
エシカル・フィルム賞は、映画を通して環境、貧困、差別といった社会課題への意識や多様性への理解を広げることを目的として、2023年、住友商事の協力によって新設された映画賞。
東京国際映画祭にエントリーされたすべての新作の中から「人や社会・環境を思いやる考え方・行動」という「エシカル」の理念に合致する優れた3作品をノミネートした後、審査委員会で1作品を選出する。昨年のエシカル・フィルム賞は、第74回ベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞したドキュメンタリー作品『ダホメ』が受賞した。
本年度の審査委員長には、俳優・歌手・映画監督などクリエイティブな領域で幅広く活躍中の池田エライザの就任。また、多くの若い人たちに関心を持ってもらうため、東京国際映画祭の学生応援団から選抜された3名が審査委員を務める。
受賞作品の授賞式および審査委員長の池田が登壇するトークセッションを11月4日(火)に開催する予定。なお、本年度のノミネート作品は10月1日のラインナップ発表記者会見の中で発表される。

私は信じています。映画は世界を変えることができると。一本の映画が生まれるまでには、幾千もの判断が積み重ねられています。その一つ一つに作り手の魂や祈りが込められているからこそ、液晶を超えて人々の心に訴えかける作品となるのだと思います。そして“エシカル”という視点は、その力をより確かなものにする。この賞はただの評価ではなく、未来への祈りであり、宣言です。審査委員長として、その祈りを受けとめ、全身で作品と向き合いたいと思います。
学生映画コンペ部門「アジア学生映画コンファレンス」新設
東京都の支援を受け「アジア学生映画コンファレンス」部門を新設されることも決定。


池松壮亮「TIFFティーンズ・シネクラブ2025」部員に
ユース部門では、映画を「作る」と「観る」の両面から深く体験できる新企画「TIFFティーンズ・シネクラブ」を初めて開催する。
本企画では、俳優の池松壮亮をクラブ部員に迎え、TIFFティーンズ映画教室に参加した中学生とともに、ユース部門の作品を鑑賞し、自由に意見を交わす“シネクラブ活動”を行う。
「作る」ことと「観る」ことの両側面から映画に触れることで、子どもたちがより深く映画を体験できる場を提供することが目的。なお、TIFFティーンズ映画教室2025の上映後には、池松によるトークイベントも実施する。

この度、TIFFティーンズ映画教室2025にて、光栄かつ、とても素敵な機会をいただきました。子供たちと出会い、映画と出会い、映画の内なる声に耳を傾け、互いを尊重し、頭をかかえ、互いの意見を聞き、そこから生まれる感情に耳を澄ませてみる。
子供たちに混ざり、シネクラブの一員として忘れられない映画体験となるような、そんな時間を過ごしてみたいと思っています。
ここで出会った仲間と一緒に真剣に映画を見つめることが、子供たちの未来に幸せな体験として残ることを願って、東京国際映画祭と共に映画の未来を覗いてみたいと思っています。
「TIFF映画教育国際シンポジウム2025」開催
ユース部門では、今年で3年目を迎える「TIFF映画教育国際シンポジウム」も開催。
本年は、「TIFF映画教育国際シンポジウム2025~映画教育のネットワークと担い手の課題~」と称して、日本各地の映画教育の実践者とともに、「ネットワークづくり」と「担い手の育成」という2つの視点から現状の課題について考える。
さらに海外からゲストを招き、全国的に映画教育のネットワークを展開しているオランダの事例、そして担い手を育成するカリキュラムを実施するスペインの事例を学ぶ。これらの取り組みを参考に、日本における映画教育の課題についてパネルディスカッションを行い、今後の方向性を議論。
山崎バニラの活弁小絵巻2025開催
ユース部門では、今年で8年目を迎えるチルドレン部門の人気企画「山崎バニラの活弁小絵巻2025」を11月2日(日)に開催。
唯一の弾き語り弁士として活躍する山崎バニラが、サイレント映画に大正琴やピアノの生演奏を添えながら、ユーモアあふれる活弁を披露。未就学児から大人まで幅広い世代が安心して楽しめる上映イベントであり、チャップリンのドタバタ喜劇をはじめ、子どもも大人も一緒に笑いながら楽しめる短編作品が揃う。
第38回東京国際映画祭は10月27日(月)~11月5日(水)、日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区にて開催。