1922年、大正時代の創業以来、江崎グリコは人気の食品を数多く生み出してきた。「グリコ」「ビスコ」「ポッキー」「パピコ」などは誰もが一度は口にしたことがあるだろう。現在、同社では、製造工程を見学できる施設として「グリコピア」を運営。兵庫県の「グリコピア神戸」、埼玉県の「グリコピア・イースト」、千葉県の「グリコピア CHIBA」の3か所で工場見学を展開し、どの施設も予約開始早々に枠がすぐに埋まってしまうほどの人気だという。
今回は2025年3月31日に埼玉県北本市のお菓子工場「グリコピア・イースト」で開催されたリセマム読者限定の親子工場見学会に密着。春休みの貴重な時間に60名の親子が、楽しく工場見学をしながら学ぶようすをレポートする。

今回のワクワクファクトリー「グリコピア・イースト」のツアーでは、A~Dの4グループにわかれ、ツアー形式でアテンダントが解説しながら工場を見学した。筆者はDグループに同行。
まずは製造ライン「ポッキーストリート」へ。

廊下の壁がガラス張りになっていて、中の製造ラインが見えるようになっている。ベルトコンベアで次々と梱包前の商品が流れてくる。

また、機械だけに頼らずに、従業員の方がポッキーの状態をダブルチェック。チョコレートが溶けないよう、体温が伝わりにくい手袋を使用するといった細かな配慮のもとで行われる品質管理には、「そこまで厳しくやっているんだ」と同行した大人たちも感心していた。なお検査でなんらかの不備があった商品は、牛や豚など動物の餌や植物の肥料等に100%再利用されているという。

プリッツは小麦粉に砂糖や油を混ぜて生地を作り、機械で生地を小さく切り分け、薄く伸ばして細長くカット。カットされたプリッツは45メートルもあるオーブンで焼きあげる。



次は近未来的な座席が並ぶスタジアムホールに移動して「クイズゲーム」の時間へ。ホール前面に設置された大画面に、宇宙旅行をイメージさせる動画が映し出され、宇宙船のシートを模した席に座り、プラネット(惑星)を巡るチャレンジツアーに臨む。
各席には赤・青・黄の3つの回答ボタンが用意されている。プラネットは数種類用意されているといい、参加者の押したボタンの総数によって行き先が決まる。早く回答すると得点が加算される仕組みだ。

もっとも多く得点を獲得した優勝チームには、景品のいちごポッキーが贈呈され、大きな拍手で讃えられた。終了後は子供たちから「楽しかったけど景品がもらえず悔しい」という声も聞こえた。
Glico創業の物語とチョコレートができるまで
続いてはカレッジホールで「Glico創業の物語」と「チョコレートができあがるまで」の2つの映像を視聴。
創業の物語では、現在の「すこやかな毎日、ゆたかな人生」というパーパス(存在意義)のために、Glicoの社員が大切にしている“創意工夫”が紹介された。創業者、江崎利一の創意工夫の精神は、さまざまな分野で受け継がれているが、その原点は1922年発売の栄養菓子グリコだ。健康や子供たちの成長を考えて作られた製品そのものはもちろんだが、パッケージやキャッチコピー、ロゴマークの採用、子供たちの知識や創造力を育むおもちゃなど、数多くの「創意工夫」にあふれている。販売方法においても90年近く前に、日本初の「映画付きお菓子自動販売機」を開発したことが説明された。
「チョコレートができあがるまで」では、チョコレートの原料であるカカオ豆の歴史やチョコレートの製造工程を紹介。3,500年前の古代メキシコにまで遡り、そこからカカオの栽培、加工技術の変遷が説明された。ちなみに現在、カカオは赤道付近で収穫され、実からカカオ豆を取り出し発酵・乾燥、日本の工場へ運ばれて良い豆が選別されて、製品にされているという。

最後は「おもちゃ展示ミュージアム」にある各展示物の解説。90周年を迎えたビスコの箱に使われている男の子についてや、期間限定商品の紹介の後、映像でも紹介された「映画付きお菓子自動販売機」の実機をアテンダントが実演。
この自販機は昭和6年、東京中心に100台ほど置かれていたもので栄養菓子「グリコ」を買うことができたという。ガイドが当時のお金で10銭を投入すると、グリコとお釣りの2銭が出てきて、市川右太衛門主演の「旗本退屈男」という映画作品が流れた。当時は行列ができるほどの人気があったといい、ガイドからは「映像は5~6回で映画1本分。そのため、何個も自販機でお買い求めになる方もいらっしゃったようです」とのエピソードも。

いちばん古いおもちゃは1922年、大正時代の絵カード。その後、1927年(昭和2年)からは小さなおもちゃが入れられ、歴史上の人物を刻印したメダルシリーズや人気のアニメキャラクター、ミニカー、家電、パンダをはじめとした動物など、年代によって世相を反映したおもちゃが封入されてきた。おもちゃの展示には、子供たちはもちろん、懐かしさからか、大人が興味深く見入っているようすも見受けられた。



後日、参加者の皆さんにはアンケートに回答してもらった。当日の感想を紹介する。
【保護者】
●スムーズな案内、見やすい展示・ツアー、とても満足しました。子供もよく理解できたようです。
●これまで何度か応募したのですが激戦で取れずやっと行けました。また、工場見学だけでなく、グリコの作られた背景など学べることができてより理解が深まり、製品を購入したくなりました。
●子供たちにとって初めての工場見学でした。このようにポッキー、プリッツができるのだと知れて驚いていました。またグリコの始まり、どのような取組みをしいるか等も知れてとても勉強になったようです。子供の興味の幅を広げられてとても有意義な時間が過ごせました。
【お子さん】
●ちょうどお腹がすく時間からの見学だったのでおいしそうでよだれがでちゃっておなかがすいた! 楽しかった。
●とても楽しかったです。プリッツの茶色いのが網で焼いたときの焼き跡と知り、試食のときもおかあさんとその話をしました。最後のクイズ大会も楽しかったです。ありがとうございました。
●楽しかったです。また行きたいです。見学で気になったことが出てきたので自分で調べたいと思います。そしてまた行ったときにガイドさんに聞いて、答え合わせをしたいです。
グリコピア・イーストでの工場見学は、人気のポッキーやプリッツの製造過程やGlicoの歴史を子供たちが楽しく学ぶ貴重な機会となった。参加した親子は、製造プロセスでの学びはもちろん、Glicoで働く人たちがどのように考えて安全安心なお菓子を作っているのか、また創業者から続く健康と成長への思いや創意工夫の大切さを理解することができたのではないだろうか。子供から大人まで楽しめる人気のグリコピア工場見学の参加には、いずれの施設も事前予約が必要となっている。今後、お子さまの体験機会を増やすためにも、保護者の方にはぜひ参加を検討してほしい。