生活者の“健康と暮らし”に関する情報を発信するポータルサイト「マイライフニュース」を運営するヒューマン・データ・ラボラトリ株式会社(所在地:埼玉県さいたま市)では、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の収束および、感染症対策意識の希薄化が見られる世の中の感染症の流行状況について、医師544名を対象に「感染症流行の実態」に関するアンケート調査を実施しました(2024年5月17日~22日)。また、今回の調査結果を受け、実際の診療状況や「感染症ドミノ」を予防するポイント等について、医療法人社団五良会 理事長の五藤良将先生にお話しを伺いました。弊社では、今後も健康づくりに関する情報発信を、継続的に行ってまいります。
アンケートの主な結果(一部抜粋)
■ 感染症に繰り返し罹る患者がコロナ禍以降増えていると約半数が回答
・3か月以内(短期間)に同一患者が複数回感染症に罹った回数は「2回」が63.1%
・年代別では10歳未満と70~80代以上に感染を繰り返す患者が多い傾向
・属性別では「高齢者」「未就学児」「未就学児をもつ親」の順に
■ 感染症に何度も罹ることで起こる健康被害で多いのは「咳」「倦怠感」「痰」
・感染症を繰り返すことで罹りやすい他の疾患は「肺炎」「気管支炎」が上位
・病状以外での不安は「家族への感染・負担増」「職場への負担増」
・複数回感染の要因は「免疫力の低下」と71.3%の医師が回答
■ 短期間に複数回感染する状況を表す言葉は「感染症ドミノ」に支持が集まる
■ 感染症ドミノの予防法は「免疫維持」「睡眠」「バランスのよい食事」が上位
・免疫機能維持におすすめの食材1位は「ヨーグルト等の乳製品」
・医師が実践している対策は「睡眠」「バランスのよい食事」「手洗い・消毒」
・免疫機能維持を重視する医師の72.0%が「ヨーグルト等の乳製品」を摂取
感染症に複数回罹る患者がコロナ禍以降増えていると約半数が回答
Q1 風邪を含む感染症患者さんの来院者は、コロナ禍以降増えていますか。また、同一の患者さんが感染症に複数回罹患するケースはコロナ禍と比べて増えていますか。(n=544)


3か月以内(短期間)に複数回感染症に罹った回数は「2回」が約6割
Q2 診察した患者さんの中で、同一患者さんが3か月間(3か月以内)で複数回感染症にかかったケースについてお伺いします。このケースで一番多く感染症にかかった方の回数はどれくらいですか。(n=544)

Q3 同一患者さんが短期間で複数回感染症に罹るケースについてお伺いします。どのくらいの期間で数回感染症に罹ると、感染頻度が多いと感じますか。(n=544)

短期間での複数回感染の実態は「新型コロナ→インフルエンザ」が最多
Q4 同一患者さんが短期間で複数回感染症に罹るケースについてお伺いします。どのような感染パターンが多いかをお答えください。※「最初のきっかけ」「2番目」は同じものの選択も可能です。(n=544)

年代別では10歳未満と70~80代以上に感染症に繰り返し罹る患者が多い傾向
Q5 短期間に複数回感染症に罹患するケースが最も多い年齢層を教えてください。(n=544)

属性別では「高齢者」「未就学児」「未就学児をもつ親」の順に
Q6 短期間に複数回感染症に罹患するケースが多いと思う属性を教えてください。(複数回答可)(n=544)

感染症に繰り返し罹ることで起きる健康被害で多いのは「咳」「倦怠感」「痰」
Q7 短期間に複数回感染症に罹患することで起きる健康被害を教えてください。(複数回答可)(n=544)

感染症に繰り返し罹ることで起こる他の疾患は「肺炎」「気管支炎」が上位
Q8 短期間に複数回感染症に罹患することで、他の疾患につながると考えられるものをお答えください。(複数回答可)(n=544)

病状以外での不安は「家族への感染・負担増」「職場への負担増」
Q9 短期間に複数回感染症に罹患した患者さん自身の生活や周囲への影響など、病状以外での不安や不満などの相談や愚痴を聞くことはありますか。ある場合はどのような内容でしょうか。(複数回答可)(n=544)

短期間に複数回感染する要因は「免疫力の低下」と7割以上の医師が回答
Q10 短期間に複数回感染症に罹患するケースについて、その要因は何だと考えますか。(複数回答可)(n=544)

短期間に複数回感染する状況を表す言葉は「感染症ドミノ」に支持が集まる
Q11 「同一患者さんが短期間に複数回感染症に罹患する」状況を、一言で表すとしたら、「感染症ドミノ」「感染症リレー」「感染症パレード」「ルーティン感染症」のうち、どの言葉がしっくりきますか。(n=544)

感染症ドミノの予防法は「免疫維持」「睡眠」「バランスのよい食事」が上位
Q12 同一患者さんが短期間に複数回感染症に罹患することを防ぐ方法を3つまで教えてください。 (n=544)

Q13 免疫機能を維持するためにおすすめの方法を3つまで教えてください。 (n=544)

免疫機能維持におすすめの食材1位は「ヨーグルト等の乳製品」
Q14 免疫機能を維持するためにおすすめの食材を教えてください。(複数回答可) (n=544)

医師が実践している対策は「睡眠」「バランスのよい食事」「手洗い・消毒」
Q15 医師の立場として、ご自身がされている感染症対策はありますか。(複数回答可) (n=544)

免疫機能維持のために7割以上の医師が「ヨーグルト等の乳製品」を摂取
Q16 前問で、医師の立場としてご自身がされている感染症対策として「免疫機能の維持」を選択された方にお伺いします。免疫機能の維持のためにご自身が摂ることを心掛けている食材をお答えください。(複数回答可) (n=200)

