戦後最低の投票率と、自民「圧勝」の背景は? | NewsCafe

戦後最低の投票率と、自民「圧勝」の背景は?

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先日行なわれた、衆議院議員選挙が終わりました。結果から言えば、「自民」圧勝、「維新」躍進、「民主」惨敗、「未来」完敗といったところでしょうか。
しかし、投票率で59.32%で、前回の衆院選よりも10ポイント近く下回り、戦後最低になりました。これまで戦後最低だった1996年の59.65%を下回ったのです。投票直前で新党が続々と誕生するなど、劇場型ではありました。一見"盛り上がり"を見せていたのですが、いったいどういうことだったのでしょうか。

私は自身のブロマガ「生きづらさオンライン」(11月19日付け)で「【総選挙】いまいち『盛り上がらない』総選挙~何を基準にどう信じればいいの?」を配信していました。その中で、新党の離合集散や乱立について、『野合』としか見れない動きをしていたりする。もちろん、議論の過程ではあるから、右往左往するのは自然かもしれない。しかし、どうも必要な議論というよりは、『勝つためだけ』のお題目の擦り合わせではないかと疑ってしまう」と書きました。そう思った人も多いのではないでしょうか。

そうした有権者のしらけムードは、白票や無効票の多さにも現れています。「候補者名」「政党名」に何も書かない票が「白票」です。候補者ではない名前を書いたり、漫画のキャラクター名を書いているのが「無効票」です。朝日新聞の集計によると、選挙区での無効票が204万票で投票者数の3.31%。総務省の集計でこれまでは2000年の2.99%が最高最多。集計方法が違うので単純比較はできないが、過去最高の無効票とになります。都内でも北区が2万票を越えています。それだけ投票所には行ったものの、迷った人も多いのではないでしょうか。

また、投票行動が議席獲得に結びつかない「死票」は、全300小選挙区の合計で3730万票で、「死票率」は56.0%で、前回の46.3%と比べ10ポイント近く増えました。第3局が乱立し、共産党も前回の方針を転換し、原則選挙区に立候補にしたのです。以前の中選挙区であれば複数の候補者が当選するので死票が少ないのですが、小選挙区は1人しか当選しないために、候補者が多ければ死票も多くなるのです。

一方、結果は「自民」圧勝ですが、比例区だけで見てみると、自民の得票率は前回と変わっていないのです。自民は前回、26.73%だったものが、今回は27.66%と微増しただけです。議席数は55から57になっただけです。一方、民主を見て見ると、前回は42.41%だったのですが、今回は16.03%と半数以下に激減したのです。議席数も前回の61から30に減らしました。つまり、民主の自滅だったわけです。

迷いに迷った人も多く、結果として選挙に行かなかった人も多かったとは思います。もちろん、各政党の離合集散、新党乱立、内部分裂などが、投票先を迷わせた大きな要因だとは思います。さらに大きな要因の一つとしては、以前から「死票が多い」と指摘されている選挙制度があるように思います。有権者の迷いだけが、過去最低の投票率を招いただけではないのです。

[ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材 有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中]
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