こんにちは。神奈川県在住、フリーライターの小林真由美です。ここ数年のマイテーマは「介護」。取材でも高齢者にまつわること(介護のほか、終活や相続・遺言など)に関わる機会が増えてきましたが、どこか他人事でした。それがしっかり「自分事」になった途端、驚くほど冷静さを失ってしまったのです。
【アラフィフライターの介護体験記】#22
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▶「私は監視されている」止まらない義母の被害妄想…
お義母さんにとって、人生初となるマンションでの1人暮らし(当時は高齢者専用住宅に居住)は、好調なスタート。当初は楽しそうに過ごしていましたが、しばらくすると認知症の症状が見え始めます。
きっかけは、部屋に設置されていた24時間コールセンターにつながる「通報装置」。これをなぜか「監視カメラ」だと思い込み、「いつも誰かに見られてる」と日中はカーテンを閉め切って引きこもり、「ここならカメラに映らない」と部屋の隅でうたた寝。夜は、「鍵を開けて人が入ってくる」と玄関の前で寝ずに“番”をするという謎の生活を送るようになったのです(汗)。
恐らく、お義母さんにとって生まれて初めて目にする「通報装置」たるものは、“恐怖の物体”だったに違いありません。幾度となく「これは監視カメラじゃないよ」と伝えても、まったく聞く耳を持たず……。
しかし数日後、「どうやら静かにしていれば、監視カメラには映らないらしい」と言い出したお義母さん。ご近所の方に聞いたと言い張っていましたが、実際のところは分かりません。ただ、これを機に少しずつ「妄想」「昼夜逆転」のような症状は見られなくなり、落ち着きを取り戻してゆきました。
▶昼夜逆転を改善する目から鱗の方法とは
「昼夜逆転」生活を改善したい! ケアマネさんによる提案は?
現在の住まい(サ高住/食堂付き)に引っ越してからも、昼夜逆転のような様子が見られたことはありましたが、今回のように夜中に電話をかけてくるようなことはなかった。そこで、かかりつけ医のアドバイスも踏まえ、改めてケアマネさんに相談。提案されたのは、「介護保険で『朝の介助(移動介助・服薬確認介助)』を入れてみてはどうか?」というものでした。
この提案には、食堂までの移動や服薬のサポートをして、安心かつ快適に過ごしてもらうといった意味もありますが、同時に規則正しい生活リズムを整えられるのではないか? といった期待も!
というのもお義母さんは性格上、基本的に外の人(家族以外)には良く思われたいという想いが強い。毎朝部屋にヘルパーの方が訪問するとなれば、朝は身なりを整えるはず→必然的に朝は決まった時間に起きる必要がある→夜寝るようになるのでは? という考えがあったのです。
▶朝の介助作戦、果たして…!?
「薬は飲んでない」義母が主張したまさかの理由
さらに「服薬確認介助」に関しては、ちょうどケアマネさんに相談しようと思っていた内容でした。
お義母さんは、内科(血圧)と脳神経外科より朝の薬が処方されているのですが、当初「飲み忘れを防ぎたい」と本人から申し出があり、お薬カレンダー(日付ごとにポケットが付いていて、そこに1日分の薬を入れる形)を導入。
しかし、数日経つと「ポケットから取り出しにくいし、分かりづらい」と嫌悪感を示すようになり、やがて「どのポケットから取ればよいか分からない。間違えたらイヤだから、薬は飲んでない」と開き直る始末……(涙)。
次にピルケースのような小型ケースに変更してみましたが、こちらも「蓋が開けづらい」と早々に拒否されます。結果、<薬局で一包化してもらい、一包化された透明袋の上にマジックで日付を記入。それを週単位でまとめ、チャック付き保存袋に入れて保管>という形に落ち着きました。
しかし、最近はお義母さん自身も「保存袋から出して飲む」という一連の動きに、やや不安を感じ始めているようで……。
「ぜひ、今回提案いただいた内容を進めたい!」とケアマネさんにお願いしたところ「実は、今のままサービスを追加するとなると、要介護1の限度額を超えてしまうんです」
▶「要介護1」の限度額超え…。もうどうしたら?
ケアマネさんはこう続けた。
「ですので、要介護認定の区分変更申請(※2)をしてみてはいかがでしょうか? 申請をしたら必ず要介護度が上がると確約できるものではありませんが、(上がれば)メリットは大きいと思います」
(※2)認定を受けた要介護度(要支援度)において、認定有効期間が満了する際の更新申請ではなく、心身の状態変化などに伴い、有効期間内に行う区分変更申請のこと。
「区分変更ということは、また認定調査があるのか!」
私は、前回の認定調査(当日張り切り、調査員に対してできないことをできると言い張るお義母さんの姿など)が蘇り、徐々に気が滅入るのですが……。この続きは、また次回お話ししたいと思います。