北村:僕は他の作品でも前室にいることは多いですが、「あんぱん」は現場に入る前から楽屋に戻らないことを決めていました。役者も作品のスタッフの1人だと考えているので、一緒に話し合い、納得して作っていかなければいけないと思っているタイプです。特に「あんぱん」の撮影期間は1年と長いですし、最終的には人間関係が重要になっていくのではないかと思ったんです。だから、とにかくいろいろな人と距離感を作らず、作品のことじゃなくても「今日雨すごいらしいよ」とか、何でもない会話をするように心がけていました。そこに自然と今田さんがいてくださいましたし、気づけば河合(優実)さん(のぶの妹・朝田蘭子役)や原(菜乃華)さん(のぶの妹・辛島メイコ役)、文哉くん(辛島健太郎役)、たくちゃん(いせたくや/Mrs. GREEN APPLE大森元貴)などみなさんがずっといるんです。僕がやったことはきっと間違いではなかったのかもしれないと思いました。