「改憲勢力」って乱暴な表記では? | NewsCafe

「改憲勢力」って乱暴な表記では?

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次の日曜日は参院選挙の本番です。各種世論調査では、「改憲勢力が3分の2」の見込みだと伝えています。たとえば、日経新聞では、非改選とあわせて、自民党が単独過半数となる見込みだと伝えています。これは時事通信社の世論調査の結果も同じ傾向です。一方、共産やおおさか維新は改選議席を増やす可能性も伝えています。野党共闘の中核であるはずの民進党は低迷しそうです。

 各新聞やテレビの世論調査では、自民公明とおおさか維新を加えて「改憲勢力」と表記しています。たしかに、自民は独自の憲法草案を作りました。公明党は改憲につては明確な言及はしていません。ただ、自民党と連立政権を組む以上は、自民が改憲案を出せば、修正協議はあるものの、反対はしきれないと思われます。また、おおさか維新は、自公とまとめて「改憲勢力」とされていますが、自民とは改憲の論点が違うために、一様にまとめられているのは乱暴ではないかと思います。

 一方で、民進党も、自民党の憲法草案には反対の立場の議員が多いでしょうが、改憲それ自体には反対ではない議員もいます。集団的自衛権を認めている議員もいます。しかし、「改憲勢力」とは呼ばれていません。まるで、護憲の党のようなイメージになっていますが、良かれ悪しかれ、そんなことはありません。護憲を主張しているのは社民と共産くらいではないかと思います。大雑把な表現では言えば、国会の勢力のほとんどが「改憲勢力」です。

 そんな中で、読売新聞が世代別の投票先についての調査を記事にしています。おおむね、比例の第一党(比例区でもっとも投票を集めて、議席を多く獲得する党)は自民党になりそうです。各選挙区での投票は、支持基盤の強さ、選挙のうまさも反映されるために、単純な人気投票ではありません。しかし、比例区では、選挙区と候補者ほどの“つながり”はありません。そのため、ときのムードがより反映されます。

 自民党は選挙に強い議員が多く、選挙区で議席が減ることは滅多にありません。選挙によって、非自民政権ができた細川護煕内閣のときだって、比較第一党は維持していました。選挙を通じて、自民が第二党になったのは民主党政権ができたときだけです。しかも、どちらかといえば、民主党は政権運営で失敗し、自滅してしまいました。「自民党以外の選択肢」としては、政権交代可能な有力な政党でした。が、政権運営の失敗のイメージは付いて回ることになりました。党名変更をしたところで、党の代表を中心とした「顔」になる議員が変わらないのでは仕方がありません。その結果が、読売新聞の調査にも出ているのでしょう。

 もちろん、「改憲勢力3分の2」と報道されれば、もともと「改憲勢力」に投票しようと思っていた人のなかで、バランスを取る有権者も出てきたりします。そのため、実際には別の党に入れたりいます。「アナウンス効果」と呼ばれたりします。最近では、どうせなら勝っている党に入れようとする「勝ち馬効果」が出ることも多くなっています。今回はどちらになるのでしょう....。

 それにしても、今回の選挙はまったく盛り上がりません。今回の選挙戦で、筆者は立ち合い演説で一度も足を止めて、ゆっくり演説の内容を聞いていません。それだけ魅力的な選択肢がないのです。安倍政権には批判的な私ですが、だからといって、「ここに!」というほどの党がないのです。そのため、今回は、政権の是非の立場ではなく、個別の政策で判断しようと思っています。「この人がいたから。あの法律がマシな内容になった」「この議員がちゃんと質問をして、答弁を引き出した」などの基準ではないかと思います。また、「この人がいれば、きっとより良い政策議論ができるかもしれない」という期待値も含みます。[文:渋井哲也]
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