『川のほとりに立つ者は』で本屋大賞にノミネートされた寺地はるなの同名小説を原作とする本作。事故で亡くした弟を追い求め、空想の世界で生きるようになった母のために、まるで弟が生きているかのような“嘘の手紙”を書き続ける長男・山吹(高杉真宙)と、母、父、姉、祖父、祖母それぞれの家族の約30年に渡る姿を描く。
この度公式コンペティション部門に選出されたのは、エストニアの首都であり最大都市のタリンで開催される世界15大映画祭のひとつ、タリン・ブラックナイト映画祭。毎年11月に開催されてきた本映画祭は、北欧で唯一の国際映画製作者連盟公認の映画祭として、作家性やメッセージ性の強い作品を積極的に上映してきた。11月7日~11月23日の約2週間に渡る開催が予定されており、本作が唯一、日本映画として公式コンペティション部門に正式出品される。
日本作品も過去に数多く参加しており、近年では、是枝裕和監督の『真実』や三池崇史監督の『初恋』、塚本真監督の『ばるぼら』が上映されてきたほか、2011年には塚本晋也監督の『KOTOKO』が日本映画として初となる公式コンペティション部門グランプリを受賞している。
2017年には、森ガキ監督の長編デビュー作である『おじいちゃん、死んじゃったって。』も同映画祭のNETPAC AWARD(最優秀アジア映画賞)を受賞しており、森ガキ監督作品が約8年ぶりにタリン・ブラックナイト映画祭で上映される。
上映スケジュールなどの詳細は、順次、映画祭公式サイトなどで発表される予定だ。
森ガキ監督は「タリン・ブラックナイト映画祭は、僕にとって本当に特別な映画祭です。2017年に『おじいちゃん、死んじゃったって。』で参加して以来、再びこの地に戻れることを心から嬉しく思っています」とコメント。

解禁された映画祭限定の特別ビジュアルは、高杉演じる山吹が一人うつむく先、母、父、姉、祖父、祖母ら羽猫一家が揃っている。弟の死が受け入れられない母親と、弟が死んだことをわからせようとする姉の紅。そんな家族から逃げるように愛人と親密な時間を過ごしている父。祖父も、祖母も、どこかバラバラで歪な形をつくる家族と向き合いながら成長していく山吹を象徴しているかのようなデザインとなっている。





コメント全文
森ガキ侑大監督
タリン・ブラックナイト映画祭は、僕にとって本当に特別な映画祭です。
2017 年に『おじいちゃん、死んじゃったって。』で参加して以来、再びこの地に戻れることを心から嬉しく思っています。
『架空の犬と嘘をつく猫』は、“家族という不思議な集合体”を描いた作品です。
愛や優しさがある一方で、嘘や沈黙もまた家族をつなぐ。
そんな矛盾の中にある人間らしさを、スタッフ・キャスト全員で丁寧に掘り下げました。
そんな映画がエストニアのタリンにてコンペティション作品として選出、そしてワールドプレミアを迎えることを誇りに思います。
国や言葉が違っても、観る人それぞれの心の中にある“誰かとの関係”に触れる映画になればと思っています。
高杉真宙 羽猫山吹役
今回タリン・ブラックナイト映画祭に出品が決定したとのことで、撮影していてそんな機会をいただけるとは思っていなかったので、突然の報告に、驚いているのと同時に、本当に嬉しく思います。
ワールドプレミアでの初上映、多くの方に観ていただけることを願います!
『架空の犬と嘘をつく猫』は2026年1月9日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開。