感染症ドミノは12月~2月の冬時期に起こりやすい傾向に
Q17 同一の患者さんが感染症に複数回罹患するケースはどの月に多くなりますか。(複数回答可)(n=544)

【調査概要】
調査対象者:全国の医師(内科、小児科、耳鼻咽喉科) 544人
調査手法:インターネット調査
調査時期:2024年5月17日~ 5月22日
専門家の解説

医療法人社団五良会 理事長
五藤良将(ごとう よしまさ) 先生
日本内科学会認定内科医。防衛医科大学校卒業後、防衛医科大学校病院や千葉中央メディカルセンターなどでの勤務を経て、’19年に東京都大田区の竹内内科小児科医院を継承し院長に就任。
さらに、横浜のセンター南(五良ファミリークリニック センター南)、’23年には白金高輪(五良会クリニック白金高輪)をオープンし、医療機関のマネジメントにも手腕を振るう。
近著に『内臓脂肪 中性脂肪 コレステロールがみるみる落ちる 血液と体の「あぶら」を落とすスープ』(アスコム)がある。
■「感染症ドミノ」を引き起こす最大の原因は「免疫力の低下」
短期間に複数回、感染症に罹患する「感染症ドミノ」は、免疫力の低下が主な原因だと思われます。免疫力が低下することで、病原体に対抗する力が弱まり、「感染症ドミノ」に陥るリスクが高まります。免疫力が低下する要因としては、過度なストレスが挙げられます。ストレスホルモンであるコルチゾールの増加が免疫機能を抑制し、感染症に対する抵抗力を低下させます。また、免疫系の調整には睡眠が重要な役割を担っているため、睡眠不足も免疫機能の低下につながります。この他、栄養バランスの乱れも、ビタミンやミネラル、抗酸化物質の不足を招き、免疫機能の低下を引き起こします。
※コルチゾール…ヒトの生命維持に欠かせないホルモンの一種。糖や脂肪の代謝、抗炎症や免疫調整などに働くとされている。
■ コロナ禍が残した「免疫負債」が「感染症ドミノ」増加の要因に
今回の調査結果では、約半数の医師が、コロナ禍以降、「感染症ドミノ」を経験する患者が増えていると回答しました。私の医院でも、「感染症ドミノ」が疑われる患者が増えてきており、特に小児科においてその傾向が顕著です。「感染症ドミノ」が増加している大きな要因としては、コロナ禍による「免疫負債」が挙げられます。「免疫負債」とは、感染症に対する抵抗力が低下している状態を指します。約3年に及んだコロナ禍では、徹底した予防策や厳しい行動制限があり、多くの人が通常であれば日常的に獲得のできる感染症に対する免疫を学習することができず、この「免疫負債」を抱える状況に陥りました。このためコロナ禍以降は、様々な感染症にかかりやすくなっているといえます。また、行動制限が緩和され、人と接する機会が急に増えたことも、「感染症ドミノ」が起こる一因と考えられます。
■ 高齢者・未就学児・子育て世代・基礎疾患を持つ人は「感染症ドミノ」に要注意
調査結果では、10代未満の未就学児や70~80代以上の高齢者に「感染症ドミノ」が多くみられました。この結果からも、免疫力が「感染症ドミノ」に大きく関与していることがわかります。高齢者は、加齢によって免疫力が低下しやすく、感染症に罹るリスクも高いといえます。また、未就学児は、免疫系が未発達であり、もともと感染症に対する抵抗力が弱い状態です。そして、未就学児を持つ子育て世代も、子どもからの感染リスクが高く、免疫力が低下しやすいため「感染症ドミノ」に注意が必要です。
この他に、基礎疾患を持っている人は、「感染症ドミノ」によって症状を悪化させたり、合併症を引き起こすケースもあるので要注意です。特に糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病を患っている人は、健常者に比べて免疫力が低下しやすく、感染症にも罹りやすいため、「感染症ドミノ」状態にならないよう気をつけてください。
■ 暑い夏に向けて「感染症ドミノ」を予防するポイントは?
調査結果にもあるように、「感染症ドミノ」は、気温が下がって空気が乾燥し、インフルエンザが流行する冬の時期に最もリスクが高まります。しかし、近年は感染症の流行パターンも変化しており、夏に流行するプール熱や手足口病が5月や6月に増加するなど、季節に関係なく感染症が広がっています。また、直近では、夏を前に沖縄で新型コロナの感染が拡大しており、夏だからといって油断は禁物です。
「感染症ドミノ」を予防するためには、何よりまず免疫機能を維持することが重要です。普段の生活習慣を見直し、バランスの良い食事、十分な睡眠、ストレス管理を心掛けましょう。また、こまめな手洗いや手指消毒も、感染症の拡散を防ぐために大切です。そして、これから迎える暑い夏には、脱水症状によって免疫力低下を招く恐れもあるため、特に水分補給を怠らないようにしてください。
■ 医師が免疫機能の維持のために摂っている食材は、なぜ「ヨーグルト」なのか?
免疫機能を維持する食材としては、今回の調査結果の通り、私も「ヨーグルト等の乳製品」「野菜・果物」「納豆等の発酵食品」を摂ることを意識しています。特にヨーグルトには、乳酸菌等のプロバイオティクスが含まれており、腸内環境を整え、免疫力を高めます。また、野菜・果物は、ビタミンやミネラル、食物繊維、抗酸化物質が豊富で、免疫機能の維持をサポートします。内臓脂肪・中性脂肪・コレステロールが多いと生活習慣病を招きやすく、感染症にもかかりやすい状態になってしまいます。バランスのよい食事を意識しながら、先にあげた食材を積極的に摂取することで、免疫機能を維持し、「感染症ドミノ」の予防に努めましょう。
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