文部科学省は2025年10月29日、2001年出生児を対象とした「21世紀出生児縦断調査」の第23回調査結果を公表した。大学院在籍者は5.2%で、博士課程への「進学を考えている」6.4%、「検討中・未定」12.2%。進学希望の有無にかかわらず、「経済的に自立したい」が5割を超えた。 「21世紀出生児縦断調査(平成13年出生児)」は、2001年に出生した子供の実態や経年変化の状況を長期間継続的に観察するための統計調査。2001年から厚生労働省が開始し、2017年から文部科学省との共管調査として実施している。 今回は第23回の調査で、対象者の年齢は23歳(調査対象:2001年1月10日~17日および7月10日~17日生まれ)。調査時期は、1月生が2023年12月11日~2024年3月17日、7月生が2024年7月8日~2024年10月14日。回答者数は1月生が1万156名、7月生が1万302名。 現在の状況は、就業者63.5%が最多で、大学院5.2%や大学11.9%など在学者は計18.9%となった。就業者の最終学歴は、大学卒が54.7%ともっとも多く、ついで、高等学校卒が19.9%、専修学校・各種学校卒が16.7%。 大学院在学者の専門分野をみると、「工学」が49.8%で約半数を占め、ついで「理学」18.4%、「農学」6.2%、「保健」5.3%、「社会科学」5.0%、「人文科学」4.6%などとなっている。現在大学院に在学している学生のうち、大学2年時(第20回調査時点)で「大学院進学後に就職する」と考えていた割合は59.0%にのぼることがわかった。 博士課程への進学意向では、「進学を考えている」が6.4%、「検討中・未定」が12.2%となった。進学希望の有無にかかわらず、「経済的に自立したい」とする回答が5割を超えている。また、進学を考えている人からは、「進学すると学費や生活費などの経済的見通しが立たない」「修了後の就職が心配」といった懸念が多くあがった。一方、進学を未定としている人や進学しないと決めた人では、「修士課程(博士前期課程を含む)で満足した」「早く働きたい」といった理由が目立った。 就業者の状況をみると、「専門職・技術職」(31.3%)の割合がもっとも高く、 ついで「事務職」(18.6%)、「販売職」( 15.1%)。現在の仕事を選んだ理由は、「自分の興味や好みに合っているから」「自分の能力や適性が生かせるから」の割合が比較的高かった。 初職で就いた仕事が希望していた職種だった人の割合は74.0%。就職活動開始前の希望度と、その仕事に対する満足度の関係をみると、希望職種に就いた人では「満足していた」「やや満足していた」をあわせた満足度が8割を超えた。一方、「やや希望していた」人の満足度は54.7%、「特に希望していなかった」人では28.7%にとどまった。 仕事に「満足している」理由としては、「職場の人間関係」が70.8%、「現在の働き方(正社員・アルバイトなど)」が67.8%、「企業などの事業内容」が66.3%を占めるなど、多くの項目で比較的高い割合を示した。一方、「給料」については、「どちらかといえば不満である」「不満である」をあわせた割合が34.0%にのぼった。 心理・意識面の経年変化を追うと、「精神的健康」は前回(第22回)調査よりやや悪化傾向。「自尊感情」は回を追うごとに上昇傾向にあった。また新たに「生活全般の満足度」を調べたところ、「人の役に立つ人間になりたい」「良いところを認めてくれる人がいる」など肯定的回答が7割を超えた。一方、地域活動への参加意欲は5割を下回っている。 文部科学省Webサイトでは調査の結果概要などを公開。詳細な集計表は「政府統計の総合窓口(e-Stat)」に掲載している。