残っていました」と、すねこすりへの愛着を明かした。以前テレビ番組で高橋が「すねこすり」が大好きだと語っていたということを渡辺監督が知っていたのを受けて、高橋は「僕は、すねこすりに助けられました! すねこすりのご縁がなかったら、オファーをいただけなかったので」とおちゃめに語り、会場の笑いを誘った。
「僕はべとべとさんが大好き」
そして、イベント参加者からの質問コーナーへ。白髪の老人「謎の男」を演じる高橋は、約4時間におよぶ特殊メイクで臨んだが、「皮膚呼吸はできるのでしょうか? 苦しかったことなどはありますか?」という心配の声が上がると、高橋は「ありません」とキッパリ。「皮膚呼吸はできます。むしろ、(極寒の撮影の中)みんな肌がむき出しで大変だろうなと思いながら撮影していました。(特殊メイクの)マスクを外すとつやつやですから」と笑顔を見せた。
心惹かれる妖怪について、という質問があがると、すねこすり以外に妖怪「べとべとさん」への愛を炸裂させた高橋。
「べとべとさんは、夜道に後ろからついてくるんです。それだけ。べとべとさんの先を行って、後ろを振り返らないでいると消えるらしいです。僕はべとべとさんが大好きで、本当に、すねこすりとは僅差の次点です」と笑顔でたっぷりと語った。妖怪の魅力についても「恐怖の対象として形を与えてしまうこと自体が、人間の奥ゆかしさと奥深さで。恐怖を形にしてみないと怖くていられないという、人間の恐怖の感覚があるんじゃないかなと。そういう感覚が、僕はすごく好きです」とコメント。さらに渡辺監督に「次の作品はべとべとさんでお願いします!」とリクエストすると監督も「はい!」と快諾、会場を大いに盛り上げた。
ジャパンプレミア舞台挨拶も、満員御礼
スぺシャルイベントに続いて、劇場で行われたジャパンプレミアの舞台挨拶へ登壇した高橋と渡辺監督。劇場でも登壇の冒頭は、岡山に戻ってこられた喜びと感謝の言葉を伝えた。
印象深い岡山でのロケ地について、高橋はスペシャルイベントでも話題が上った穴門山神社を挙げ、「あの辺りは山中で、天候の移り変わりがとても早く、ロケでは雪が降りました。でも、現地の方たちも『こんなに雪が降ることは珍しい』とおっしゃっていたかと。ワンカットの撮影でも天候が変わったり、本来だったら色的にも繋がりがおかしくなってしまうような瞬間もありそうでしたが、監督が非常に柔軟に対応してくれました」と振り返る。「でも、結果的にワンカットの中で、天気が晴れから曇りになったり、その逆もあったりと、幽玄な世界を演出してくださった。とても不思議な世界観の中で、お芝居ができていたんじゃないかなと思っています」と、手応えを得ていたことを明かした。
今回、約4時間に及ぶ特殊メイクを施して老人になったことも話題になっている本作。高橋は「とてもチャレンジングなお芝居でした」と語り、「監督からお声がけいただけて、とても光栄でした。台詞で語るのではなく、佇まいや居住まいでお芝居を語っていくのは、ある種1つの理想だと思っていたので、それを一貴さん(渡辺監督)の作品でさせていただけたことがとても嬉しかったです」と、渡辺への信頼をのぞかせながら、かみしめるように語る。「僕は“高橋一生病”」渡辺監督が激白
大河ドラマ「おんな城主 直虎」や『岸辺露伴は動かない』シリーズなど、何作もタッグを組んできた高橋と渡辺だけに、2人の絆は深い。
渡辺監督は「最初は、若い男が森をさまよって、そこで少女と出会う話でしたが、一生さんに老人役を演じてもらったことで、老人からの目線というか、老人の人生もすごく深く立ち上がってきて、とても重層的な物語になりました。だから一生さんに本当に感謝しています」と高橋を心から称える。
続けて、「僕は“高橋一生病”的なところがあります(笑)。テレビアニメや本などを読んでいると、これを一生さんが演じたらどうなるんだろう!? と考えちゃって」と、さらなる高橋へのあふれる愛を吐露する場面も。『岸辺露伴は動かない』シリーズもそうだったようで、高橋も「すぐにメールをくださいましたよね。本当にありがたいことです」と笑顔を見せる。渡辺は「自分のクリエイティブの源泉になる、本当に大事な方」と“高橋一生病”全開のトークを続けた。なお、映画の聖地である岡山“ハレウッド”で撮影された本作にちなみ、日本遺産にも認定されている伝統的工芸品の備前焼に、手形とサインを入れる式典を実施。
最後の挨拶では、渡辺監督が「とても静かで時間の流れがいつもと違う感覚になれる映画です。『浦島太郎』は誰もが知っている話ですが、あれも時間の軸がちょっと曲がっている話かと」と言い、「すごく不思議な作品になったと思っております。観るたびにまた新しい発見がある映画だと思いますので、引き続き応援をしていただけると嬉しいです」とコメント。高橋は、「僕もこの映画は最近では、あまり少ないタイプの映画で、絵画を見るような感覚で映画を観るというのが一番適しているかなと。絵画のように映っている美しい岡山の風景の中に、何かが人をあやかしの世界に誘ってしまうような感覚があるというか。なかなかチャレンジングで、かつとても面白い映画なのではないかと。あまり物語の起承転結を追わず、あの映画館での出来事はなんだったんだろうと、まるで怪異に遭遇したように、映画館に迷い込んでいただけたらと願っています」と語り、イベントを締めくくった。
『脛擦りの森』は4月10日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開。












