大学受験「塾なし」過半数…推薦・総合型は個別指導に | NewsCafe

大学受験「塾なし」過半数…推薦・総合型は個別指導に

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大学受験対策として塾や予備校、家庭教師など利用したか
  • 大学受験対策として塾や予備校、家庭教師など利用したか
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  • 大学受験対策として塾や予備校、家庭教師など利用したか(入試方式別の結果)
  • 【入試方式別】教育サービスの利用状況
  • 一般選抜受験者の結果
  • 入試方式別の利用していない人の割合
  • 入試方式別の利用した人の割合
  • 入試方式別の利用した人の割合
 じゅけラボ予備校は、大学生の子供をもつ保護者を対象に大学受験の教育サービス利用に関する調査を実施し、受験生の半数以上にあたる53.3%が塾や予備校、家庭教師を利用していない実態を明らかにした。入試方式により教育サービスの利用率に大きな差があり、対策の二極化が進んでいることがうかがえる。

 調査は、2025年8月8日から9月20日にかけて、大学生の子供をもつ保護者1,332名を対象にインターネットで実施した。大学受験の対策として、塾や予備校、家庭教師(オンラインサービスを含む)を利用したか尋ねたところ、「利用していない」という回答が53.3%と過半数を占めた。これは、大学受験のために塾に通うのが当たり前という従来の固定観念を覆す結果といえる。

 背景には、入試方式の多様化に加え、オンライン教材の充実や情報収集の容易化により、塾や予備校に頼らずとも受験対策を進められる環境が整ってきたことが考えられる。また、家庭の経済状況や教育方針の変化も、この傾向を後押ししている可能性がある。

 一方、入試方式別に結果をみると、ようすは大きく異なる。学力試験が合否の鍵を握る「一般選抜」で受験した層では、「利用していない」という回答は41.4%にとどまり、約6割の生徒が何らかの教育サービスを利用していることがわかった。特に「集団指導塾・予備校(対面)」(25.9%)や「個別指導塾・予備校(対面)」(23.6%)の利用率が高く、学力向上や受験情報の入手において、従来型の塾・予備校が依然として重要な役割を担っていることがうかがえる。

 学力試験以外の要素も重視される推薦・総合型選抜では、全体として半数から6割強が塾などを利用していない実態が明らかになった。具体的には、「指定校推薦」で64.1%、「総合型選抜」で62.3%、「公募型推薦」で49.6%が「利用していない」と回答。これらは学校での日ごろの成績や探究活動といった学びが評価に直結するため、塾・予備校を不要と考える家庭が主流派となりつつあることを示唆している。

 しかし、推薦・総合型選抜においてもサービスを利用する層に目を向けると、共通したニーズが浮かび上がる。たとえば、「指定校推薦」では評定平均を上げるための学校の成績補習、「公募型・総合型選抜」では志望理由書や活動報告書の添削、小論文、面接といった専門的な対策のために、プロの指導を仰ぐケースである。この結果は、塾・予備校の役割が、画一的な学力向上だけでなく、個々の入試戦略に合わせた専門的なサポートへと多様化していることを示している。

 推薦・総合型選抜における個別指導の利用形態をみると、「指定校推薦」「公募型推薦」「総合型選抜」の3方式すべてにおいて、「個別指導(対面)」の利用率がオンラインを大きく上回った。評定対策や小論文、面接といったひとりひとりに寄り添う指導は、対面でのサポートが求められていることがわかる。

 一方で、「個別指導(オンライン)」の利用率は、「公募型推薦」(5.9%)と「総合型選抜」(4.0%)が、「指定校推薦」(2.3%)よりも高い数値を示した。小論文やプレゼンテーションなど、より専門的な対策が求められる公募型・総合型において、住んでいる地域に関わらず専門の指導を受けられるオンラインの良さを戦略的に活用している層がいることを示唆している。

 今回の調査から、大学受験の対策は、すべての受験生が同じ塾・予備校に通う画一的な時代から、入試方式によって最適な手段を選択する「多様化・個別化の時代」へと完全にシフトしたことが明らかになった。「塾なし」が過半数という事実は、受験生と保護者が、多様な選択肢の中から自分たちにあった学習方法を主体的に選んでいる証拠といえるだろう。
《風巻塔子》

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