Creepy Nutsはなぜ海外でも存在感を放つのか 「Fright」と北米ツアーから見る現在地 | NewsCafe

Creepy Nutsはなぜ海外でも存在感を放つのか 「Fright」と北米ツアーから見る現在地

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Creepy Nutsはなぜ海外でも存在感を放つのか 「Fright」と北米ツアーから見る現在地

Creepy Nuts(クリーピーナッツ)の海外での存在感が、さらに大きなものになっている。

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新曲「Fright」は、4月10日に配信リリースされた楽曲で、TBS系火曜ドラマ『時すでにおスシ!?』の主題歌として書き下ろされたものだ。4月28日にはミュージックビデオも公開され、楽曲の持つ不穏さと疾走感を視覚的に広げる作品として注目を集めている。さらにCreepy Nutsは、アメリカ・カリフォルニア州で開催された『Coachella Valley Music and Arts Festival(コーチェラ・バレー・ミュージック・アンド・アーツ・フェスティバル)2026』に出演。同フェスで「Fright」の世界初パフォーマンスを披露し、その後にはニューヨーク、シカゴ、メキシコシティを巡る自身初の北米ワンマンツアーも完走した。

この春のCreepy Nutsは、国内の話題にとどまらない動きを見せている。新曲のリリース、MV公開、コーチェラ出演、北米ツアー。ひとつひとつは大きなトピックだが、それらが短い期間に連続して起きていることで、いまのCreepy Nutsがどのフェーズに立っているのかがより鮮明に見えてくる。日本のヒップホップユニットとして活動を積み重ねてきた二人が、いま世界のリスナーの前でどのように鳴っているのか。その現在地を考えるうえで、「Fright」はとても象徴的な楽曲と言えるだろう。

【「Bling-Bang-Bang-Born」が開いた、世界への入口】

Creepy Nutsの海外での広がりを語るうえで、やはり大きな転機となったのは「Bling-Bang-Bang-Born」だろう。TVアニメ『マッシュル-MASHLE- 神覚者候補選抜試験編』のオープニングテーマとして発表された同曲は、SNSを中心に一気に拡散し、国内外で大きなヒットとなった。中毒性のあるフレーズと身体が反応するビート、そしてR-指定の畳みかけるようなラップ。その組み合わせは、言葉の意味をすべて理解できなくても届く強度を持っていた。

ここで興味深いのは、Creepy Nutsが最初から海外向けに自分たちの表現を変えていたわけではないという点だ。R-指定のラップは、日本語の細かな韻や言葉遊び、独特の間、早口の技巧を武器にしている。DJ松永のトラックも、わかりやすく海外の流行に寄せるというより、Creepy Nutsとしての癖や遊びをしっかり残している。つまり彼らは、日本語ラップの濃度を薄めることで世界に届いたのではない。むしろ、日本語のまま、Creepy Nutsのまま鳴っていたからこそ、海外のリスナーにも強く引っかかったのだろう。

アニメ主題歌としての広がりも、Creepy Nutsの海外人気を考えるうえで大きなポイントになる。近年、日本のアニメ作品は、海外のリスナーが日本の音楽と出会う重要な入口になっている。「Bling-Bang-Bang-Born」や、TVアニメ『ダンダダン』のオープニングテーマ「オトノケ」も、その流れのなかで世界へ広がっていった楽曲だ。ただ、Creepy Nutsの強さは、入口の広さだけにあるわけではない。アニメをきっかけに楽曲を知ったリスナーが、彼らのライブ映像や過去曲へ自然とたどり着いていく流れがある。キャッチーなフレーズの奥には、R-指定のラップスキルと、DJ松永の音作り、そしてライブで場を動かす説得力がある。アニメによって出会いやすくなり、聴き進めるほど表現の強さが見えてくる。その二段構えこそ、Creepy Nutsの広がりを支えている。

【コーチェラ出演と北米ツアーで広げた海外での存在感】

そうした流れのなかで、コーチェラへの出演は大きな節目になった。コーチェラは、世界中の音楽ファンが注目するフェスであり、出演するだけでもアーティストにとって大きな意味を持つ場所だ。Creepy Nutsはそのステージに、日本語のラップとDJプレイをそのまま持ち込み、海外の観客と向き合った。

さらに注目したいのは、その場で「Fright」の世界初パフォーマンスを披露したことだ。すでに広く知られているヒット曲だけで盛り上げるのではなく、新曲を海外の大きな舞台で初めて鳴らした。そこには、海外で“見つかった”存在として終わらず、いまの自分たちの表現を更新しながら届けていく姿勢が表れている。

そして、北米ワンマンツアーの完走は、Creepy Nutsの海外展開において大きな一歩となった。フェス出演は一瞬のインパクトを生むが、ワンマンツアーはまた別の意味を持つ。そこに集まる観客は、Creepy Nutsのステージを目当てに足を運んでいる。ニューヨーク、シカゴ、メキシコシティという都市を巡り、海外の観客と直接向き合ったことは、彼らの音楽が単なるバズを超えて受け止められている証でもある。

Creepy Nutsが海外で存在感を放っている理由は、ひとつではない。アニメ主題歌としての広がり、SNSでの拡散、楽曲そのものの中毒性、ライブでの強さ、そしてR-指定とDJ松永という二人のキャラクター。そのすべてが重なって、いまの状況を作っている。ただ、その中心にあるのはやはり、1MC・1DJという編成で積み上げてきた表現の強度だろう。大きな装置や過剰な演出に頼るのではなく、言葉と音で場を動かす。そのシンプルさが、海外のステージでも通用しているという側面もあるはずだ。

現在、Creepy Nutsは“海外でも話題になっている日本のアーティスト”という段階を超えつつある。彼らはすでに、海外のリスナーを前にして自分たちの楽曲を鳴らし、反応を受け取り、次の作品へつなげるフェーズに入っている。「Fright」は、その只中で生まれた楽曲だ。Creepy Nutsが次にどんな景色を見せてくれるのか、その歩みからますます目が離せない。


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