本作は、1965年8月13日に「ビートルズ」の4人が音楽史上初のスタジアム・コンサートのためにニューヨークに降り立ったところから始まる。それは、彼らが初めて日本にやって来た1966年6月29日の10か月あまり前のことである。
ビートルマニアと大勢の若い熱狂的ファンが、4人が宿泊するホテルの窓から見える彼らの姿を求めてマンハッタンの街を駆け巡る。しかし、それはこの熱い夏の週末の物語のほんの一部に過ぎない。
同時にシェイ・スタジアムのすぐ隣では「相互理解を通じた平和」というテーマを掲げたアメリカ史上最大の万博が開かれ、西海岸では人種差別に抗い34名が死亡したワッツ暴動が起こっていた。その時代、ロックやポップス史上においてだけでなくアメリカ、そして世界が大きく変わろうとしていた…。
本作は、ルーマニアの巨匠監督アンドレイ・ウジカが、処刑された独裁者を描いた彼の記念碑的作品『ニコラエ・チャウシェスクの自伝』以来となる長編作品として10年以上の歳月をかけ作り上げた新たな都市交響詩。ハーレムからロングアイランドのジョーンズビーチまで、ニューヨークとその人々を多様な視点で描き、100時間以上のニュース番組と100時間の個人の8ミリフィルムから抜粋したアーカイブ素材ですべてが構成されている。そこに、フランスのアーティスト、ニューヨーク・タイムズ紙やル・モンド紙にイラストを提供するヤン・ケビによるアニメーションを重ね合わせ、主人公の詩人ジェフリー・オブライエンとヒロインのモデルとなったコンサート・ファンのジュディス・クリステンの個人的な文章、およびアンドレイ・ウジカ監督自身が1972年に書いた詩を用いた声を加えている。
この度公開された日本版ポスタービジュアルは、TWA機のタラップを降りる「ビートルズ」の4人の写真、主人公ジェフリーの描くヒロインのデッサン、会場となるニューヨークのスカイラインとシェイ・スタジアムから夜空に蝶が舞い上がる様子が配され、ひと夏の夜の夢のようだった、「ビートルズ」と過ごした時を表現する。

分断や貧困、差別や暴力など現在も続く悲しい出来事のすべてを、「ビートルズ」とともにのり超えていけると信じられた時代の無垢な感覚が蘇るものとなっている。『ビートルズがいた夏』は7月4日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国にて順次公開。
©LES FILMS CAMELIA, MODERN ELECTRIC PICTURES, TANGAJ PRODUCTION, ARTE FRANCE CINEMA, L'INSTITUT NATIONAL DE L'AUDIOVISUEL, 2024












