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朝日新聞批判

社会 ニュース
各メディアからバッシングにあっている朝日新聞ですが、「信頼回復と再生のための委員会」を発足させたことを発表しました。
同委員会は、社内のメンバーのほか、社外委員も、ジャーナリストの江川紹子さん、弁護士の国広正さん、日産自動車副会長の志賀敏之さん、社会学者の古市憲寿さんの4人が招かれました。

朝日新聞社では、第二次世界大戦中に、朝鮮人の女性が従軍慰安婦として強制連行されたと証言する、いわゆる「吉田証言」を取り消しました。
慰安婦報道についての検証は第三者委員会が分析しています。また、東京電力福島第一原発の事故処理を巡る「吉田調書」をスクープはしたものの、その解釈に問題がありました。
それらを踏まえた上で、「信頼回復と再生のための委員会」は、会社全体の意思決定と危機管理のあり方、企業体質などに踏み込むとしています。

そもそも、朝日新聞に限らず、メディアは誤報をする可能性があるものです。たとえば事件報道にしても、警察情報に依存してる以上、冤罪に加担することがあります。
もちろん、メディアは誤報があるたびに、訂正をし、謝罪をしてきました。
もっとも、社会的な関心が大きなものは、謝罪も大きくなりますが、ときには、もう一度、別の形で報道することで、事実上、報道内容を訂正しているものもあります。

私も新人時代、交通事故の記事で誤報をしたことがあります。本当は「足にけが」だったのですが、「足を折った」と記事に書いてしまいました。
交通事故の加害者からの苦情でわかったのですが、なぜ私が間違った記事を書いたのか、情報源をたどって、自己検証し、数行でしたが訂正記事を書いたのを覚えています。

情報を発信する側ではあれば、間違えることはあります。問題は、間違えたときにどのような自己検証をし、どのように振る舞えるかでしょう。
なぜ、朝日新聞があのタイミングで慰安婦報道の検証をしたのでしょうか。なぜそれまでできなかったのでしょうか。それは、検証記事では明確ではありませんでした。
その意味では、企業体質を検証することには異論はありません。

それにしても、検証するメンバーがどうしてこの4人になったのでしょうか。
検証メンバーの選出について、どのような基準で、他にどのような候補者がいたのか、なぜ、他の候補者ではないのか。
そういったことも明確にすべきだと思います。なぜなら、検証メンバーの選出基準やその方法が、「信頼回復と再生のための委員会」の質や限界を決めるからです。
ぜひとも、検証メンバーには、なぜ自分が選ばれたのかの検証もしてほしいと思います。

一方、「朝日新聞批判をすれば売れる」と言われている週刊誌ですが、その週刊誌もこれまで多くの誤報や強引な取材をしてきています。
週刊誌たたきをすれば、朝日新聞以上のものが出てくる可能性だってあります。その意味では、対岸の火事ではありません。
このままでは、朝日新聞への信頼低下どころか、メディア自体の信頼性を低下させていくだけです。

しかし、一連の朝日新聞バッシングは、情報を受け取る側にとってはよい機会になるかもしれません。
朝日新聞に限らず、私が発信する情報を含めて、すべての記事が、ある情報源を元に発信されていること、
その情報源が間違っている可能性があること、単純な勘違いのほか、メディア自身が意図的に大げさにしている可能性があることをあらためて知ることができたからです。

これまでもメディア・リテラシーという言葉がありましたが、多様な情報を触れるには、それだけの時間や知力、体力が必要でした。
インターネット時代には、そうした作業は自分だけがしなくとも、誰かが検証している情報をすぐに得ることができます。当事者になれば発信することも難しいことではなくなりました。
情報源や情報の質の多様性を確保できるようになりました。

このバッシングから学ぶべきは、情報を読み取る力ではないでしょうか。
また、同時に、発信する側としては、情報源を守った上で、情報を受け取った側がその記事内容を検証可能にしていくことだと思っています。

[ライター渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中]
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