原田監督が、自著「無用の人」(講談社文庫「あなたは、誰かの大切な人」収録)を原作として、自らメガホンをとった本作。
主人公・聡美が監視員として勤める美術館に届いた謎の「鍵」をきっかけに、1人静かにこの世を去った父との記憶をたどり、家族でさえ知らなかった父の晩年の姿が次第に明かされていく人間ドラマ。
サン・セバスチャン国際映画祭の国際批評家連盟賞は、世界各国の映画批評家で構成される国際映画批評家連盟(FIPRESCI)がコンペティション部門から選出する独立賞。今回の受賞理由として、作品に込められたアートへの敬意と映像美が評価されたほか、審査員の1人からは「本作を見て、新しい映画の時代が幕を開けたと感じた」というコメントも。同映画祭では1998年に是枝裕和監督が『ワンダフルライフ』で同賞を受賞しており、日本映画の受賞は河瀬直美監督のドキュメンタリー映画『玄牝 -げんぴん-』以来、16年ぶりの快挙となる。
また、アテネオ・ギプスコアノ賞は、1870年に設立され、サン・セバスチャンで最も歴史ある文化財団「アテネオ・ギプスコアノ」が独自の視点で最も卓越した作品に与えられる賞。部門を問わず全ての作品から1作品が選出・授与され、今回は5人の審査員が満場一致での即決だった。現地時間9月26日(土)に授賞式には原田監督が登壇。初監督作品がW受賞という快挙を果たし、「幸せな読書体験を届けるために、小説家として、20年間書き続けてきました。今度は幸せな映画体験を届けたいと思いサン・セバスチャンに来ましたが、私が最も幸福な映画体験をさせて頂きました! 芸術と平和、そして映画を愛するサン・セバスチャンでのプレミアは非常に意義がありました。2つも賞を頂き、最高に嬉しいです!」と喜びのコメントを寄せた。
本作は先んじて現地時間9月21日(月)にワールドプレミアが行われ、1,800人以上もの観客を収容する会場が満席となり、上映後にはスタンディングオーベーションで賛辞が贈られた。上映後には「蒼井優の素晴らしい演技が光り、美しく詩的で心ゆさぶる」(International Cinephile Society)、「美意識に満ちた日本文化の世界へ観る者を惹きこむ」(VERDICT)、「絵画や茶器に映る微かな光を巧みにとらえた、繊細な撮影に満点を与えたい」(SCREENDAILY)など各国メディアから称賛の声が続々と寄せられているほか、「Variety」ではコンペティション部門で最も好評を博している作品としてマイク・リー監督『Tender Loving Care』と共に名前が挙げられている。
さらに10月6日から開催される第31回釜山国際映画祭「アジア映画の窓部門」への正式出品も決定しているほか、フランス、韓国、台湾、香港での配給も決定しており、日本公開を前に国外からの評価が高まっている。
『無用の人』は2027年1月29日(金)より全国にて公開。










