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東京五輪の「光と影」

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「City of.....TOKYO」

2020年のオリンピック開催地は「東京」に決まりました。1998年の冬季オリンピック開催地が長野に決まったときと同じような発表スタイルでした。私自身は、ロスオリンピックの商業主義化以降、開催自体に疑問を持ってきました。とくに冬季オリンピックは、長野を含めて、自然環境の破壊が問題となったり、出場国が北半球に限られることから、夏季オリンピックよりも批判的な立場です。

もちろん、オリンピック憲章の「オリンピック・ムーブメント」、つまり、スポーツを通じて、友情、連帯、フェアプレーの精神を培い、相互理解することで世界平和を目指すことには賛成です。もともと野球少年だった私もその精神はわかる気がします。数々の名勝負もオリンピックで生まれてきました。その意味で、国際大会を間近に見れることはとても嬉しく思います。

しかし近年のオリンピックは招致費は膨大です。招致費というのは、招致できない場合はまったく回収できないのです。ギャンブルに投資するようなものです。長野オリンピックの場合、NAOC(長野オリンピック組織委員会)によると、招致費に約25億5600万円かかっています。しかも会計帳簿が紛失しています。2016年の東京オリンピックの招致活動でも46億1275万円のうち、保存期間内でありながらも、18億円分の文書を紛失しています。これは朝日新聞の情報公開請求でわかったものです。不透明な招致活動がついてまわります。

今回の招致活動も、会計の面から検証されるべきでしょう。

かつてソルトレイク・オリンピックでも、悪質な招致活動があったとの指摘がありました。長野でもあったのか?との問いに、1999年2月7日付の信濃毎日新聞で、IOCのマーク・ホドラー理事(スイス)は、「証拠はないが、長年にわたり、少数のIOC委員が(立候補都市から)過剰接待を受け入れてきた。同様の問題があったと想像できる。JOCの詳しい調査を期待したい」と応えている。その後、日本オリンピック委員会(JOC)は「明確な違反」があったことを公表したのです。

こうした意味では、コストを抑えた「東京オリンピック」の構想は一定の評価をすべきものがあります。既存の施設の改修で補う部分が出てくる。選手の負担を抑えて、半径8キロ圏に競技場が配置されているのもよいと思います。

しかし、その一方で行政サービスの低下があります。都民にエンターテイメントをもたらすのは悪くありませんが、公共図書館が民間委託されたり、必要な事業をNPOに委託したり、国保税があがったり、さらには消費税率が上がろうとしています。

決定後の新宿・歌舞伎町で、馴染みのキャバクラ関係者と立ち話をしていました。彼は「これで歌舞伎町がダメになるかもしれない」と話していました。サッカーのワールドカップ日韓大会のときも、世界一の歓楽街・歌舞伎町の警察の取り締まりは強化され、閉鎖に追い込まれた店舗も少なくありません。歌舞伎町はそれ以前と比べると、閑散とした街になりました。現在でもその影響があります。

莫大な公費をつぎ込む以上、よりよい生活へのステップになってほしい。それは誰もが思います。しかしながら、夏季オリンピックが開催後は、景気が悪くなると言われています。日経新聞(2012年9月1日付)では、ソウル・オリンピック以後で、開催後に景気があがったのはアトランタ・オリンピック後のアメリカだけです。2020年までは経済成長の可能性があります。その後の経済の落ち込みを見越した政策を考えるべきでしょう。

[ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材 有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中]
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