現在公開中の映画『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』で主演を務めている綾野剛。同作は、日本で初めて教師による児童への虐めが認定された体罰事件を元にした物語で、主人公の小学校教諭を演じた綾野の熱演が注目を集めている。本記事では、綾野の近年の活躍を振り返りながら、最新作『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』にもスポットを当てたい。
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2003年にドラマ『仮面ライダー555』(テレビ朝日系)にて俳優デビューを果たし、2011年~2012年に放送されたNHK連続テレビ小説『カーネーション』で一躍注目を集めた綾野。その卓越した演技力を活かして多数の作品で主演を務めており、昨年公開の映画『カラオケ行こ!』では、歌がどうしても上手くなりたいヤクザ・成田狂児役を演じて反響を呼んだ。さらに、Netflixにて独占配信され、社会現象にもなった話題作『地面師たち』では地面師詐欺の道に踏み込む男・辻本拓海を演じるなど、唯一無二の存在感を放つ実力派として知られている印象だ。
綾野がその演技力を改めて見せつけたのが、映画『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』だろう。同作は20年前、日本で初めて教師による児童への虐めが認定された実際の体罰事件を元にした作品であり、綾野は教え子に体罰を行った“殺人教師”のレッテルを貼られてしまった小学校教諭・薮下誠一を演じている。劇中では“息子が教師から体罰を受けた”と主張する氷室律子(柴咲コウ)らに追い詰められ、苦悩しながらも懸命に疑いを晴らそうとする薮下の姿が描かれており、SNSでは、「物語として面白かったし怖かった」「すごくリアル」「演技に圧倒され続けました」などと称賛を集めた。
こうした高評価の大きな理由の1つが、主演を務めた綾野の鬼気迫る演技ではないだろうか。共演の亀梨和也は、スペシャルインタビュー動画の中で、「『本番よーいスタート』に入って行く手前の段階から、薮下としての空気感、あり方、本番という時間を生きる」「この構築の仕方っていうのは、真似したくてもできない、本当にすごいな」と綾野の芝居を絶賛している。本編では、いわれのない罪で絶望の淵に突き落とされる薮下の姿が描かれる一方、彼が生徒に凄惨な暴力を振るう描写もあり、同じ人物であるにもかかわらず、まるで別人かのような激しい二面性が表現されているのが印象的だ。綾野の演技が、“真実を疑う物語”と謳う同作に圧倒的なリアリティをもたらし、没入感を高めることに一役買っているのではないだろうか。
今後の綾野は、闇ビジネスの世界から抜け出そうとする若者たちの3日間の逃走劇を描くサスペンス映画『愚か者の身分』(10月24日公開予定)への出演も控えている。これからも話題作に欠かせない実力派俳優として、さらなる活躍が期待できそうだ。