
11月のインフルエンザA型が一段落したと思ったら、東京都はインフルエンザB型の報告が増加していることを受けて、1月29日に今シーズン2度目のインフルエンザ注意報を発表しました。A型のときと同様、小学校を中心に、中学・保育所などで感染が拡大していて学級閉鎖等も発生している模様です。

出典・東京都保健医療局
健康ビッグデータを解析し、インフルエンザにかかりやすいタイプを分析
成人を対象とした研究ですが、実は「人によってインフルエンザにかかりやすいかどうかは違う」ということが判明しています。そこで、1000人規模の健康ビッグデータを活用した弘前大学・京都大学・大正製薬による共同研究*1の結果に基づいて、インフルエンザにかかりやすいタイプを分析し、ご紹介します。
今回ご紹介するのは、弘前大学・京都大学・大正製薬の共同研究チームが行った研究で、青森県弘前市で実施している大規模健康調査「岩木健康増進プロジェクト健診(IHPP)」*2のデータを活用し、個人の体質や生活習慣とインフルエンザ発症リスクとの関係を解析した結果です。この成果は2025年8月、国際的な科学論文誌(Scientific Reports)に掲載されました*3。
インフルエンザ発症に関わる複雑な因果関係と個人差を初めて可視化

今回の研究では、健康データからインフルエンザにかかった人とかからなかった人を比較し、「かかりやすい要因」165項目を抽出。その要因の因果関係を同時に解析することで、インフルエンザ発症に関わる複雑な因果関係と個人差を初めて可視化することに成功。
解析結果から、インフルエンザにかかりやすい人の傾向として次の5つのタイプがあることがわかりました。
▶「インフルエンザにかかりやすい」5つの特徴はこれ!
インフルエンザにかかりやすい人は?5つのタイプ

まず1つ目の特徴は血糖が高めな人です。血糖が高い状態が続くと免疫細胞の働きが鈍くなり、免疫が落ちてウイルスに感染しやすくなります。
2つ目は肺炎の既往歴がある人。過去に肺炎を経験したことがあるということは、もともと感染症に対して抵抗が弱いと考えられます。
3つ目は多忙や睡眠不足な人です。インフルエンザと同様の感染症である風邪も、仕事や生活が忙しくて睡眠が不足していると罹患頻度が高まるという報告がすでにあることが理由とのこと。
4つ目は食事のバランスが片寄って食事の摂取が少ないなど栄養不良の人です。冬は飲み会や暴食が続きがち。しかし栄養バランスの乱れは免疫細胞そのものを弱らせるということは覚えておきたいですね。
そして最後の5つ目がアレルギーを持っている人です。雑草やスギなどアレルギー検査値が高く、アレルギー性鼻炎などのアレルギー体質の人はインフルエンザにかかりやすいので要注意。
アレルギー体質の人は免疫が常に過剰に反応しており、炎症で防御機能が疲弊しがちなんだとか。慢性的な炎症や鼻づまりが呼吸器のバリア機能を弱め、ウイルス感染のきっかけになりやすいと考えられているそうです。
5つの特徴のうち、「複数当てはまる」人ほど注意が必要!
これまで「血糖が高いと感染症にかかりやすい」、「睡眠不足は免疫に悪い」といった単独の要因は知られていましたが、今回の研究では、複数の要因がどのように影響し合って発症につながるのかが可視化されました。
つまり「こういう人はインフルエンザにかかりやすい」、「インフルエンザに注意すべきなのはこの特徴」と、インフルエンザにかかりやすい体質や生活習慣は画一的なものではなく、さまざまな要因が関わっているということがわかったのです。
血糖、呼吸器、睡眠、栄養、アレルギーといった具体的な特徴が重なったときに、よりインフルエンザにかかるリスクが高まると考えていいでしょう。
特に「肺炎の既往がある」、「血糖が高め」、「睡眠の質が良くない」といった複数の特徴を持つグループでは、それ以外のグループと比べてインフルエンザの発症リスクがなんと約3.6倍も高かったという結果も出ました。
後編では感染症に詳しい内科医・久住英二先生に、研究結果を踏まえた今冬の感染拡大に備えるための具体的な予防対策についてお話を伺います。
後編▶▶▶インフルエンザ予防に「効果的な食べ物」って?感染してしまったとき「無理にでも病院に行って投薬を受けるべき」なの?
*1 弘前大学大学院医学研究科附属健康・医療データサイエンス研究センター玉田嘉紀教授、京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻ビッグデータ医科学分野奥野恭史教授を研究代表者とする共同研究チーム。
*2 IHPP(岩木健康増進プロジェクト健診)は、弘前大学が毎年実施している地域健康調査で、20歳以上の住民約1,000人を対象に、血液検査、生活習慣、職業、既往歴、体組成など3,000項目以上の健康データを収集しています。
*2 論文情報
掲載誌:Scientific Reports(Nature系国際学術誌)
論文タイトル:Network analysis reveals causal relationships among individual background risk factors leading to influenza susceptibility
公開日:2025年8月21日 著者:Terada A., et al.




