「病後もどんどん幸福になれるんだ」梅宮アンナさんの闘病に共感した私たちがんサバイバーが「よりいっそうお手本にする」理由 | NewsCafe

「病後もどんどん幸福になれるんだ」梅宮アンナさんの闘病に共感した私たちがんサバイバーが「よりいっそうお手本にする」理由

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「病後もどんどん幸福になれるんだ」梅宮アンナさんの闘病に共感した私たちがんサバイバーが「よりいっそうお手本にする」理由

アートディレクター・世継恭規さんとの結婚を発表した梅宮アンナさん。闘病記を連載中のオトナサローネは「おめでとうございます」の声であふれています。そんな中、「私も乳がんを経験したのでよくわかる」と語る読者の方にその体験と祝福を聞きました。

前編『【祝】梅宮アンナさん。乳がん経験者だからこそ痛切にわかる、私が感じた「結婚する理由」。あなたがいてくれてよかった』に続く後編です。

もうひとつ、放射線治療もものすごく軽く見られすぎている。あんなにしんどいことって他に何があるかな

放射線治療は全20回ほどだったかな。最初は病院のある大きな駅まで毎日出かけるのが嬉しくて、今日は何食べて帰ろうなんてウキウキしていていました。でもね、毎日毎日同じ時間に病院に入り、着替えて腕を上げるだけ、ほんの数十秒で終わるのですが、なんであんなに疲れていくんだろうね、ものすごくしんどいんです。

がん治療って、髪の毛が抜けるショックが大きいからでしょうか、語られるのは抗がん剤の体験が多く、放射線治療の話はあまり見ない印象です。でも放射線は最後に無言で登場するラスボスという感じで、本当にしんどくて、あまりのしんどさにだんだん病んでいくんです。とにかく過酷、過酷すぎてみんな忘れたいから語られないのかもしれない。

放射線の最初の数日だけは元気ですが、その後はもうびっくりするくらい毎日疲れ果てて、帰宅したら倒れ込む状態になります。だんだん肌が放射線で焼けて黒くなっていくのも不安です。黒くなった皮膚は1年くらいで元に戻るから安心してほしいのですが、疲れる要素なんてないように思うのに疲れるの。口もきけないくらいに。

家族はものすごく心配して、親からも「どうだったの?大丈夫?」って連絡がきますが、「本当にほっといて、大丈夫だからほっといて」なんて返答しかできない。挙句母親が「私はこんなに心配してるのに、あなたそんな言い方ないでしょ!」って激怒して、ええ、この人は私のしんどさよりも自分の心を受け止めてもらうことのほうがが大事なんだ?と線を引いてしまったりもしました。アンナさんがインタビューで言っていた「大丈夫?って言わないでほしい」という話にはものすごく共感しました。大丈夫じゃないんです。

放射線治療終了後、1か月ほどで体力は戻りました。でも、終わったら即元気になるのではなくて、時間がかかりました。タモキシフェンでの治療は今も続けています。5年で止めてしまう人もいるそうですが、10年飲み切るつもりでいます。もうひとつ、子宮体がんに気を付けないとならないですよね。不正出血があったらすぐ検査を受けないとならないと言われますが、正直言って不正出血かどうかを判断するのがとっても難しいなって。生理はありますが、それまできっちりきていたのが乱れるようになりました。ですが今までのところさほど更年期症状にも見舞われずに済んでいます。

2人なら不安は分かち合い、支え合って、楽しいことも2倍にできる。どうぞお幸せに!

アンナさんはすごいですよね、最初の抗がん剤から手術、また抗がん剤、放射線、そのあとホルモン治療と分子標的薬までフルコースですから、トライアスロンばりに過酷だったと思います。ひとつひとつ自分の経験を思い出しながら読んでいました。私は抗がん剤は経験しなかったけれど、手術の話や、治療を決める話に「ああ、そうだよね、わかるよ、わかる」。インスタにしんどいって書いてるときは、隣に飛んで行って背中をさすってあげたい、痛みを引き受けてあげたいという祈りの気持ちでした。

きっと経験者はみんな同じように自分を重ねて、励ましたり、励まされたりしていたのだと思います。それもすべてアンナさんがありのままをあれだけ詳しく語ったから。がんは口にしにくい病気から、闘病中だと口にして、励まし合う病気になりました。アンナさんたった1人の登場でがんをとりまく状況は激変しました。

標準治療=標準的なイケてない治療と思われていたのでしょうか、何人もの芸能人が代替治療を選んで命を落としていきましたよね。私、アンナさんが「標準治療!」と大声で言ってくれたことが素晴らしいと思いますが、同時に、もっと早くに影響力のある人が「標準治療!」と言っていたら、あの男性アナもこの女性アナもまだお元気だったのかもしれないと悔しく思うんです。「標準」じゃなくて「最善治療」という名前にしてくれないかなって思います。

そんなアンナさんがご結婚とのこと、心よりお祝いを申し上げます。きっとこの年になるともうドキドキの恋愛っていうより、一緒に歩いて行く伴侶が欲しいですよね。ご主人も大きな病気をなさった方だと読みました。分かち合えるものがより多い方なのですね。

私も乳がんとわかったとき、生まれて初めて「自分の人生の終わり」のことをリアルに考えました。自分の命にも限りがあるということを震え上がるほどの現実として感じると、1日1週間1年がとても大事だと理解できるようになります。結果、未来のことをあれこれ迷うより、まずいまこの瞬間の自分の幸福を見つけることが大事なのだ、未来というのは今日の積み重ねなのだということがストンと腑に落ちる。

もうひとつ大事なこと。乳房切除をしてもなお、自分を卑下せず前を向いてさえいえればステキな伴侶と巡り合うことができるという、究極にポジティブで大切なことをアンナさんは示してくれました。どうしても病後は自分の価値を「どうせ私なんて」と卑下しがちです。アンナさんですら「どうせ」と考えていたと読みました。でもやっぱり、私は私であることをひたすら考え抜いていけばいいんだと、心から励まされました。

不安を、つらさを、痛みを、苦しさを2人で分かち合って、楽しいことは2人で2倍にして、支え合って暮らしていく伴侶なのだと思います。どうぞ毎日を楽しく暮らしてください。


《OTONA SALONE》

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