英語学習の最大の壁は依然として「継続」であるものの、その背景は「モチベーションの低下」といった心理的な要因から、「自己管理の難しさ」「成果の見えづらさ」といった、より実践的な課題へシフトしている実態が2025年7月29日、ビズメイツの調査で明らかになった。 ビジネス特化型オンライン英会話サービス「Bizmates」を提供するビズメイツは6月26日~27日、社会人になってから英語を学習した経験がある会社員109人を対象に「英語学習の挫折」に関する定点調査を実施した。 英語学習の課題は「学習を継続すること」(53.2%)がもっとも多く、「自分の英語力において、どのような学習方法が最適かわからなかった」(51.4%)が続き、2021年の調査と同様、課題トップ2にあがった。 一方で、「学習時間の捻出」(27.5%)は2021年から17.5ポイントの大幅減となった。この変化の背景には、ここ数年で進展したデジタル学習環境の整備があると考えられる。生成AIの登場をはじめ、学習アプリやオンライン教材の質・選択肢が飛躍的に拡大したことで、通学をともなわず柔軟に学習できる環境が整いつつある。 ただし、「モチベーションの維持」や「自分にあった学習方法の選定」といった心理的かつ個別性の高い課題は依然として残っていることが、2025年の調査から明らかになった。英語学習においては、利便性だけでなく、自分に最適な方法を見極めて継続するための支援がより一層求められているといえる。 英語学習においてもっとも時間を使った内容は、「リスニング」で29.4%を占めた。リスニングの学習時間が多い理由は、AI英会話や音声教材など、音声を中心とした学習ツールの進化・普及があると考えられる。また、「スピーキング」(25.7%)も依然として上位にあり、多くの学習者が「聞く」「話す」といった実践的なインプット・アウトプットスキルの向上に重点を置いていることがうかがえた。 英語学習の継続について、自ら定めた目標を達成する前に挫折した経験があるかを尋ねたところ、「何度もある」(73.4%)、「1、2回ある」(11.0%)をあわせて84.4%が挫折を経験していることがわかった。2021年(87.4%)と比較して3.0ポイント改善は見られたものの、依然として高水準で推移しており、多くの学習者が「継続の難しさ」に直面していることがうかがえる。挫折の背景には、成果が見えにくいことによるモチベーションの低下や、自分にあった学習法がわからない不安、学習を日常に組み込む難しさなど、複合的な要因がある。 特に日本人は「読み書き」中心の教育を受けてきたため、「話す・使う」ことへの苦手意識が根強く、継続の心理的ハードルになっていると考えられる。さらに、ビジネスパーソンにとっては、忙しい業務や家庭との両立により、英語学習の優先順位が下がりやすいことも障壁の1つである。学習ツールの選択肢が広がり、利便性が向上しても、「続けること」自体が依然として最大の課題であることは、変わらないようだ。 継続のカギを握るのは、「達成しやすい小さな目標を設定すること」(33.0%)や「毎日の学習時間を短時間に設定すること」(32.1%)があがった。また、学習状況の可視化や進捗管理など、アプリなどを活用したテクノロジーによる継続支援も一定の支持を得ている。専任のコンサルタントによる支援に期待を寄せる声も63.3%と多い。教材やサービスの内容だけでなく、個々のレベルや課題に合わせたプラン設計や継続的なフィードバックといった個別最適なサポートが、挫折防止において重視されていることがうかがえた。こうした傾向は、近年拡大する英語コーチングサービスへの関心とも一致しており、伴走型支援のニーズへの高まりが読み取れる。 もし自分と近い目標やレベルの仲間たちと切磋琢磨できるコミュニティがあれば、英語学習を継続できたと思うかを尋ねたところ、62.5%が学習仲間の存在が継続意欲を高めると感じていると回答した。共に努力できる環境やモチベーションの共有は、学習継続率に大きく寄与する可能性を示している。 2025年の調査では、英語学習者の意識が「短期集中」から「長期継続」へと移りつつあり、最大の課題である「継続」の背景も、「モチベーションの低下」といった心理的な理由から、「自己管理の難しさ」や「成果の実感のしづらさ」といったより実践的な課題へと変化していることが明らかになった。同時に、生成AIや学習アプリの進化により、時間や場所にとらわれない柔軟な学習が可能になった今、学習継続を支えるカギは、人の伴走とテクノロジーの力を掛け合わせた「自走力支援」にあることが見えてきた。