「俺ってもしかして『下手』なのか?」夫婦生活に自信を失った夫が、ひとりで悩み続けたあとに起こした行動とは | NewsCafe

「俺ってもしかして『下手』なのか?」夫婦生活に自信を失った夫が、ひとりで悩み続けたあとに起こした行動とは

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「俺ってもしかして『下手』なのか?」夫婦生活に自信を失った夫が、ひとりで悩み続けたあとに起こした行動とは

日本では夫婦間のレスが深刻な社会問題のひとつです。夫婦生活の頻度が月1回未満(一般的にこれを「レス」と定義します)の夫婦は年々増加しており、リクルートが運営する『パートナーシップ調査2024』など、多くの調査で既婚カップルの5~6割が該当すると報告されています。

夫婦で性的な触れ合いがない状態は、お互いの心にも少なからず影響を及ぼすもの。パートナーへの愛情や自己肯定感にも関わるため、その悩みは深刻です。

※本人が特定できなよう設定を変えてあります

※写真はイメージです

悩みは目に見えない、だから抱え込んでしまう

今回取材したのは、茨城県の学園都市で働く39歳のプログラマー・リキヤさんです。

結婚9年目の夫婦関係は円満。同い年の妻と共働きをしながら、家事と育児をきっちりシェアし、休日には5歳の娘さんを連れて、家族3人で大型遊具のある公園へ遊びに行くことが日々の幸せだそうです。

リキヤさんのSNS に投稿される写真は「#家族の休日」「#イクメン」などのハッシュタグを付けた投稿であふれます。しかし “映え” の裏側に、人には打ち明けづらい悩みが潜んでいるのだそう。

「夜の悩みなんです。こんな悩みを他人に相談するなんて、とても抵抗があります……。でも同じ壁にぶつかっている人がいるなら、僕の失敗と学びが少しでも役立つかもしれない。そう思って取材を受けることにしたんです」

リキヤさん夫妻は Google カレンダーを使い、家事・育児・仕事の役割をしっかりと分担しています。

金曜夜には短く“夫婦ミーティング”を開き、翌週のタスクを擦り合わせる“プロジェクト管理型ファミリー”だそうです。そうした定期的なすり合わせや意見交換をしているにも関わらず、可視化されない悩みが、リキヤさんの心を静かに蝕んでいたのです。

「痛い」と言われ、自信を失った夜

転機は結婚6年目、梅雨入り前の湿気がまとわりつく夜だったそうです。いつものように寝室の暖色ライトを落とし、軽いスキンシップから夜の営みを始めた矢先、奥様がリキヤさんに、か細い声で「ちょっと痛いかも……」とつぶやいたのです。

「それまでは何となく『自信』があったのです。でも、妻の一言で、自分のテクニックはやばいのかもって、頭の中のアラートが鳴りっぱなしになってしまって。体温がスッと下がって動けなくなりました」とユウジさん。

奥様は笑顔で「大丈夫」と言ったものの、その笑顔が直感的に“気遣い”だと悟り、言葉を失ったそうです。その夜は互いに背中を向けたまま眠れず、白んでいく窓の外を見つめるしかなかったといいます。

翌朝。リキヤさんはスマホで「痛い セックス 夫」と検索すると、匿名掲示板や SNS に「夫は満足なのに私は苦痛」「痛いと言えず演技している」など、生々しい投稿があふれていました。スクロールする指は汗で滑り、画面を閉じても言葉は脳裏に焼き付いたまま。出社後、仕事でもケアレスミスをしてしまい、上司に「珍しいな、今日は早く帰れ」と声を掛けられたほど集中を欠いてしまったそうです。

帰宅すると、リキヤさん自身は自覚してなかったそうですが、娘に「パパどうしたの?」と心配されるほどの様子で、どうにか笑顔を作ろうとするも頬が引きつり、自己嫌悪が深まるばかりだったそうです。

「今までずっと、なんの根拠もなくテクニックがあると思い込んでいたんです」

奥様に真相を尋ねたい気持ちと、「これまでもずっと痛かったと言われたら自尊心が崩壊する」という恐怖がせめぎ合い、つい沈黙を続けてしまいました。それがさらなる悪循環に陥り、数日後には動悸と頭痛、深夜の寝汗といった身体症状まで現れたそうで、「このままだと家庭も仕事も壊れる」と危機感がピークに達しました。

