井川遥さんが語る、母として、女性としての内なる想い「幸せそうに見えても、悩みを抱えているのは当たり前」 | NewsCafe

井川遥さんが語る、母として、女性としての内なる想い「幸せそうに見えても、悩みを抱えているのは当たり前」

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井川遥さんが語る、母として、女性としての内なる想い「幸せそうに見えても、悩みを抱えているのは当たり前」

俳優として数々のドラマや映画に出演し、その透明感と存在感で幅広い世代から支持を集める井川遥さん。最新作の映画『見はらし世代』(2025年10月10日公開)では、母の死から10年後の家族の姿を描く物語の中で、愛情深くも孤独と葛藤を抱える母・由美子を演じました。

「幸せそうに見えても、悩みを抱えているのは当たり前」と語る井川さん。俳優やモデルとして第一線で活躍しながら、二児の母、そして妻として多忙な日々を送っています。そんな日常の中でも、“めぐり”を整え、自分をいたわる時間を大切にしているそうです。今回は、役を通して感じたことから、日々の“ご自愛”習慣までたっぷり語ってもらいました。

10年の歳月が映し出す、家族と街の“変化”

──映画『見はらし世代』のキャストとして、完成した映画をご覧になっていかがでしたか?

映画は、母の死から10年後の家族の形を描いていますが、じつは私たちも10年前のシーンを2024年の夏に撮影して、その後少し間をあけて10年後のシーンを2025年の1月に撮影しました。数ヶ月ではありますが、時間をあけて10年後を撮影したことがとても良い方向に作用したと思います。家族は10年の間にそれぞれ成長して、立場が変わったりしている。私が演じる由美子も、肉体は10年前で終わって消えてしまっているけれど、10年の間に魂は成長していたんだな、と思いました。

また、10年で変化していく東京のランドスケープが描かれていて、建築的な“そこにあるもの”と“人の気持ちの流れ”のようなものが交差している感じがしましたね。監督ならではの世界観がとても新鮮で、繊細な部分もていねいに描かれていて、素敵な映画だなぁ、と思いました。

母として、ひとりの女性として、抱える孤独と葛藤

──映画について、ひとりの女性としてどんなことを感じましたか?

子育てをしているときの孤独って、私を含めて、多くの方が感じたことがあるのではないかと思います。「この子を育てなきゃ」という気持ちはあっても、社会とのつながりが希薄になり、子どもと向き合う時間が圧倒的に長くなると、それまで“ひとりの女性”として積み重ねてきた人生が、急に閉ざされてしまったような感覚に陥ることもあるのではないでしょうか。幸せそうに見えても、“お母さん”という役割の中で、さまざまな悩みを抱えているのは当たり前ですから。

だからこそ、由美子が感じていた孤独というのは、とても理解できるなと思いましたし、キャリアを諦めて家庭に入り、ずっと孤軍奮闘しているような、そういう姿がきちんと描かれている作品だと思いました。

──井川さんから見て、由美子はどんな女性だと思いますか?

どこにでもいる、子ども想いの母親だったんじゃないかな、と思います。子どもにすべてをかけているくらい、愛情豊かに育てていて……。ただ、いろんなことがあった上で、ふっと寂しいところに入り込んでしまったというか。それだけ悩みが深かったのかなと感じました。皆さんよく言いますよね、「そんなふうに見えなかった」「普段と変わらなかった」って。人間ってギリギリのところにいても、社会や人に対してそんなに悩んでいる姿を見せないものだと思うんです。由美子も、急に魔が差したというよりは、ずっと不安定な気持ちを抱えていたのかなという気がします。

だからこそ、10年前の由美子を演じるときは、夫婦の相容れない感じや、由美子の切実な気持ちを大事に表現したいと思っていました。その一方で、10年後に関しては、先ほどお話したように、由美子の魂も成長していて、家族にエールを送り、見届けたかったんだろうな、と思います。

“めぐり”を整え、自分をいたわるひととき

──家庭に仕事にと、多くの役割を抱える女性たちにとって、日々の中で自分を労わる時間はとても大切だと感じます。井川さんが実践されている“ご自愛”の方法について、教えていただけますか?

“めぐり”を良くすることが大事だと考えていて、からだのめぐりを整えるために年間を通してシャワーではなく湯船に浸かるようにしています。“発汗”と“温め”が重要なので、そのタイミングでストレッチやマッサージをすることが多いですね。自分でマッサージすることもあれば、リンパマッサージを受けに行くこともあります。

やはり、からだが健康であってこそ心の健康にもつながると思うので、そういうケアに時間をかけているとき「自分をちゃんと労わっているな」と実感します。

あとは、料理が好きですね。私は家にいると、キッチンのカウンターが自分の席のようになっていて、いつもそこで全てのことをやってしまうんです(笑)。よくホーロー鍋でスープ類を作るのですが、煮込みながら何かつまんだり、ちょっとお酒を飲んだり、考え事をしたり……。そんなふうに「美味しくなぁれ」と思いながら料理を作ることって、クリエイティブだなと思うんです。家庭料理でいろいろ工夫しながら作ることも好きだし、旬のものをお店で味わうことも至福ですね。

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『見はらし世代』

2025年10月10日公開(Bunkamura ル・シネマ 渋谷宮下、新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺ほか全国公開)

監督・脚本:団塚唯我

出演:黒崎煌代、遠藤憲一、木竜麻生、菊池亜希子、井川 遥ほか

STORY:再開発が進む東京・渋谷で生花の配送運転手として働く青年、蓮。ある日、蓮は配達中に父と数年ぶりに再会する。姉・恵美にそのことを話すが、恵美は一見すると我関せずといった様子で黙々と自分の結婚の準備を進めている。母を失って以来、姉弟と父は疎遠になっていたのだ。悶々と日々を過ごしていた蓮だったが、彼はもう一度家族の距離を測り直そうとする。変わりゆく街並みを見つめながら、家族にとって、最後の一夜が始まる。

© 2025「見はらし世代」製作委員会

© 2025「見はらし世代」製作委員会

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HM:松田麻由子
STY:青木千加子

衣装協力:ブラウス、パンツ/ストラスブルゴ(ストラスブルゴ カスタマーセンター) ジュエリー/ルドゥテ シューズ/レペット(ルック ブティック事業部)

【お問い合わせ先】
ストラスブルゴ カスタマーセンター TEL 0120-383-563
ルック ブティック事業部 TEL03-6439-1647
ルドゥテ TEL 03-5489-1377

撮影/中村彰男
取材・文/遠藤まゆみ


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