援助交際をする女子高生 当事者の子どもを見守る体制をつくる必要 | NewsCafe

援助交際をする女子高生 当事者の子どもを見守る体制をつくる必要

社会 コラム
内閣府の「青少年のインターネット利用環境実態調査」(2016年11~12月調査、対象は10~17歳の5000人)によると、スマホでインターネットを利用する青少年は47.2%。携帯ゲーム機でも21.7%、タブレット端末でも20.9%がネットに接続しています。

スマホでのネット利用は、小学生で27%、中学生でも51.7%、高校生で94.8%です。また、タブレットでも、小学生が23.1%、中学生が28.5%、高校生は14.9%が、ネット利用をしています。もはや、誰もがどこでもインターネットを利用する時代です。

そんな状況を指す「ユビキタス」という言葉が一時流行りました。便利な時代を目標としたからでしょう。しかしそうした状況になったことは、子どもたちが犯罪に巻き込まれる状況にもつながる可能性も出てきます。

警察庁によると、16年中に出会い系サイトに起因する事件の被害児童は42人です。前年の半数以下になりました。08年に、事業者の届出制などを義務付けた出会い系サイト規制法の改正以降、大幅に減少しています。もちろん、身分確認が義務付けられても、それを逃れる方法もあるために、ゼロにはなりません。

一方で、コミュニティサイトに起因する事件の被害児童は1736人。08年以降、増加傾向にある。出会い系サイトでの過去最多の被害児童数(1278人、03年)と比較すると458人多く、08年の2.2倍となっています。

コミュニティサイトでの事件で最も多いのは、淫行などの青少年保護育成条例違反で662件。全体の38.1%。4割近くだ。金品が絡まず、性的な関係を結んだ、いわゆる淫行規定違反です。条例の場合は、都道府県でも定義が違い、18歳未満と知っていたかどうかも変わります。また、恋愛であっても検挙される自治体もあります。婚約同然の関係ではないといけないという県もあります。ただ、この事案はやや減少傾向ということです。

一方、児童買春は年々増加している。11年の176件、12年の182件、13年の226件、14年の260件、15年の359件、16年の425件と右肩上がりです。取材をしてると、あらかじめ、援助交際であることを明示している女子高生もいます。その一方で、援助交際であることを告げていないのに、性行為の終了後に、相手方の男性が金銭を手渡す、ということもあります。

出会い系が目的ではない、コミュニティサイトでの淫行や児童買春が増えているのですが、なかでもその手段になっているのがツイッターです。ツイッターは売買春の書き込みを特に規制していません。
10代、20代の生きづらさを抱える女の子たちからの相談にのっているNPO法人「Bond Project」にも、ツイッターなどで援助交際をしている女の子から相談が寄せられるという。代表の橘ジュンさんはこう話す。

「最近は出会い系サイトではないですね。ツイッターなんだ?ってことが多いです。設定もログインも面倒ではないからのよう。アカウントを消すのも簡単」どうして、ツイッターなどで援助交際をしているのかと聞くと、「下心丸出しの男性のほうが安全だと思っている」という。詳しい話をせずに、性行為だけのために会う。そしてお金をもらう。

そこには通常の人間関係に必要なやりとりは必要がない.「子どもの方が、スマホの使い方を知っている。リテラシーが高い子が援助交際をしている。進学が決まっていたりするので、みんな学校や家族にはバレたくない。

『バレたらどうするの?』と聞くと、『死ぬ』と答えたりする。将来のことを考えて塾に行ったりしてけど、刹那的に生きている。自分を傷つける自傷行為と同じなんだ、って思う」(橘さん) 現在、ツイッターでは、警察の担当者がおとり用にアカウントを使っている。おとり捜査的な手法です。買春相手をよそおって、女の子に会って、保護しています。しかし、こうしたアカウントは、見知らぬ男と出会うことを目的にしていたり、援助交際をしている女の子同士の間では出回り、情報として流れている。

「バイトをしているのでお金は要らない」という美佳(16、仮名)は援助交際はしないが、ツイッターで知り合った男と性的な関係を結ぶ。「警察のアカウントには気をつけている」と言うのですが、昼間、ホテルから男と一緒に出てきたところを偶然通りかかった警察官に補導された。その後、児童相談所に通う日々が続いた。

現在では、無料通信アプリLINEの普及と関連していることが多い。LINEは、東日本大震災後に、非常時にもつながる通信手段として生まれた。もはや、国内のユーザーは6千万人を超えている。家庭でできる方法としては、フィルタリングを設定したり、スマホを使う場所や時間を決めること、個人情報や悪口を書かない、ネットの友達と会う場合のルールを決めることです。援助交際をしている子への対応は、非行として捉えるのではなく、刹那的な心情を理解する必要があります。

橘さんは「親なりに関心を持って子どもに接していることもあるが、届いていない。また、家庭崩壊してることがあり、親も『自分たちが悪い』と思っていない。そのため、従来の生徒指導は意味がない。学校は、第三者の機関と一緒に、当事者の子どもを見守る体制をつくる必要がある」と話しています。
[執筆者:渋井哲也]
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