「一言、妻に相談すればよかったんですよね。完全に自分のメンタルの問題です」

このように語るリキヤさんですが、その当時、勤めている会社も激務が続いていたそうで、そもそも身体的にも精神的にも疲弊していたことで、いつもなら何気ない一言で流れるはずが、自らネガティブを引き寄せることになったのかもしれません。

誰にも言えない…迷宮入りする悩み

リキヤさんを悩ますもう一つの出来事がありました。それは、性の悩みを話せる相手や場所がないこと。

「たとえば友人との飲み会で性の話になったとき、男って “早漏自虐” か “何分持つ自慢” とかの武勇伝で終わりじゃないですか。真面目な話を出した瞬間、場が凍るのが目に見えているんです」とユウジさん。

振り返れば、唯一の “教材” は10代から見続けてきたアダルトビデオだったそうです。そこでは「長く」「強く」「激しく」が男の条件。社会人になってからも、その固定観念が残っていたのかもしれないと言います。

「もちろんエンタメの世界と現実が違うことは理解しています。ただ、男がリードしなければいけないとか、その考えが知らず知らず自分の中にあったかもしれません」

いいかえれば、リキヤさんの悩みの根幹には、他者と比較できないことの辛さにあるのです。

「妻は細身で敏感肌。強い刺激が最適とは限らないと頭では分かっていたけれど、もしかしたら僕は全て勘違いしていたのではないかと。これって改善しようにもできないですよね? だって比較する方法がないので。だからこそ頭を抱えてしまいました」

男性にとってテクニックとは、いわば大人のマナーのように強いられるものかもしれません。

「医療機関を含めた相談窓口へのアクセスも難しかったですね。ネット検索上位は自由診療の増大クリニックや ED 薬の広告。『症例写真』『即効』『高額コース』という強い訴求に戸惑い、ブラウザを閉じる。その繰り返しでしたね。でも僕の場合はテクニック的なものなので、こうした悩みを打ち明ける相談窓口にたどり着く前に諦めかけて、悩みはさらに深くなってしまったのです」

人によっては、「こんな些細な悩み」と感じる方もいるでしょう。しかし、リキヤさんのように夜遊びもしない男性だからこそ、実はどこにも性の技術をしっかりと学ぶ場所がないことで、人知れず悩んでいる人も多いのです。

プライドの壁」が崩れた瞬間

ある日の夜、リビングで娘さんの工作キットを片付けていたユウジさんは、リビングに飾っている家族の写真を取り出し、意を決して奥様に話すことにしたそうです。

プライドが邪魔して誰にも相談できなかった。職場では頼れるリーダー、家では家事もこなすカッコいいパパでいたかった。でもベッドでは “平均以下” かもしれない自分を認めるのが怖かった……それでも勇気を出して話しかけたといいます。

「ずっと痛かった?」と切り出すまで、ユウジさんの心の中で何が起きていたのでしょうか。

「写真立ての家族写真を眺めた瞬間、“守りたいのは、娘の笑顔と妻の安心だ” との想いが腹の底から湧き上がりました。下手だと認めるのは怖い。でも、妻が抱えたかもしれない痛みを放置する方が、もっと怖かったんです」

それに対する、奥さまの返答は……

「『いつもじゃないけど、ちょっと痛いことはある。でも相談してくれてうれしいよ』って。責める言葉は一つもなく、『次からどうしようか?』といっしょに考えてくれたんです。

あのとき、“ふたりの課題”に変わった感覚がありました。もっと早く相談すればよかっただけなんです。でもそれが難しかった」

葛藤がありながら、意を決して打ち明けたことで、性の悩みが夫婦の課題に変わった瞬間でした。

本編では、「もしかして自分は下手なのか」という問題になかなか向き合えなかったリキヤさんが、性の悩みを一人で抱え込み、夫婦関係がすれ違っていった様子、そして見えてきた希望についてお届けしました。

▶▶「下手なのか」と相手に聞くのは難しい。でも“話してよかった”と言える日が来るかもしれない。レスからの再出発の道

では、リキヤさんと奥様が参加することにした「性のオンライン教室」と、その結果についてお伝えします。

《OTONA SALONE》

特集

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