これまでに『君と歩く世界』『エリザのために』『ジュリーは沈黙したままで』などに共同プロデューサーとして参加し、若手監督のサポートにも尽力してきたジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ。今作ではその逆で、同じベルギー出身の新鋭監督であるルーカス・ドンがプロデューサーとして加入している点に注目したい。
ルーカス・ドンは現在、兄のミヒール・ドンとともに自身の制作会社「The Reunion」を立ち上げて活動。ルーカス&ミヒール・ドン兄弟は本作に共同プロデューサーとして名を連ねている。1991年生まれ、現在34歳のルーカス・ドンは、長編デビュー作『Girl/ガール』(2018)で第71回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門でカメラドール(新人監督賞)を受賞。そして2作目となる『CLOSE/クロース』(2022)では、第75回カンヌ国際映画祭にてグランプリを受賞した。ルーカス・ドンはかつて「ベルギーにはシャンタル・アケルマン、ダルデンヌ兄弟、ジャコ・ヴァン・ドルマルといった人々による素晴らしい遺産がある。私たちは皆、自分たちにとって重要だと感じられる、心のこもった映画を作ろうとしている」と語り、またダルデンヌ作品の徹底したリアリズムや演出方法から大きな影響を受けていることを明かしている。
そして、そんなルーカス・ドンとダルデンヌ兄弟を結ぶ人物として、女優エミリー・ドゥケンヌを忘れてはならない。1999年のカンヌ国際映画祭パルムドール受賞作である、ダルデンヌ兄弟監督の長編4作目『ロゼッタ』で主演を務めたのがエミリー・ドゥケンヌだ。当時18歳、映画初出演で、主演女優賞を受賞し一躍有名に。また、ドン監督の『CLOSE/クロース』では主人公レミの幼なじみの母親ソフィーという重要な役どころを演じた。2023年10月に希少がんである副腎皮質がんを患っていることを公表し、闘病していたが、2025年3月に43歳の若さで亡くなった。
2025年のカンヌ国際映画祭の『そして彼女たちは』プレミア後のスピーチで、ダルデンヌ兄弟は、エミリー・ドゥケンヌに敬意を表し、「エミリーならこう言っただろう。『人生を祝い、若い女優たちを称えよう』と。そして、皆さんと共にいる最善の方法は、私たちと共に働き、この映画に多大な貢献をしてくれたすべての若い女優たちのことを思い浮かべることです」とスピーチした。ダルデンヌ兄弟が長年かけて示してきた映画作りに対する真摯な姿勢、それに対し共鳴を感じている若い製作者たちとの世代を超えたタッグは、ベルギー映画界の伝統と未来を繋ぐ存在として、注目を集めている。
『そして彼女たちは』は3月27日(金)よりBunkamura ル・シネマ渋谷宮下、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。
©Les Films du Fleuve - Archipel 35 - The Reunion - France 2 Cinema - Be Tv & Orange - Proximus - RTBF (Television belge) / Photo©Christine Plenus










