先日、映画『国宝』が8月17日までの公開73日間で興行収入105億円を突破する歴史的快挙を達成したことが明らかになり、大きな反響を呼んだ。同作の主演は吉沢亮が務めているが、彼と同じく歌舞伎の女形に挑戦した横浜流星も、観る者の心に刻まれる名演を見せていると話題だ。そこで本記事では、『国宝』での横浜の芝居に注目し、その役作りなどにも触れながら、役者としての魅力に迫りたい。
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2019年に放送されたドラマ『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)で一躍ブレイクを果たし、以降さまざまな作品で存在感を放っている横浜。昨年は映画『正体』で主演を務めると、日本中を震撼させた殺人事件の容疑者として逮捕され、死刑判決を受けたが脱走し潜伏を続ける主人公・鏑木を熱演したことも記憶に新しい。同作での演技が評価され、「第48回 日本アカデミー賞」では最優秀主演男優賞に輝いており、その実力は折り紙つきだ。
そんな横浜が出演した映画『国宝』は、任侠の一門に生まれながらも、歌舞伎役者の家に引き取られ、芸の道に人生を捧げた主人公の50年を描いた壮大な一代記。横浜が演じるのは、上方歌舞伎の名門の御曹司として生まれた大垣俊介。吉沢演じる稀代の女形として脚光を浴びていく主人公・立花喜久雄の親友、そしてライバルでもあるという役どころだ。作中では吉沢と共に横浜も女形に挑んでおり、その演技はSNSでも、「動悸がとまらなくなるほど魅了された」「胸が痛くなるくらい真に迫ってました」「素晴らしかった」と称賛の声が相次いでいる。
『国宝』の公式サイトで公開されている李相日監督のインタビューでは、俊介は主人公の喜久雄を演じる吉沢と並び立つほどの存在感を持つ俳優でなければならず、もっともキャスティングに悩んだ役ということが明かされている。結果的に白羽の矢が立った横浜の演技には主演の吉沢も唸ったようで、公開記念特番のインタビューでは、「本当にこのまま歌舞伎役者になっちゃうんじゃないかっていうぐらいにすごい向き合ってて」と語り、常に刺激を与えてくれる存在だったとコメント。また、横浜自身は、喜久雄と俊介が正反対の存在だということから、女性らしい色気のある喜久雄の踊りと対照的な“可愛らしさ、華やかさ”を意識したと明かしている。横浜の作品に懸ける並々ならぬ思いが、『国宝』を歴史的なヒット作に押し上げる要因の1つになったと言えるのではないだろうか。
横浜は現在放送中のNHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』でも主演を務めるほか、広瀬すずとのダブル主演映画『汝、星のごとく』が2026年に公開予定と、止まらない勢いを見せている。『国宝』での挑戦は、横浜の今後の役者人生においても大きな糧となることだろう。