格が違ったゴールデンボーイ | NewsCafe

格が違ったゴールデンボーイ

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現地時間5月14日に行われた「IT'S SHOWTIME」リヨン大会でおよそ1年ぶりにリングに戻ってきた"ゴールデンボーイ"バダ・ハリ。昨年5月のヘスディ・カラケス戦で倒れた相手に攻撃を加える「2度目の過ち」で謹慎処分に。さらにはオランダでの暴行事件の容疑がかけられたこともあり、格闘家として大事な1年を棒に振ってしまった。

この日の相手は32歳ベテランのトニー・グレゴリー。キックでは87戦74勝の戦績を持つ強豪だ。見るからにビルドアップされた上半身からこの1年でバダ・ハリがパワーアップしていたのは明らか。あとは試合勘の問題と思われたが、開始早々いきなりのミドルキックで場内を沸かせた。

ボディ、ストレートと放っていく最中にバダの左がトニーの顔面をかすめ早くもダウンを奪う。焦ったトニーはとび蹴りで応酬するが、どんどん前に出るバダに完全にのまれてしまった。ボディで2度目のダウンを奪うとさらにパンチで押し倒した。スリップ気味と思われたがレフェリーはこれを3度目のダウンとし試合をストップした。

終わってみれば格が違いすぎた。シュルト、アリスターを撃破した実力はワンマッチでは世界最強を改めて見せつけた。それだけに現在のK-1の状況が残念で仕方がない。経営不振から今期のヘビー級の開催はいまだに未定。年が明けてから半年がたつのにスケジュールが決らないことはこれまでなかった。

この日もタイロン・スポーンやジョルジオ・ペトロシアンなどK-1で活躍するファイターが多数出場している。K-1の状況次第だが今後立ち技格闘技は「IT'S SHOWTIME」が世界基準となる可能性が高い。現時点ではヘビー級の層がK-1よりも薄いがファンとしては団体が乱立せず強豪選手がひとつにまとまる場を望んでいるはずだ。米国UFCにこれ以上差をつけられてはいけない。

話をバダ・ハリに戻すが今後はボクシングのモロッコ代表として五輪に出場するプランもあるそうだ。そのままボクシングに転向する事はないと思うがキック代表としてどこまで通用するかも興味深い。魔裟斗というカリスマが去った日本格闘技界に再び旋風を巻き起こせるのはこの男しかいない。
《NewsCafeコラム》
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