
今年も終わりに近づき、お仲間と食事会があるかもしれませんね。実は、食べ方は見られています。「美しい所作だった」「こんな心遣いがいい」と言われるポイントを(一社)日本プロトコール&マナーズ協会松田玲子先生にあげていただきました。今回は、洋食の場合と、和食の場合でわけてみます。
【 気品を身につけるシンプルな教え#118】
▶育ちがいい人の割り箸の割り方は?
【和食編】
◆割り箸を割るとき、テーブルの下で割っていますか?
割りばしを割る際は、テーブルの上で行わずにご自分の身体とテーブルとの間で割りばしを上下にして割ると良いですね。なぜならテーブルの上で割りばしを扱いますと、器やグラスを倒す危険性があることと、割りばしを縦にして左右に開こうとした時に、ふと手が滑ってお隣の方にぶつかる可能性があるからです。また、お箸をこすってささくれを取り除くのもレディはなさらずに。テーブルの下でさりげなく飛び出しているところを取り除くようにしてくださいね。気持ちよく会食をするためにもお隣や周りの方への心遣いも忘れないようにしましょう。
◆おしぼりで手を拭いたら使用した面をさりげなく折り畳んで
おしぼりは、本来は手を拭くものです。手を拭いた後におしぼりが汚れてしまうこともありますので、衛生面や周りの方が不快に思われないようにとの心遣いとして、使用した面を中にして折り畳むと良いですね。くれぐれも、おしぼりでテーブルを拭くなどなさらないで! テーブルが気になる場合は、お店の方を呼んでテーブルを拭いて頂くか、布巾をお借りしてそれで拭くようにしてください。
▶手皿をしていない?
◆座敷に上がることが事前にわかっていたら履物に気を遣って
食事会の会場がお座敷になることがわかっていたら、脱いだり履いたりするのに時間のかかるロングブーツは避けた方が良いでしょう。また、脱いだ後のブーツが自立するものでしたらよいのですが、やわらかい革ですと脱いだ後の姿が美しくありません。
そして、館内ではスリッパを利用することがあります。宴会場に戻る時には、スリッパをそろえてから会場に戻りましょう。また、お部屋に入る向きのままでスリッパを脱ぐ方もいますので、他のスリッパの向きを揃える気遣いもできると良いのではないでしょうか。なぜなら、スリッパの向きがばらばらですと、見た目が美しくないことと、他の方が部屋から出る際に履きづらくなりますので注意を。
◆箸を口元に運ぶ際に、手皿をしたり、口元を手で覆う仕草していませんか?
お料理を口に運ぶ際に、利き手と逆の手の平を受け皿のように「手皿」をして添えて召し上がる方がいますが避けた方がよいですね。なぜなら、頂く食材は生きていた命のあったものです。その命あるものを素手で受けることは失礼という考えがあるからです。和食では手に乗るサイズの器は、持ち上げて食べるほうが美しくいただけます。また、料理を口に運んだ瞬間から口元を手に当てたまま召し上がったりなさらぬように!口元を手で覆うしぐさは、手がテーブルと顔に何度もいったりきたりするので、まわりの方々にとってあまり心地いいとは思えません。箸を持たない手は、お皿に手を添えるなど、せわしなく動かすのではなく落ち着いたしぐさで食事や会話を楽しみましょう。
▶お箸のタブー
◆お椀は両手で持ち、箸先をまわりに向けていただかないで
お椀は両手で持ち上げ、お箸を持ちます。箸先を椀に入れたら椀だねをおさえて吸い地を飲み、椀だねが大きかったら箸で少し小さく切ってからいただきます。戻すときは、箸を置いてからお椀を置きます。
◆お箸のタブー。箸を小鉢の上に置く「渡し箸」や、料理を取り分ける際に自分の箸を逆さち替える「逆さ箸」をしていませんか?
日本人が食事を共にする時、相手に不快感を与えないための箸のタブーはご存じかと思われますが、その数は実に70を超えます。たとえば、箸を小鉢や椀の上に置く「渡し箸」や、料理をとりわける時に自分の箸を逆さに持ち替えて取る行為は「逆さ箸」といってお行儀の良い食べ方とはいえません。そのような時には、お店の方にお取り箸をお願いすれば、皆で使うことができます。
そのほかのお箸のタブーを覚えておきましょう。
一度取ろうとしたおかずから別のおかずへと箸を動か「移り箸」、何を食べようか迷って箸がお膳の上をウロウロする「迷い箸」、食べ物を突き刺す「刺し箸」、箸を口にくわえたまま手で食器を持つ「くわえ箸」、箸を舐めて取る「ねぶり箸」等など……。普段の食事から気をつけましょう。
▶遠くにある醤油を取りたいときは
◆テーブルの遠くにある醬油などを使いたい時どうされますか?
お料理をいただいている時、醬油やソースを使いたいけれど遠くにある場合は、無理して手を伸ばして取るのではなく、隣の方に「お醬油を取っていただけますか」などと声をかけて、取っていただきます。隣の方の目の前に、いきなり他の方の腕が現れたら驚かれますので、必ずひとこと声をかけて取っていただきましょう。
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