「ていねいな暮らし」とは無縁だった52歳・バツイチ女性が、梅干しをつけてみたら | NewsCafe

「ていねいな暮らし」とは無縁だった52歳・バツイチ女性が、梅干しをつけてみたら

女性 OTONA_SALONE/LIFESTYLE
「ていねいな暮らし」とは無縁だった52歳・バツイチ女性が、梅干しをつけてみたら

日々が飛ぶように過ぎていくなか、自分のあり方に漠然と迷う40代50代。まるでトンネルのなかにいるような五里霧中ですが、そんななか「ほんのちょっとしたトライ」で自分のあり方を捉えなおすには、「最初の一歩」に何をしてみればいいのでしょうか。

ライター野添ちかこがオトナサローネ読者にインタビューを行い、リアルな女性の人生をお届けする本シリーズ。今回はバツイチのモモカさんが、あることをしてから、手作り保存食に目覚めたお話をお届けします。

◾️モモカさん
千葉県在住の53歳、バツイチ独身、自営業

【私を変える小さなトライ#45】

家事はイマイチ好きじゃなかった52歳女性が、「梅干し」作りに初挑戦!

2年前に離婚し、一人暮らしをしているモモカさん。ふと思い立ち、昨年の6月に、人生で初めて、梅干し作りに挑戦しました。これまでの生活は、仕事を中心に回っていて、食事や掃除にかける時間は最低限。料理は手作りするものの、さっと炒めるか、鍋にいろいろな食材を放り込んで煮る程度がほとんどでした。

「実家の母も祖母も、梅干しをつけているのを見たことがなくて……。『梅干しを漬ける人』といえば、丁寧な暮らしをしている人とか、料理研究家とか、料理が本当に好きな人。自分とは違う、特別な人たちのものだと思っていました」とモモカさんは話します。
子どもがいるわけでもなく、ずっと仕事を優先して生きてきたモモカさんにとって、「おいしいもの」は自分で作るものではなく、外食や買ってくるのが当たり前でした。これまでの人生で、梅干しを作るなんて考えたこともなかったといいます。

思い返せば、料理そのものもあまり好きではありませんでした。元夫はお酒を好み、料理の品数にもうるさかったため、結婚生活では料理がむしろ負担に感じられたそうです。食卓に3品並べると、決まって「これだけ?」と言われ、手を抜けば無言の圧力が返ってきました。

「料理は楽しむものではなく、“評価されるもの”でした。だから、買い物に出かける夕方5時が近づくと、気が重くなっていたんです」。

「自然海塩を使って、梅干しを漬けてみよう」と思い立つ

離婚後、最初の1年は更年期の症状も重なり、心も体も思うように動かない日々が続きました。 同時に3つ以上のことを進めるのが難しく、料理はただ「作るだけ」。 新しいことを始める気力も湧かず、ただ目の前の一日をやり過ごすように暮らしていました。

そんなある日、ふらりと立ち寄ったJAの直売所で、青々とした梅の実が目に留まります。 その瞬間、胸の奥で何かがふっと動きました。 「梅干し、漬けてみようかな」――それは、ほんの小さなヒラメキのようなものでした。

きっかけは、いつも買っていた梅干しが、あまりにもしょっぱかったことでした。
「農家さんが作った、余計な調味料を使っていない梅干しを選んでいたんですけど……おそらく使われていたのは“自然海塩”ではなかったんでしょうね。とにかく、塩気が強すぎて。 自然食品店の通販で探してみようかとも思ったんですが、最近は物価も上がっているし、そこまで出費を増やすのもなぁ……って。だったら、自分で作った方が早いかもって思ったんです」と、モモカさんは少し照れたように笑います。

「『1日1粒の梅干しは健康にいい』ってよく言われますよね。 どうせ食べるなら、ミネラル分の多い、本物の塩で漬けた梅干しがいいな、と」。

YouTubeを見たら、私でも案外、簡単にできた

昨年漬けた梅の瓶。梅酢が上がってきたところ

まずは、自然海塩をネットで取り寄せるところから始めました。

「梅の実は、JAの直売所で手に入れました。 家に持ち帰って、ひとつひとつ丁寧に洗って、キッチンペーパーで水気を拭き取り、竹串でヘタを取っていく。 それから塩をまぶして、もんだ赤紫蘇を加えて漬け込みました。 7月、晴れの日を見計らって、竹ざるに並べて、ベランダで天日干し。 そりゃあ、買ってくるほうがずっと楽だけど……あれ? 私にもできるんじゃない?って、拍子抜けしちゃいました」と、モモカさんは笑顔で振り返ります。

漬けた瓶は2つ。そのうちのひとつは、途中で梅酢が少し濁ってしまったそうですが、 「自宅で食べる分には、まったく問題なしの出来でした」と、にっこり。できあがった梅干しは、やさしい塩加減で、どこかほっとする味わい。 「体にすっと染み込むような、やさしいしょっぱさが気に入っています。 毎日1粒、白いごはんや玄米ごはんと一緒に食べるのが、今の小さな楽しみなんです」。

1年に一度だけ収穫できる自然の恵みを、手をかけて保存し、1年かけて味わう。
「保存食ってすごいですよね。日本人の生活の知恵だなぁって、しみじみ思います」。

昨年作った梅干しもあと少しになりました

今のペースで食べていると、今ある梅干しは春頃にはなくなってしまいそう。
「だから来年は、今年の倍くらい漬けてみようかなって思ってるんです。 せっかくなら、友人にもおすそ分けできたらうれしいなって」。
そう話すモモカさんの表情は、やわらかく、そして静かな自信をたたえているように見えました。
かつては「特別な人がやること」だと思っていた梅干し作りが、今ではすっかり自分ごとになり、モモカさんの顔にも穏やかな満足感がにじんでいました。

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では、梅干し作りに挑戦したモモカさんが、次なる手作りに挑戦したお話をお届けします。


《OTONA SALONE》

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