再び、山は動くのか | NewsCafe

再び、山は動くのか

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いよいよ小選挙区300と比例代表180の計480の議席を争う「政権争奪選挙=衆議院総選挙」の幕が気って落とされた。
12政党+諸派が争うという、まれに見る多党選挙であり、まさにどの政党も過半数の議席を獲得できないのでは…と思わせるチキンレースの様相である。300の小選挙区に1294人が立候補・180を争う比例区に単独比例区候補が200人強で合計1504人余が争う。
現行の選挙制度では1996年の1503人を上回る候補者の多さ。今回の総選挙の最大のポイントは色いろあるが、突き詰めると3年余の民主党政権のやってきた事に対しての通信簿的採点=70点以下の場合は落第・実行力を標榜する自民党を中心とした右翼志向の強いグループに政権を渡すのか、それとも第3極政党を応援して新しい政界再編を期待するかの3択選挙である。
各メディアは盛んに「電話世論調査」を行い、その結果を踏まえて選挙結果予想を行なっている。固定電話を対象とした「旧態然たる調査」でかねてより精度には疑問の声もあり「当たるも八卦・当たらぬも八卦」の類であると思う。
近年の総選挙で大きな地殻変動があったのは、社会党が大勝した1989年の総選挙と3年前の民主党が大勝した2回。1989年の総選挙のときの「社会党の土井たか子委員長」は社会党の第10代委員長・第59代衆議院議長といずれも「女性で始めての政党委員長・初めての国会議長」となった傑女であった。
若い人には記憶が無いだろうが、総選挙で大方の予想に反して大勝したときの「山が動いた」と言う感想は日本の政治史に残る名台詞である。時の竹下内閣の消費税導入・リクルート事件での政治の腐敗を受けての総選挙で「有権者の半分を占める女性の怒り」がまさに山を動かしたのである。
今回の総選挙の新党ブームの中で「日本未来の党」に注目したい。女性知事が党首・公約の柱は卒原発・女性重視・子供重視とスタンスは明快である。考えてみると、有権者の半分は女性であるにもかかわらず、日本の政治の場では女性は軽視されてお飾り的にしか扱われてこなかったように感じる。野田改造内閣では女性大臣は田中真紀子文科大臣だけ。世界の政治の場では女性の首相や大統領は珍しくない。中には「大臣の半分は女性」と言う国まであるのである。今、政治に市民感覚が求められているが、それには「女性の政治的台頭」が不可欠である。
日頃から行く機会が多い霞ヶ関界隈では、いまだに週末の寒空の下で「総理官邸を取り巻く静かな原発再稼動反対のデモ」が続いている。その参加者は多様であるが、女性が過半を占めている。どの政党も我々の味方ではないと感じている多くの女性がどの党に一票を投じるか、16日の開票に注目だ。

[気になる記事から時代のキーワードを読む/ライター 井上信一郎]
《NewsCafeコラム》
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